黒いスーツの人

かなり今日は憂鬱だった。
そしてそんな今日の終盤、帰りの駅で黒いスーツの人が近寄って来た。
あまり外で知らない人に声をかけられることなんてないもんで、驚きのあまり立ち止まってイヤホンを反射的に外してしまった。

「あー、キャッチとかではないんで」

いや、余計に怪しい。しかも黒いスーツ。怪しい。しかもジャケットとかではなく、黒いベスト、黒いスラックス、白いシャツ。
いや、いかにも怪しい。

「目が綺麗だなって思ってー」
やっぱり。

「よく言われるでしょ、目が綺麗だって」
「言われたことないです。」

なんだか言われた瞬間
いや一回も言われたことないぞそんなこと。って思ってしまって物凄く悲しくなった。そしてきっと凄く悲しそうにこう答えてしまったんだろうな…逃げるかのように去っていった。
多分向こうもびっくりしたんだろう。こんなにもその一言で物凄く悲しそうな目に変わったもんだから笑

なんだか帰り道、そういえば一回も言われたことがないことに対して虚しくなるわそんな言葉でどうにかなりそうだと見えてしまうのか自分って思ってなんだか苛立たしくなるわでこちとら本当に最悪だよ。

今日一日一秒でも早くこうやって机に向かって、季節外れの素麺を食べながらぼーっとしたかった。

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