棄てられた者の行方 13

 サウルはダビデに言った「私の長女のメラブがいる。あれをお前の妻にあげよう。だから、勇敢な息子となって、神の戦いを戦え」。サウルは「私の手をかけずに、ペリシテ人たちの手に彼をかけさせよう」と思った。ダビデはサウルに言った「王にとっての婿になるとは、この私は誰でしょうか。私の父の親族、氏族はイスラエルにおいて何でしょうか」。しかしサウルは心を翻し、娘メラブをダビデに与える時になって、彼女をメホラ人アドリエルに妻として与えた。一方、サウルの娘ミカルはダビデを愛していた。人々がそれをサウルに告げた時、そのことは彼の目に適うものと映った。サウルは思った「彼女を彼に与えよう。そうすればそれを彼にとっての罠とすることができる。すなわちペリシテ人たちの手を彼に臨ませよう」。サウルはダビデに言った「二番目の娘によって、お前は私の婿になりなさい」。サウルは彼のしもべに命じた「ダビデに密かに語って言いなさい『さあ、王はあなたを喜んでいます。彼の全てのしもべたちもあなたを愛しています。今こそ王に対し婿になりなさい』」。そこでサウルのしもべたちはダビデの耳にこれらの言葉を語った。しかしダビデは言った「王に対し婿になることはあなたたちの目には小さいことなのですか。この私は貧しく取るに足りない者なのです」。サウルのしもべたちは以上のように告げて言ったが、ダビデはこれらの言葉を返した。そこでサウルは言った「このようにダビデに言いなさい『王の敵に報復すること、ペリシテ人の百の陽皮以上には、結納として王の喜びとなるものはありません』」。サウルはペリシテ人の手によってダビデを貶めようと考えた。彼のしもべたちはこれらの言葉をダビデに告げた。このことは王の婿になる上で、ダビデの目に喜ばしいものだった。そしてこの達成には数日とかからなかった。ダビデは立ち、彼と彼の従者たちとともに行き、二百人のペリシテ人たちを討った。ダビデは彼らの陽皮を持ってきて、王の婿となるために王にささげた。婿となる条件である陽皮の数が確かめられたので、サウルは娘のミカルを彼に妻として与えなければならなかった。サウルはダビデの秀でた優秀さ、国民的英雄のような人気、そしてヨナタンや娘ミカルまでもがダビデを愛していること、何よりも神が彼とともにいることを思わせられた。サウルは自分の王権が奪われるのではないかとダビデを恐れ、生涯ダビデに対して病的な敵意を抱いた。その後もペリシテ人の君主たちは度々出陣して出てきたが、ダビデはサウルの全てのしもべたち以上に勝利した。そして彼の名前は非常に高まっていった。

 ついにサウルは彼の息子のヨナタンと彼のしもべたちにダビデを殺すように言った。しかしサウルの息子のヨナタンはダビデに対して非常に好意を抱いていた。ヨナタンはダビデに告げて言った「私の父サウルはあなたを殺そうと狙っている。それでどうか気をつけなさい。隠れ場に隠れて止まっていなさい。この私は出て行って、あなたがいる野で、私の父の傍に立ちます。そしてこの私が、あなたについて私の父に語ります。私が見たことは、全てあなたに告げます」。ヨナタンは、彼の父サウルにダビデについて庇って言った。「王はしもべダビデに対し、罪を犯されませんように。なぜなら彼はあなたに対し罪を犯しませんでした。すなわち、彼の行いはあなたにとって非常に良いものでした。彼は自分の手のひらに自分の命を置き、命がけで戦い、ペリシテ人を討ちました。彼は父上に対して罪を犯していないばかりか、大変お役に立っているのです。彼が自分の命をかけてペリシテ人を討ったから、神は全イスラエルに大いなる勝利を賜いました。あなたは見て喜んだのです。それなのにどうして理由もなくダビデを殺し、罪のない者の血を流すことによって罪を犯されるのですか」。サウルはヨナタンの語りかけを聞き、誓った。「神は生きておられる。彼は殺されることはない」。そこでヨナタンはダビデを呼び、これらの全ての言葉を彼に告げた。そしてヨナタンは彼をサウルのところへ連れて行ったので、彼は以前のようにサウルの前で仕えた。


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