ブロックチェーンって何にも使われてないよね?

はじめに

よくブロックチェーンの話をすると、ブロックチェーンって結局仮想通貨しか生み出してないよね、なににも使われてないよね、いっぱいお金は投資されたけどまだ応用例ってないよね、いっぱい試したけどまだわかってないよね、という話をされます。

そうなると、ムッとなって反論したくなるのですが、今回は夢や希望みたいな話ではなく、現実の話をしたいと思います。

おいおいなんだやっぱり使われてないってことに対する言い訳でも始まるのか?と思ったみなさん安心してください。

ブロックチェーンは事実ベースで見てもすでにかなり応用例が出てきていて、実用化・商用化が進んでいます。

いやそんなもの見たことない聞いたことないぞというみなさん。その感覚は間違っていません。ブロックチェーンの世界でも(機械学習やそのほかのソフトウェア技術に習うように)中国が世界で一番早くこのエコシステムを作っています。(ので必然的に出てくる事例も中国の事例ばかりです)

ソフトウェア業界にいる人にとっては周知の事実ですが、未来を知るのに今最も良い方法は、アメリカを見ることではなく、中国を見ることです。ブロックチェーンの世界も例に漏れずそうなっています。

私としては、起業家として、日本オリジナルの、世界に羽ばたくようなエコシステムを作っていくことが夢です。一方、現実主義者でもありますので、やはり確実にくる未来であろう中国の事例は大量に調べ、自社の事業の参考にしています。

今日は僕の考えというよりは事実ベースでどんな領域で何が進んでいるかを紹介したいと思います。 

(一部中国以外の事例も出していきます。)

証券発行・決済編

[2019年12月] 中国銀行、3000億円分の債券をブロックチェーンで発行

[2019年8月] 世界銀行、二度目のブロックチェーン債の発行を実施(約33億円, 累計発行100億円)

[2019年9月] スペインの大手銀行グループ「サンタンデール銀行」がEthereumを利用して社債を$20M発行

(これはサンタンデール銀行のプロジェクトが償還までを行なった際、ブロックチェーン上で債券の発行->期中管理->償還までのフルサイクルをしっかり回せることが証明できたという旨のtweet)

中国の3000億円(!)という数値にも驚きますが、割と世界各国で数十億-百億円単位をブロックチェーンベースで発行->管理しているというのはかなりインパクトありますね。もちろん金融マーケットで見るとこの金額は非常に小さいですが、それだけの金額がもうブロックチェーンを「インフラ」として信頼し、そこに乗っけられてるわけです。

[2019年11月] HSBCが紙上で管理されていた200億$の資産(HSBCの預かり資産の40%)をブロックチェーンカストディ上で管理へ

こちらはアセットの原簿管理的な話。HSBCの預かり資産の40%にも当たる資産をブロックチェーン上のデータを信用し、管理するというニュース。これも規模がすごいですね。

[2019年11月] LayerX、MUFGとブロックチェーンを活用した次世代金融取引サービス提供に向け協業

日本でも、この分野がブロックチェーンの本命と見て、MUFGがブロックチェーンを活用とした金融取引サービス提供を発表しています。あ、LayerXもここに絡んでるみたいですね。

サプライチェーン・インボイスマネジメント/ファイナンス編

[2019年11月] 中国JDによるJD Chain上で稼働するトレーサビリティソリューションZhiyi(700ブランド・60000SKU取扱の実績)、中信銀行と資産担保証券(ABS)に適用

[2019年9月]シンガポールDBS、ブロックチェーンベースのサプライチェーンファイナンスサービスを発表

これらはサプライチェーンやインボイスなど複数社にまたがって、真正性が必要なデータやワークフローを共有するためにブロックチェーンを使っている事例です。金額の規模感は出ていませんが、扱っているブランド数や、在庫に関連するデータ数を見るとすでに相当稼働している模様。シンガポールでもおそらくこの事例を知ってか知らずかDBSが似たようなプラットフォームを立ち上げています。

