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写真絵本「季節のごちそうハチごはん」のあらすじの紹介と評価


評価

娘:☆☆☆
ママ:☆☆☆

読んだ目的/きっかけ

本絵本をどこのサイトで見つけたのか、わからなくなってしまいました。しかしながら、インターネット上のどこかで本絵本を見つけ、「ハチを食べる話か・・・」と興味を持ったことは覚えています。

私自身、虫が苦手なため、これまでにハチをはじめとした、いわゆる「虫」を食べたことはありません。しかしながら、イナゴの佃煮や本絵本で扱われているハチを食べる文化が日本にあることは知っていました。加えて、海外ではイモムシを食べていることも知っています。そのため、「日本では、実際、どのようにして虫を食べているのだろう?」と本絵本のタイトルを見た際、興味が湧いてきました。そこで、図書館でお借りさせていただくことにしました。

ママの感想

本絵本では、岐阜県の郷土料理「ヘボの甘露煮」が扱われていました。ヘボはクロスズメバチのことだそうです。本絵本では、ヘボの巣を見つけるところから、巣を育て、そして、ハチの子を巣から抜き出すところまでを、たくさんの写真を使いながら詳しく説明していました。

本絵本は、非常に興味深いお話でした。本絵本を読んだことで、「私もヘボ料理を食べてみたい!」とは思いませんでしたが、「ヘボを食べる、ハチを食べるとはそういうものか」という納得感というか、何と言うか。本絵本を読むまでは、「虫を食べるって何か気持ち悪いな」という気持ちが正直なところありました。

けれども、本絵本を読んだことで「そういう食文化なのだな」と、すっと腹落ちするような感覚がありました。このように感じた理由として、下記2点があると思っています。

1点目は、「おじいさん」と言われる年齢の人たちが、森のなかを少年のように走り回りながらヘボの巣を探す「ハチ追い」の様子を見たことです。「ハチ追い」の様子は、本絵本のなかでは、結構、詳しく描かれていました。その様子を見ていると、「そうか、この人たちは、きっと子どものころからこうやって『ハチ追い』をしてきたのだろうな。そして、この人たちの上の世代の人たちも同じようにやってきたのだろうな。そして、代々、ヘボを食べてきたのだな…」と感じている自分がいました。おじいさんたちのヘボを追いかける際の、手慣れた感じや仲間との連係プレーには「むかしを描いた映画に出てきそう」という印象を持ちました。このようなおじいさんたちの様子に、「代々受け継がれてきた文化」を感じました。

2点目は、ハチの子を巣から抜き出す作業を、家族みんなで行っている様子を見たことです。小さなお子さんからおじいさん・おばあさんまで、家族みんなでハチの子を巣から抜く作業をしている写真からは、「祖父母世代→親世代→孫世代」とヘボを食べる習慣が受け継がれていることが感じられ、「その流れはずっとむかしから続いてきたのだろう」という、歴史の長さを感じました。それは、私たち日本人が、外国の方からすると「それ、食べるの?」と思われるようなタコやイカを当たり前のように食べていることと、何ら変わらぬことだと感じられました。そうすると…私もヘボを食べる地域で生まれ育ったら、今の自分とは異なり、ヘボを食べる人生を送っていたのかもしれません。そのような私は、きっと今の私ほどには虫が苦手ではなかったのかもしれません。そのようなことを考えると…とても不思議な感じがしました。自分が今の自分であることは、良くも悪くも「一つの偶然のかたち」なのだと思いました。

本絵本について、娘は非常に興味を持ってお話を聞いてくれました。娘も私と同様、虫が苦手なので、本絵本を娘に最初に見せた際には、「えっ、ハチを食べるの!?」と顔をしかめていました。実際に娘が、自分の友だちから「ハチを食べるとおいしいよ」と聞いたらどう反応をするのか…おそらく、失礼な反応をするのではないかと、親としては心配をしています。実際、本絵本を読みながらも、娘は「うわぁー」という表情を何度かしていました。家のなかだけでそのような反応をするのであれば良いのですが、家の外ではきちんと社会的に振舞えるようになってほしいところです。

上記意図から、本絵本を読みながら、「こういう食文化を当たり前のものと考えて育っている子どももいる」という趣旨の話を娘にしました。本絵本には、実際、子どもがヘボの甘露煮を食べている写真が出てきているので、私の話も含めて、娘は理解をしようと努めている様子は見られましたが…まだ、親としては心配が残っています。また機会を見つけて、娘には「はなし」をしていきたいと思います。

なお、先日、娘のお友だちのお母さんから、娘のお友だちはイナゴの佃煮が好きでよく食べていることを伺う機会がありました。その際には、一緒にお話を聞いていた別のお母さんと「すごいねー!食べられるんだ!」と素直に驚いた感想を二人そろって口にしてしまいましたが…身近な人から「虫を食べる」という話をされた際、どのように反応をするのが正解なのでしょうか。。

私自身は、「虫を食べること」自体に対する理解はしているつもりです。ただ、自分は食べられないため、虫を食べられる人に対しては素直に「すごい」と思っています。何でしょう、ある意味、激辛料理を食べられる人に「すごい!」と思う感覚と同じなのだと思います。「虫を食べる」という話を聞いたとき、娘のように嫌悪感を示すことは論外として、どのような態度をとるのが社会的に望ましいのか、思いのほか、難しい問題だと感じました。

本絵本は、岐阜県の郷土料理「ヘボの甘露煮」をめぐり、ヘボを捕まえるところからハチの子を手に入れるまでの様子を写真を使って描いた興味深いお話でした。虫のインパクトが強すぎて、「命をいただくこと」に言及できなかったことは…「失敗だった」と反省しています。


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