『トーチカ』のはなし

深瀬 佑

（この記事は2020/09に書き終えたのに公開し忘れ気付いたら11月になっていました）

初めまして、深瀬佑といいます。

先日sasakure.UKさんの曲をお借りして自主制作したMV「トーチカ」が公開されました！わーい！


こちらの映像について、9月半ばに開催された自主制作映像トークイベント「RENDA」で色々語らせていただきました。聞いてくださった皆様、本当にありがとうございました。（以下のリンクから自分が喋っている部分に直接飛びます、緊張で声がキンキンなので気を付けてください）

制作の備忘録を残しておいたので、RENDAの話と被る内容もありますがこちらで公開します。

具体的な内容の解説は野暮だから（恥ずかしいから）しません、人生で2回目のMV制作で映像まじ何も分かんないマンなので技術的な話は無いです。だらだら制作メモでも大丈夫な方はどうぞ～。


時は遡って2019年の12月になります。

一番好きなボカロPであるsasakure.UKさんが6年ぶりにVOCALOIDアルバムを冬コミで出してくださいました。

自分にとってVOCALOIDは音楽の原体験です。実家の方針でテレビをあまり観ない環境で小中学生時代を過ごしたため、インターネットに触れて初めて「自分の意志で好きな音楽を選んで聴く」経験をしました。その時にちょうどニコニコ動画を通じてVOCALOIDを好きになりました。

中でもsasakure.UKさんの曲が特に好きで「終末シリーズ」を筆頭に物語性の強い音楽にハマっていきました。「ガラクタ姫とアポストロフ」が一番好きです。「オーロラを食べた子」「エソラコト」「クエスチョンユー100」も好きです。曲調は暗くないけど世界が滅亡してる曲は全部好きです。そんな方の新譜、しかもVOCALOID曲ばっかり入ってる！ということで冬コミで買ってきてもらって聴きました。


………よすぎる


めちゃくちゃ最高のアルバムなので全人類聴いてください。曲はもちろんアルバム本体のデザインや質感もよくてずっとスリスリしてたくなる感じです。盤面も歌詞カード（特に裏表紙）もたまらん。音源ダウンロード派の方が多い昨今ですが是非実物をお手にとってほしいです。

このアルバムの中に今回お借りした楽曲『トーチカ』があります。歌詞やミクちゃんの調声がドストライクで聴いた瞬間に「好き！！これの映像作りたい！！」という気持ちでいっぱいになりました。


このアルバムについてのインタビューがあるのでお時間ある方は読んでほしいです。

これを読んでさらに大好きになり、うっかり勢いで映像のプロットを起こしたものの、過去作品が1つしか無いよく分からん初心者が映像作っていいのか………と二週間血迷った末、楽曲二次利用させていただけませんか、また2020年9月に予定される映像上映イベント「FRENZ」に作品を出展したいです、と連絡したところ快くOKしていただきました。メールの返信が来た時は盛大に家の床を転がりました。

というわけで1月下旬から「FRENZ」の締切り（例年08/31）に向けて制作を始めました。

※この映像の世界観やキャラクターは深瀬個人が作ったものです。事前に打ち合わせ等はしておらず「あくまで深瀬個人が作った映像である」ことだけ誤解無きようお願いします。

深瀬は字コンテ→動画コンテ→作画の順で作業をするのでまず字コンテを書きます。MVはMusicのVideoであるということを念頭に置き、色々なものを観て調べて考えて「映像のテーマ＝この曲の良さや世界観をより強く表現できる主軸」を決めました。主軸に沿って時代背景やキャラクター設定を文字上で詰めてストーリーを作ります。ストーリーを決めたらそれをどういう構成にするか、何を参考に進行するか、どういう色味にするかなども書き加えて適量にまとめました。

時間が経ちすぎてあまり覚えていませんが、記録によると2月から動画コンテを描いていたようです。今回の制作で「字コンテで構成まで決める→動画コンテで具体的にどういうシーンにするか考える」のが自分に合ってると発見できて良い経験になりました。といっても2月は卒論に追われ3月は卒業、引っ越し、4月は進学with新型ウイルスと目まぐるしい生活でほとんど実作業は進んでいません。

動画コンテが4月半ばに6割、5月に8割できたようです。去年のFRENZに出た時に他の作家さん達から影響を受けて、歌詞を手描きで動かすのやりたいな～と思っていたので4月と5月はずっと文字アニメーションを書いていました。細かい作画は精神に余裕がないと出来ないのでタイトルロゴのアニメーションもこの時期に描いたはず。イラストソフトで永遠に文字を書き続けて自分が何をしているのか分からなくなりもしましたが楽しかったです。

