棄てられた者の行方 24

 イスラエルの全部族がダビデのもとに来て言った「ご覧ください。私たちはあなたの骨、あなたの肉です。以前からサウル王がいた時にも、あなたはイスラエルの出入りを導く方でした。神はあなたに次のように言われました『あなたは私の民、イスラエルを飼い導くように。そしてあなたはイスラエルの上に指導者とならねばならない』」。またイスラエルのすべての長老たちもヘブロンの王のもとにきた。そしてヘブロンでダビデ王は神の前で彼らと契約を結んだ。彼らはイスラエルの上の王として、ダビデに油を注いだ。ダビデが王になったのは三十歳の時で、四十年間治めた。ヘブロンにおいて七年六ヶ月治め、エルサレムにおいて全イスラエルとユダを三十三年治めた。

 王と彼の従者たちは、エブス人たちが住んでいる地であるエルサレムに行った。エルサレムがイスラエル(北)、ユダ(南)を統一する上で、都として好位置にあると見たからである。また谷で囲まれた自然の要害でもあった。エブス人はダビデに言った「お前はここには入れない。たとえ目が見えず、足が不自由な者でもお前をかわせるだろう」。彼らはエルサレムが難攻不落の町なので、ダビデがここには入れないと思って言ったのである。しかしダビデは、エルサレムの城壁内に水を供給するための地下水路を通り、エルサレム中核のシオンの要害を取った。そしてそれをダビデの町とした。ダビデはダビデの町と呼ばれたこの要害の中に住んだ。そして彼は城壁の櫓であるミロからその内側に城壁を建てあげた。ダビデは次第に勢力を増して行った。ツロの王ヒラムがダビデに使者を遣わして、香柏の木、大工、石工を送ってきた。そして彼らはダビデのために家を建てた。そこでダビデは諸国民の目にも、自分がイスラエルの王として認められたことを知った。ダビデはヘブロンから来たのち、エルサレムでも妾や妻を娶った。それで再びダビデに息子たちや娘たちが生まれた。エルサレムにおいて彼に生まれた者たちの名前は、シャムア、ショバブ、ナタン、ソロモン、イブハル、エリシュア、ネフェグ、ヤフィア、エリシャマ、エルヤダ、エリファレトである。

 ペリシテ人たちはダビデがイスラエルの上に王として油注がれたことを聞いた。そこで全ペリシテ軍はダビデと会戦するために上ってきた。ダビデは聞きつけて要害へと下った。そしてペリシテ人たちは来て、レパイムの谷に展開した。ダビデはエフォデによって神に尋ねて言った「私はペリシテ人のところへ上って行くべきでしょうか。あなたは彼らを私の手に与えて下さるでしょうか」。神の答えは「上れ。私はあなたの手にペリシテ人たちを与えるであろう」だった。ダビデはバアルペラティムに来て、そこで彼らを討ち、言った。「神は破り出る(ペレツ)水のように私の敵を討ち破ってくださった(パーラツ)」。それで人々はその場所をバアルペラティム(破り出るバアル)と呼んだ。彼らは偶像を残して行ったので、ダビデと彼の従者たちはそれらを運んだ。ペリシテ人たちは再び上って来てレパイムの谷に展開した。ダビデが神に尋ねると神の答えは「あなたは上ってはならない。彼らの後ろに回れ。そしてバルサムの木の反対側から彼らに向かっていかねばならない。そしてバルサムの木の真上に行進の音をあなたが聞いた時に決行しなさい。なぜならその時、神がペリシテ人の軍隊を討つために出て行くからである」と出た。ダビデは神が命じたように行い、ゲバからボアハーガーゼルまでペリシテ人を討った。ここで特筆すべきは、戦闘のために神に伺いを立てるあり方は、これが最後となった。それは、宮廷には「王の友」と呼ばれる職務名の軍師が助言者として存在し、知恵、知識に基づいて戦略を助言するようになったことによる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?