[2019年11月] 深セン市、ブロックチェーンベースのtax invoice(課税額が分かる正式なインボイス)を昨年のローンチ以来1000万件にのぼることを発表

こちらはもう少し公の取り組み。深センでの適格領収書(tax invoice)をブロックチェーン上で発行する取り組み。その総量が1000万件を超えたという話。企業、消費者、政府それぞれにメリットがあり、管理のコストの削減、税還付速度の向上、領収書のフラウドの削減など3者にメリットがあります。

貿易ファイナンス編

[2019年11月] 中国人民銀行のブロックチェーン貿易金融プラットフォーム、取引処理額が1兆円超え


[2019年10月] 中国建設銀行、一昨年にローンチしたトレードファイナンスプラットフォームをアップデートへ。取引累計300億ドル

[2019年7月] 中国人民銀行、トレードファイナンスプラットフォームを通じて約4700億円規模の外国為替処理

これらの事例は貿易業務特有の複数業者間にまたがった真正性が必要な書類の扱いをブロックチェーン上で行うというものです(「複数部門間にわたる紙の書類ベースのやり取り」、「複数部門による手作業による書類内容検証」と表現されています)。またこの紙のやりとりをベースに金融機関は貿易に対して様々なファイナンスや保険をつけていたり、決済をしたりしています。これをブロックチェーンベースでやることでより効率的に実行することができるようになることを目指しています。

この分野もブロックチェーン活用の大本命として事例を聞いたことは多くいるかもしれません。しかし上から、1兆円(!), 3兆円(!), 4700億円(!)と想像を絶する金額が、このブロックチェーン上にあるデータややりとりを信用して取引されていることがわかります。とにかく金額規模がすごい。。

[2019年8月] Standard Chartered、トレードファイナンスプラットフォームVoltron用いてタイ-シンガポール間の石油輸送に係る信用状取引

[2019年10月] UBS、貿易金融向けWe.Tradeブロックチェーンを稼働

[2019年10月] 韓国、2021年までに貿易金融をブロックチェーンに移行

中国の事例を知ってかしらずか、各国でも似たようなプラットフォームが次々にローンチ、発表されています。グローバルに普及する流れがここでは先行して見られますね。

保険編

[2019年10月] 中国の浙江省では、6000億円相当の医療費についてAnt Financialのブロックチェーンを用いて請求書を発行したことが発表された。(保険のペイアウトが96倍の速度に)

医療保険のペイアウトが96倍(!)速くなったという事例。6000億円(!)という金額の規模がすごいですね。。

[2019年5月] Ant Finantialの相互保険Xiang Hu Bao(翔胡宝)がローンチ

[2019年8月] Bank of Chinaの保険部門が保険ブロックチェーンをローンチ。400万件以上の保険証券を蓄積

相互保険の応用や、保険証券の管理(おそらくこれを今後ファイナンスにつなげる)など保険の応用事例もどんどん出てきています。

また平安保険の子会社である金融サービスむけにAIやデータ分析およびブロックチェーン分野におけるテクノロジーを提供するOneConnect社(LayerXみたいな会社ですね)がニューヨーク証券取引所に上場予定であると発表されました(https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1780531/000104746919006578/a2240090zf-1a.htm)

ちなみにこのOneConnect社、昨期の時点で200億の売り上げ、今期このペースで行くと300億近い売り上げを出すペースであり、「ブロックチェーンで売り上げを出せている会社がいない!」という主張も隔世の感がありますね。。

中央銀行/決済インフラ編

[2019年6月] Facebook Libraの発表

記憶に新しいLibraの発表。これから各国のCBDCの話が急速に進みましたね。

[2019年10月] 中国 デジタル人民元「DCEP」の発表

中国DCEPの発表。Libraの公聴会の直後だったため、より両国の姿勢の違いが鮮明に出ました。

中央銀行が通貨のインフラとしてブロックチェーンを選んだインパクトもさながら、通貨発行の主体は中央銀行であるべきという論理、またふわっとしたトークンのような話ではなく、いわゆるホールセール決済用のインフラであることを示したこと、明確にSWIFTへの対抗軸を出したこと、4つの注力領域として「個人のグローバル決済, 決済システムの再構築, 世界通貨発行体制の改革, バリューチェーンの効率化」を挙げているのは先端事例を研究・実装しているLayerX的には納得感ありました。