タイトルは特にチがお気に入りです。

タイトルfull


5月の制作メモの末尾に「締切まで三か月あるのでこの動画でやりたいことを大量に挙げて未来の自分の首を絞めておいた」とあり、その下にものすごく高い理想が羅列されていました。未来の自分への殺意高すぎへん？

6月はキャラクター以外の作画をしていたようです。キャラ絵は作画カロリーが低いので後でも出来ますが、背景作画は高カロリーの割に描いた感がないので先に終わらせないと死ぬからです。無駄にA型を発揮して都市計画や建築の勉強からやっていたらしいです。（だから作業が遅いんだぞ！）　

動画コンテが6月下旬でほぼ確定！とメモしてありましたが、ぶっちゃけ公開の数日前にも没カット出したので自分が全く信用できません。この時期は映像の作り方で分からないことが沢山出てきました。模索したけど未だに腑に落ちきってないので今後も頑張ります。

この時期から学校が本格的に忙しくなって作業時間が死にました。



7月に入ってやっとキャラクターと塔（ぐにゃぐにゃしたやつ）のデザインが確定します。キャラクターデザインは曲を初めて聴いたときから8割くらい決めていましたがばちっと確定したのはこの時期です。塔は縦にした豆腐みたいなデザインを最初考えていたのですが二回やりなおして今に至ります。

『トーチカ』を出展しようと思っていたイベントFRENZ2020の中止が決まったのもこの時期でした。かなり意気消沈したけど絶対9月までに作りきると腹をくくっていたので続けます。7月の私曰く「人間の目ってすごい 自然光は神 重力やべえ」だそうです。07/20時点で背景作画があと20枚残っています。アホ？



8月にやっとキャラ絵を描き始めます。この時期「絵を描くだけじゃ足りず、描いた絵を動画にすることが大事だと気づいた」そうです。初歩的だけど大事な発見だね。いわゆる撮影という作業です。

一本の映像に7か月かけるのってもしかしてめちゃくちゃ長いのでは？？？と6か月経って気付きます。遅い。2～4月はあまり作業が進んでないので実質4,5か月くらいですが。

ただ、この期間は初心者の自分が藻掻くに足る長さだったのでこれで良かったです。絶対雑にしたくなくて、初心者に出来ることと言ったら時間をかけることくらいなものなので…。


そのまま9月になり、ほぼ完成したけど公開どうしようか…と思っていた頃にFRENZとAEオフ共催のオンライン映像イベント「RENDA」開催のお知らせが来てテンションを持ち直しました。

その後確認の為ささくれさんに動画をお送りしたところ、ありがたいことに大変気に入っていただけて、二次創作だけど公式から公開してもらうという前代未聞の事態になりました。とっても嬉しいけど未だに現実味がありません…！！！（公開から二か月経った11月でも実感があんまりないかも）



ここから余談ですが、去年のFRENZの後にこんな記事を書いておりました。

ここに書いた通り、去年も100％出来ることをやったし精一杯愛情も時間もかけたけど、周りと比べちゃってすごく悔しかったんです。FRENZはつよつよクリエイターさんが沢山来る場所なので自分なにもできないじゃん！って思いました。（初めて映像作ったド素人が二桁年映像作ってるプロの人たちと自分を比べるなんて図々しいにも程があります。すみません。）

もうそんな悔しくて惨めな思いせずに済む良いモノ作りたい、誰かの心にぶっ刺さる作品にしたい、一人で良いから私の映像が一番好きって思わせたいって、1年ずっと思ってた。どうかな…。皆さんの客観的な評価は分からないけど自分は満足です。


今後もっと絵上手くなる予定しかないし、動画なんて相変わらず初心者すぎてこれ以上下手にならんし、絶対にもっと良いモノ作ります。

またいつかささくれさんの曲で映像作らせていただけたら最高に幸せだし、音楽の方でも映像の方でも誰かと一緒に映像制作やれたら楽しそうだし、やりたいこといっぱいあるので精進します。深瀬佑でした。

（と書いてたらありがたいことに先日映像を担当した『イロ:フレテ』が公開されました。秋にぴったりなのでこちらも是非。『イロ:フレテ』の話も近いうちにnoteに書く予定ですので何卒…）





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