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小説・雑記

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創作物のまとめ箱 冒頭小説、掌編、端切れ
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#逆噴射小説大賞2019

黒猫王の帰還と五つの太陽の再臨

 南米大陸縦断鉄道トルメンタ・デル・ソル号の事件で生き残ったのは二人の子供と一匹黒猫だけだった。ブエノス・アイレスから北へ約百キロ、コンセプシオン・デル・ウルグアイの高架のなかほどで、たった二本の採掘用ダイナマイトのために機関車と十両の客車、四両の貨物車がラ・プラタ河に沈んだ。  アレクセイ・ロマノフは当時八歳の少年だった。彼はのちに死の刹那、すなわち大陸の南端カボ・デ・オルノスの波打ち際でカソリックの狂信者に心臓を貫かれる満月の夜に、皮肉にも同じような月の夜、母の膝の上から

Freaks' Country Roads

 僕は先頭の幌馬車の御者台で、ギターを鳴らしてカントリーを唄っていた。隣りに座る腕なしのエルフ、アルダは器用に足で手綱を操りながら、時々なんとなしに鼻歌を僕の節に合わせてきた。僕の七本指は調子よく弦を弾いていた。ナラの林はもう橙色になっていた。  南からはトロルの軍勢が、西からは死霊術師たちが、北からは帝国の山岳部隊が攻め立てているらしいけれど、僕らには戦争というものはあまり関係がなかった。どのみち巡業のフリーク・サーカスとしてあてどなくさまよい続けることに変わりはない。陰

Re:vengeance Tower

 主幹昇大降機が停止し、太い鉄管のドレンから排蒸気が吹き出した。半径1kmを超える昇降機が、ベースメントフロアからグランドフロアに運んできたのは唯一人、猫頭種の青年だった。詰め襟の黒いコートが熱い霧にたなびいた。上階から掃討機銃を二門そなえた大型のクアッドローター・ドローンが現れ、降下猟兵型シンセティックを投下しながら着陸する。治安維持軍の50体は素早く展開し、青年を包囲した。タングステンのフレシェット弾をフル装填した軽機関銃が50丁、一斉に照準を合わせた。遅れてブルドック頭

上海ギャングスター

 俺がギャングスタになろうと決めたのは1927年12月、時計塔みたいな江海関が建った年だ。当時の上海は西欧の列強国に共同統治されていた。上海共同租界の時代だ。  上海暗黒街の三大ボス、聞いたことはあるだろう。黄金栄、張嘯林、杜月笙。中でもハゲの杜月笙は、俺達にとっちゃ神みたいな存在だった。  表通りこそ煉瓦造りの派手なビルディングが並んでいたが、ちょっと裏通りに入れば、阿片窟だらけだった。糞やらゲロやら、腐った汚物の塊がぬかるんでいた。  あのとき、俺は14歳だった。華林茶行