[2012年12月] 中国の国家ブロックチェーンコンソーシアム、テンセントのウィーバンクがインフラ提供へ

(WeBankはテンセント系列の会社であり、テンセント以外にも複数の会社と合弁で立ち上げられた中国初の民営銀行でありネット銀行です)

WeBankが中国の国家ブロックチェーンコンソーシアムにインフラ提供をするというニュースです。WeBankはすでのブロックチェーンベースで新しいデジタル銀行を作るという構想を発表していてそれを他社にも提供していくという流れだと思います。

[2019年6月] Project Stella:日本銀行・欧州中央銀行による分散型台帳技術によるホールセール決済効率化 フェーズ3へ

日本も実は日本銀行さんやJPXさんなどがしっかり実証実験を行なっています。これはいわゆる為替のような取引をRTGSで、流動性節約機能をブロックチェーン上に現実的に実装できるか?結果コルレス銀行の決済リスクを無くせるかというような実験であり、ブロックチェーンの活用の本丸と言えるものです。(専門用語ばっかですいません。気になった人は調べてください)レポートはしっかり読み応えがありすでにフェーズ3まで実施されてるので興味がある方は是非読んでみてください。

おわりに

どうだったでしょうか?

ブロックチェーンなんか何にも使われないと言い切るには言い切れないような金額や信用がここにすでに動いていると感じます。

ここで挙げた例はPoC(実証実験)という話ではなく、すでに実用化・商用化され相当数の資産を扱っている事例。ないしは実用化・商用化前提でがっつり作っていく大きな構想のものが動き出しているという事例です。

私は汎用的なテクノロジーが起こしたトレンドは必ず全世界に波及すると考えています。

近年の絶対法則は「中国で起こったソフトウェア的変化は2-5年後の遅れで日本で必ず起こる」です。ですので私は、少なくともトラストが必要とされた企業間のデータや取引のインフラにブロックチェーンが使われることは確実に訪れる決定した未来だと考えています。

もう一つ、これらの事例は実は2019年4月-12月に起こった事例をピックアップしたものです。

この9ヶ月でこれだけのことが起こっている激動のマーケットでもあるのです。(ピックしたのは金額的インパクトが大きい一部であり、ニュースやリリースはこの10倍以上流れています)

追伸

示し合わせたわけではないですが、弊社の畑島が似たような考えでまとめたものがほぼ同じタイミングで出ましたので、紹介しておきます。

絶賛採用中

エンジニア中心ではありますが引き続き採用募集中です。

採用で会話していく中で一つの大きなギャップに気づきました。LayerXは「ブロックチェーン業界は素晴らしい、今こんなポジションにいるから凄いチャンスがある」という会話をしていて、逆に求職側は「ブロックチェーンにキャリアをロックされることは面白いけどそれなりにリスクだ」と考えているギャップです。

今回のポストで伝えたいメッセージとしては「ブロックチェーンにキャリアをロックされることはリスクでなくチャンスだ」ということです。

中国で流行ってるから日本でも流行る!はめちゃ安直ではありますが、強烈な事実に近いものだと思います。(投げ銭アプリ、FPGA型ゲーム、QR決済、デジタル信用スコア、即時与信、デリバリー、事前予約サービス、無人レジ、新小売etcなど枚挙にいとまがありません)

そんな中、日本では情報ギャップもあり、ブロックチェーン業界にまだまだ優秀な人が十分に来ていない状況だと思います。

ですのでそんな中で最先端でキャリアを歩めることは本当に大きな、大きなチャンスだと思います。

なんぼのもんじゃい、ほんとかよ?と思う人も心にわずかでも引っかかりがあった人はぜひお話だけでも聞きに来てください!



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