実は、身近に迫っている自然災害(ぼうさいペディア #1)
前回は、わたしが、ぼうさいペディアの全体で何を伝えたいかを書きました。今回は、ぼうさいペディアの内容をお話する第一回です。
まず、自然災害のきほんをお話します。教科書みたいな話ですけど、どんな自然災害になる可能性があるかをちゃんとしらないと、自分や家族の命を守ることはできません。
一方で、商売のために危機をあおる、間違った情報も残念ながら多いのも事実です。
ここでは、国の機関が発表している、ちゃんとした情報をみなさんにお伝えして、まず自然災害の知識を一緒に身につけていきたいと思います。
今日のポイントは三つ
①「地震・津波」「洪水・土砂災害」「火山噴火」自然災害多発時代に突入
②いつどこで起きてもおかしくない大地震。そのメカニズムとは。
③洪水のリスクはどんどん高まっているわけ。
では、始めましょう
自然災害といっても色々なタイプがある
では、最初に、最近の自然災害をおさらいします。
平成に入ってから、雲仙普賢岳の火災流、阪神・淡路大震災、東日本大震災、そして、昨年の西日本豪雨など、立て続けに大きな自然災害が起こっています。下の図表で確認してみてください。まさに現在は災害多発時代です。
地震はどのように発生するのか?
次に地震の発生メカニズムをお話します。
地球の地面の下にはプレートという岩盤があります。日本の周辺ではこのプレートが四つもぶつかっています。このプレートが地震の原因となります。
(出典)地震調査研究本部HPの画材集
このうち、海溝型地震は一定期間ごとに繰り返し発生することから、例えば、西日本を襲う南海トラフ巨大地震は30年以内に発生する確率が70%と推計されています。
しかし、発生確率というのがわかっても現在の科学では具体的にいつ発生するかを予知することは困難です。地震は、突然、思いもしない時に発生することを覚悟しておく必要があります。
これに対して、内陸などで発生する活断層型の地震は発生確率を予測するの自体も難しいのが現状です。阪神・淡路大震災の発生確率についても、発生直前には「マグニチュード7.3規模の地震」が「30年以内」に起きる確率を「0.02から8%程度」という小さな値と予測していました。正確な言い方ではありませんけど、とにかく低い確率でしか考えていなかったと言うことは確かです。でも、実際には、地震が起きていしまいました。
また、現在発見されている活断層の場所は明らかになっていますが、未発見の活断層もあるといわれています。
(出典)地震調査研究本部HPの画材集
ですから、海溝型(プレート型)は明日にでも起きる可能性がありますし、活断層型は、時期も場所もわかりませんが、いつでもどこでも起こる可能性があると考えておかないといけません。
海溝型(プレート型)では、東日本大震災でみなさんご存じのように、津波に飲み込まれて亡くなる人が多くでるとか、活断層型だと、阪神・淡路大震災のように家が潰れて亡くなる方が多くでるとか、政府では予測しています。
近年多い洪水・土砂災害
二番目に、洪水・土砂災害の原因となる、最近の降水状況や洪水などの発生メカニズムをお話しします。
洪水は、河川やダムが想定しているよりも多くの雨が降った場合に発生します。特に、近年は雨の降り方が急激になってきているので注意が必要です。
(出典)気象庁HPの各種データ資料から転載。
ただし、最近、豪雨が多いことについては、地球温暖化が直接の原因かどうかは実はよくわかっていません。
この前の台風19号を振り返ってみる
例えば、今年の10月12日ころに日本を襲った台風19号をみてみましょう。
下の地図に示してあるとおり、10月12日土曜日の夜にかけて猛烈な雨が関東など広い範囲に降りました。オレンジ色の部分は、1時間50ミリを越えているので、いわゆる、バケツをひっくり返したような状況です。
(出典)気象庁HPから転載。
雨がたくさん一気にふれば、堤防など整備をした河川でも、水を流しきれずにあふれたり、堤防がきれたりします。
今回の19号台風などをみても、従来洪水など考えられなかった一級河川でも洪水警報がだされました。関東など真っ赤ですよね。
(出典)気象庁HPから転載。
また、国土地理院が提供している長野市の洪水の状況です。
さらに、特に雨が集中して住宅地の際にある山に降った場合には、山の地盤が緩んで土砂災害も発生します。
台風19号での土砂災害の警報も広い範囲でだされました。
いずれにしても、水に関係する自然災害は、雨の降り方に原因があります。
そして最近の激しい雨の降り方は、洪水や土砂災害などをより頻発させます。
その結果、私たちの住んでいる住宅でも河川に近いところでは床上浸水になったり、崖に近い住宅が土砂に押しつぶされたりすることが予想されます。
ただし、雨に関係する災害は、地震と違って、あらかじめ、気象情報などで、いつ、どのくらい雨が降るかの情報がわかることから、洪水や土砂災害に対する備えをすることができます。
この意味では、洪水や土砂災害は予知がある程度可能な自然災害といえるでしょう。
あまり目立たないがリスクが高い火山噴火
三番目に、近年多く発生している火山噴火についてお話をします。
火山も、地震のときにお話したプレートが関係します。プレートが日本の下に沈み込む際に一部が溶けてマグマとなり、それが地上に吹き出したのが火山です。
(出典)気象庁HPの各種データ資料
火山は、噴火する前に地震などが起きたり、山が膨れたりすることがあり、地震よりは予知ができると言われています。
しかし、御嶽山噴火のように予知ができなかった場合もありますので、火山に登るときや火山の周辺にお住まいの方は注意が必要です。
たとえば、最近観光客に人気の富士山も活火山です。みなさん知っていましたか?
(出典)内閣府HP
噴火の被害はちょっと想像しにくいですけど、山に登っている人とか近くに住んでいる人が噴石といって火山から飛んでくる石にあたって亡くなったりします。また、より広い範囲、例えば富士山が噴火したら関東まで火山灰がとんできます。火山灰にはガラスのかけらが入っているので眼や肺をきずつけたりします。電子機器にも影響があると言われています。
本日のまとめ
おさらいです。
・地震は予知はできません。24時間、日本のどこにいても不意に起こる
ことがあるとおもって備えましょう。
・洪水や土砂災害は気象予報で発生の可能性がわかりますので、
気象予報などの情報を踏まえて備えましょう。
・火山の噴火は、地震よりは事前に分かることがありますが、それでも不意
に噴火することがあるので活火山の近くにいるときは注意しましょう。
自然災害のタイプによって避難の仕方など対応策が異なります。これから災害ごとの対応策をまとめていきますが、災害の特徴を掴むことでわかることが多いかと思うので、ぜひ3つの災害の特徴を覚えておいてください。
次回から、自然災害への具体的な注意点や、備え方を説明していきます。
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日本は多くの自然災害に直面しながら、過去の経験を生かしきれていないところがあります。もっとみんなの知識や知恵を共有し、助けられる命を助けたいと思っています。そこで、ここで書かれる情報(転載写真は除く)はすべてフリーで活用しても良いこととしました。自由にシェアして多くの人に伝えてください。※写真は掲載もとのHPの指示にしたがってください。
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