命をまもるために、その時にやるべきこと(ぼうさいペディア#4)
第三回のぼうさいペディアで、自然災害の直後3日間は自力で行き抜くという話をしました。
この「生き抜く」前提として、まず、自然災害の直撃から自分と家族の命を守らないといけません。
この命を守るための行動を行うためには、とるべき行動についての知識が必要です。
ただし、残念ながら、地震や台風のときに「これをすれば絶対安全」といった簡単なルールというのはありません。それは、災害の規模や種類、そのときに直面した皆さんやその家族の状況によって異なるからです。
しかし、地震や台風のときの行動の基本の考え方というのがあります。この行動の基本の考え方はこれから説明しますように極めて簡単です。これを頭に入れておくことです。そして、その行動の基本をまもって、皆さんが置かれている状況に応じて、五感を澄まして、臨機応変に行動することが必要です。
今日のポイントは以下の3点です。
①地震のときの対応の基本は
「落ちてくる物、倒れてくる物から頭を守る」
台風のときは
「水や土砂が襲ってくる場所からできるだけ離れる」
が行動の基本。
②この行動の基本を頭にいれて、
一人一人が直面している状況に応じて、
五感を澄まして自ら判断し、臨機応変に対応することが大事。
③その第一歩として、、
緊急地震速報、気象警報、避難指示などの意味をちゃんと理解する。
では、はじめましょう。
地震が来たときにやること
①緊急地震速報を確認
地震は予知できません。でもごく直前ではありますが、大きな揺れの前に「緊急地震速報」で大地震をこと知るができる場合があります。
東日本大震災を経験した方であれば、テレビの画面やスマホからブーブーという音を経験したと思います。経験していない方は、是非、下のWEBで緊急地震速報の画面やスマホの警報を事前に確認しておいてください。
緊急地震速報は100%確実というわけではありません(つまり空振りもありますし、緊急地震速報がでなくていきなり来る大地震もあります)が、この緊急地震速報の音がブーブーなったら、次に述べている行動を思い出してすぐに動き出しましょう。
②家のなかにいたときにやるべきこと
一番大事なことは、「落ちてくる物、倒れてくる物から頭を守ることです」
ぐらっときたら、自分の上とまわりをすぐ確認しましょう。
阪神・淡路大震災での経験でわかるとおり、まず、建物と家具などの倒壊が地震のときはとても危険です。建物を改修したり、建て替えをするのはお金と時間がかかりますが、家具の固定などの対応はすぐできますよね。命に直結しているので、今からすぐ取り組みましょう。
特に、寝ているときに地震が襲ってきたら、家具の倒壊など避けようがありません。寝る部屋には背の高い家具などは置かないように注意しましょう。自分の寝室だけでなく、子どもたちなど家族の寝室もすぐに確認しましょう。
なお、危ない住宅は地震に対する建物の基準がきびしくなった1982年より前に建てられた住宅です。それも時間のあるときに確認しておきましょう。すぐに建物自体にお金をかけられなくても知っておくことは大切です。
③家からの適切な避難
1982年よりあとに建てられた建物にいたら、あわてて建物から飛び出さないようにします。
ただし、津波や火災がせまっているときは、ただちに、前回のぼうさいペディアで説明した「緊急避難場所」に走って逃げましょう。
自宅から「避難所」に向かうときには、ブロック塀が余震で倒れるおそれがあるので、ブロック塀に近くを通らないようにしましょう。なお、自分の家にブロック塀があるときは自分が加害者にならないように、あらかじめブロック塀をチェックしておいてください。自分の実家などご両親が住んでいる家にもブロック塀があったかなと思い出してみてください。
台風がきたときやること
①自宅のハザードマップの確認
まず、自宅が洪水で浸水危険があるか、土砂災害の危険があるかについては、市区町村が「ハザードマップ」という名称(「浸水予想区域」など違う名称を使っている市町村もあります)で地図を公表しています。まず、これを確認しましょう。
ハザードマップは、「(自分の住んでいる市区町村名)」+「ハザードマップ」でWEBで検索してください。市区町村のHPで該当する部分をしめしてくれます。
ハザードマップのうち、特に、「洪水」と「土砂災害」を先に確認しましょう。
洪水や土砂災害のハザードマップで自宅の場所を確認してみて、浸水や土砂災害の危険区域にあることが分かったときには、以下に述べる対策を必ず実施しましょう。そうでなくても、安心せずに、できる対策は実施するようにしましょう。
②気象情報(警報、特別警報など)の確認
「警報」は重大な災害が、「特別警報」はこれまで経験したことのないような重大な災害が起こるおそれがあるときです。
台風が来ているときには、ぼうさいペディア第3回で説明したように、NHKニュースやアプリなどで、気象庁の警報を確認しましょう。
特に、大雨特別警報がでた場合にはもう近所に災害が起きていてもおかしくない状況です。
③市町村の出す避難指示
気象庁は雨の降り方を判断して注意報や警報などを出しますが、実際に私たちが避難すべきかどうかについては、市町村が判断して、市民に伝えます。
「避難準備・高齢者等避難開始」「避難勧告」「避難指示(緊急)」の三段階で出されます。また、2019年からはレベル3.4という言い方も同時に行われています。
市町村がだす避難指示などは近所にある防災サイレンなどで放送されますが、最近はぼうさいペディアの第3回で説明したとおり、テレビ、WEB、アプリなどでも確認することができます。
避難指示などがでた場合のみなさんがとるべき行動は、上の図のグレーの部分のとおりです。
ただし、具体的な避難にあたっては、行動の基本「水や土砂が襲ってくる場所からできるだけ離れる」を、どうやったら実現できるかを自らよく考えて行いましょう。
例えば、台風が既に来て土砂降りになってからの避難では、逆に避難中に水に呑まれる可能性があるので、できるだけ早めの避難が必要です。でも、避難が遅くなってしまった場合や、夜で周囲がよく見えない場合は、水路などがよく見えないので、水や土砂災害による被害の可能性がむしろ高まります。
現時点で避難してはかえって水や土砂の危険があると思えるときは、家の2階に避難したり、崖が近くにあれば崖と反対の部屋にいるなど、家のなかで「水や土砂がおそってくる場所からできるだけ離れる」よう自分で考えて行動しましょう。
自分と家族の命を守るのは自分の知識と適切な判断です。五感を澄まし、周囲の状況を自分の目と耳で感じて、臨機応変の対応をしましょう。
第4回ぼうさいペディアのまとめ
①地震のときの対応の基本は
「落ちてくる物、倒れてくる物から頭を守る」
台風のときは
「水や土砂が襲ってくる場所からできるだけ離れる」
が行動の基本。
②この行動の基本を頭にいれて、
一人一人が直面している状況に応じて、
自ら判断し、臨機応変に対応することが大事。
③その第一歩として、、
緊急地震速報、気象警報、避難指示などの意味をちゃんと理解する。
ここまでの第1回から第4回までは、「自然災害の内容」と「災害発生後の心構えの整理」「防災情報の収集の仕方」、「いざというときの行動の基本」を述べてきました。
次回以降は、避難所生活や住宅の再建など具体的な生活の質やお金の面など具体的なお話をしていきます。
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