見出し画像

児童書「なんでもふたつさん」のあらすじの紹介と評価


評価

娘:☆☆☆
ママ:☆

読んだ目的/きっかけ

この本は、絵本ナビの「もっと笑いたい!ユーモア幼年童話」のページで見つけました。娘と読んでいる幼年童話は、日本人が書かれたものが多いので「たまには、外国の方が書かれたお話を読んでみようかな」と思い、読ませていただくことにしました。

ママの感想

「なんでもふたつさん」さんは、「何でも二つずつそろえるのが大好き」な男性です。「なんでもふたつさん」は、買うものも着るものも仕事も食事も、何でも「二つ」ずつです。けれども、そのような「なんでもふたつさん」には、「二つ」そろっていないものが二つありました。それは、奥さんと息子です。一方、息子のピーターは「何でも二つずつそろえる」お父さん自体を、そして、お父さんが「何でも二つずつそろえること」を自分にも要求してくることを嫌っていました。そのようなピーターの前に、ある日、自分とそっくりな男の子が現れました。

この本のお話はとてもおもしろかったです。「何でも二つずつそろえること」をモットーにしている「なんでもふたつさん」の生活は、その話を聞いているだけで笑わずにはいられませんでした。個人的には、「仕事」も二つ持っているというエピソードには、「それって、法令的に会社は大丈夫なのかな?」と思いつつ、いずれにせよ、人より多く汗水流して働いてまで仕事も「二つ」したがる「なんでもふたつさん」には感心してしまいました。私は一つの仕事だけでもう十分です。

また、この本では、「なんでもふたつさん」の「何でも二つずつそろえること」を嫌う息子の話が描かれていましたが、「奥さんはどう思っているのだろう?」と、この本に描かれていない奥さんの気持ちを想像して…背中がぞくっとしてしまいました。このように、私はこの本をとても楽しく読ませていただきました。しかしながら、上記のとおり、私のこの本に対する評価は「☆」です。上記のとおり、この本に対して「おもしろい」と思っているにもかかわらず、評価を低くした理由は、この本の結末に対して強い不満を感じたからです。

ピーターは、ある日、近所に引っ越してきた自分にそっくりな男の子の協力を得て、「なんでもふたつさん」を困らせて「何でも二つずつそろえること」をやめさせようとします。上記ピーターの目論みは、ピーターの思いとは異なる方向に進んでしまうものの、「まぁ、概ねハッピーエンドかな?」と思えるような結末にたどり着きます。ただ、その「結末」の部分で、「親子の絆は?」と問いたくなるような内容が描かれていました。

私は、上記点に対して、強い不満を持ちました。私が子どもだったころ、下記のようなお話を子ども向けのテレビ番組で見ました。そのお話では、魔女がお母さんに化けていて本物のお母さんと魔女が扮したお母さんが「私があなたの本当のお母さんよ」と言って子どもに「自分を本当の母親として選ぶよう」双方が迫るお話でした。このお話のなかで、主人公の子どもがどうやって正しい母親を選んだのかは私の記憶には、残念ながら残っていません。しかし、大人になり、母親になった今、娘と息子の前に私に扮した魔女が現れたとしたら、娘と息子が間違えることなく、私を「本物の母親」として選んでくれるかどうか…「それは魔女の変身のクオリティ次第かな?」と思わなくもありませんが、もしも逆のパターンの状況に直面したとしても、私自身が、自分の子どもを間違えることはないと強く思っています。…少なくとも、そのくらい子どもを大切に思い、日々、向き合っているつもりです。ただ、いずれにせよ、その場で「魔女の母親/子ども」を選んだとしても、それまでに親子として積み重ねてきた時間がその後、「正しい母親/子ども」を自ずと明らかにしてくれるものと思っています。

加えて、もしも間違った「母親/子ども」を選んでしまっていたとしても、「本物の母親/子ども」に会いたいと思うのが「親子の絆」なのではないかとも、私は思っています。この本の結末の一部は、私の上記「親子の絆観」に対する考え方と異なる内容となっていました。この本の結末を「おもしろい」と思って受け入れられる方々もいらっしゃるとは思いますが、子どものことが大好きで大好きでたまらない私としては、まったく納得をすることができない結末でした。そのため、「おもしろかった」という感想を書きつつも評価は「☆」とさせていただきました。

なお、この本は日本では2010年に出版されていますが、もとの本は1960年代に出版されていたようです。このような「時代の差」が国の違いと相まって、私の「結末に対する不満」につながっていたりするのかもしれません。とはいえ、英語が苦手な私は外国の家族観はまったく知らないため…このあたりの勉強も必要そうです。

一方、娘は私が引っかかった点についてどう思ったのかは…私が不満に思い過ぎていたのであえて娘に確認をしていません。というか、私が触れたくなかったというのが正直なところです。その甲斐あってか(?)、私がこのお話を「おもしろい」と思ったように、娘もこのお話をおもしろいと思ったそうです。娘は、「なんでもふたつさん」が「えっ、それも二つずつなの?」と思うものまで「二つずつそろえるところ」をとても楽しんでいたようでした。加えて、この本は、外国の方が書かれたお話でしたが、娘が知っている範囲の「世界に対する了解」で理解ができる内容だったことも良かったようでした。

上記のとおり、私はこの本の1点にものすごい不満を持ったため、評価を低くしてしまいましたが、この本の大部分はおもしろかったと思っています。
そのため、この本を含む「新装版 ゆかいなゆかいなおはなしシリーズ」のほかの作品を今度、読ませていただきたいと思います。

この本は、「何でも二つずつそろえること」をモットーとする「なんでもふたつさん」に息子が反旗を翻したと思いきや…「あれ?」という展開をたどるおもしろいお話でした。「感想」としてお話の1点にこだわった不満を書いてしまい、大変失礼いたしました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?