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コロナ禍を生きる今、この迫真に満ちた絵に改めて震撼する。『生賴範義画集 〈SAKYO MOVIES〉』10月刊行決定。

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2020年、過去に公開されたある映画が、思いがけず注目を集めることになり
ました。
小松左京作品を原作とした『復活の日』(監督:深作欣二)です。


1980年に公開されたこの映画は、今年になって突如人類を襲った新型ウィルス感染の「予言」的な作品として話題を呼びました。公開当時に劇場で観た世代から、その頃はまだ生まれていなかった世代までが、ネット配信というツールによってふたたび多くの人に注目されることになったのです。

日本SF第一世代の中心人物=小松左京による、論理と想像力を駆使したスケールの大きな物語、例えば

『日本沈没』(1973年/監督:森谷司郎)、『復活の日』(1980年/監督:深作欣二)、『首都消失』(1987年/監督:舛田利雄)

は、劇場映画として公開されるやいなや、いずれも大評判になりました。
そして、それらの作品のほとんどにビジュアルイメージを与えたイラスト
レーターこそが、生賴範義
でした。

復刊ドットコムでは『生賴範義画集』シリーズとして、平井和正著作を対象にした〈幻魔〉〈狼男達〉に続き、小松左京作品のカバーを飾った『生賴範義画集〈SAKYO〉』を2020年8月下旬に刊行することになりましたが、本書はその関連書となります。

ふたつの違いは
〈SAKYO〉本という形態にこだわり、小松左京著作に提供されたイラストを、出版社を跨いでセレクトした画集

〈SAKYO MOVIES〉文字通り小松左京原作の「映画作品」のために描かれたイラストを、1冊に集めた企画

です。

なかでも圧巻は、1980年の映画『復活の日』のために描かれた25点のイラスト群の完全収録です。


1964年、小松左京によって書き下ろされた長編SF『復活の日』に惚れ込み、
角川文庫に同作を迎え入れたのが、当時の角川書店社長・角川春樹氏でした。
そして、70年代以降に日本映画界を席捲した「角川映画」のプロデューサー
でもあった角川春樹氏は、『復活の日』の映画化に乗り出します。
そこで、海外での現地撮影やプロモーション、役者たちへの意思の疎通のために、生賴範義に作中を具体化する“イメージボード”の制作を依頼しました。
今回の企画では、それらすべてを、これまでにないワイドサイズで収録。
世界的なコロナ禍を経験している今となっては、これらのイラストの迫真性に改めて震撼させられます。SF作家・小松左京の作家的イマジネーションと、イラストレーター・生賴範義の視覚的イマジネーションが相まった驚愕の作品ばかりです。

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本書には『復活の日』のほかにも、ふたりの巨匠による作品『首都消失』や
『日本沈没』などの多彩なポスター群も、収録を予定しています。
つねに“未来”について思考し続けた小松左京の視線は、今でも現実へと転化
する可能性を秘めており、その視線を魅力的なビジュアルにできたのは、誰
よりも生賴範義でありました。
本書は、その“あかし”ともなる作品集とも呼べるものです。
日本、いや世界をも代表する想像力=イマジネーションの共演を、存分にご堪能ください。


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