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児童書「まほうのほうせきばこ」のあらすじの紹介と評価


評価

娘:☆☆
ママ:☆☆

読んだ目的/きっかけ

この本は、大型書店に立ち寄らせていただいた際に、見つけた本です。この本が「夏休み特集」のコーナーに置かれていたこと、表紙の絵の「魔法の宝石箱」に貝殻など「夏の思い出」が詰め込まれているような楽しそうな絵に魅かれて読ませていただくことにしました。

ママの感想

「明日はおじいちゃんとおばあちゃんの家に行く日」と楽しみにしていたユウナが翌朝目を覚ますと、お母さんが泣いていました。前の日の晩、おじいちゃんが亡くなってしまったのです。それからしばらく時間が経ち、ユウナが2年生になったある日、ユウナはクラスの男の子から「死ね」と言われてしまいます。そのとき、普段、乱暴な言葉遣いをしている奈良くんが、自分のお母さんが死んでしまうかもしれない病気にかかり手術をした経験を話し、「死ねといってはいけない」と話します。そのような出来事があった翌日、ユウナは学校に行けなくなってしまいました。

このお話は…私にはいまいち理解ができないお話でした。のちに、知り合いに概要を伝え意見を聞いたことですっきりしたのですが、先に、私がモヤモヤと感じた感想を書かせていただきます。

そもそも、「読んだ目的/きっかけ」に記載をしたとおり、この本は、私が期待をしていた内容とはまったく異なるお話でした。それはそれで別に構わなかったのですが、物語の前半には、ユウナの祖父の死、友だちに「死ね」と言われる、また別の友だちはお母さんが死にそうな病気にかかって手術をしたという「死」にまつわるエピソードが複数提示されます。

ここまで読んだところで、私としては「この本は『死』を扱ったお話なのかな?」と思いました。「魔法の宝石箱=思い出の宝石箱」としてストーリーが展開していくのかと思いました。しかし、物語は私の予想外の方向へと進んで行きます。ユウナが学校に行けなくなってしまうのです。私自身も学校は好きではなく、できれば行きたくないと常々思っていました。学校に行ったら友だちはいるし、楽しく過ごせていたにも関わらず、私は学校が好きではありませんでした。そのため、不登校になる子どもの気持ちはまったく想像できないわけではないのですが…ここまでのストーリーの流れから、「何でここでいきなり不登校!?」と私の頭がお話についていけませんでした。とはいえ、実際に子どもが不登校になるときというのは、この本のように子どもに起こっている出来事をまったく把握できていない状況で「ある日、突然、起こるもの」なのだと思います。

そこで登場するのが「魔法の宝石箱」でした。ユウナのお母さんは、「魔法の宝石箱」に自分の気持ちを書いて入れていたそうです。小学校低学年の子どもは、まだ自分の気持ちを適切に表現したり言葉にしたりすることが難しいことはわかります。だから、「自分の気持ちを紙に書いて外在化すると良い」ということを伝えたいお話なのかな、と思いましたが…この本の前半の死の描写からの突然の不登校、そして、「魔法の宝石箱」という展開が私にはいまいち腑に落ちませんでした。そのため、この本を読み終わった際には、娘に「何かモヤモヤしたり苦しくなったときには、こうやって『魔法の宝石箱』に気持ちを書いて入れてみると良いかもね」と伝えてこの本の読み聞かせを終わりました。

しかしながら、この本の感想を書こうと思ったとき、どうしてよいのかわからず、知り合いに話をしたところ、「それって、カウンセリングを書いたお話でしょ?」と言われました。その方曰く、「『魔法の宝石箱』は秘密が守られた『カウンセリングルーム』で、そこで、安心して自分の気持ちを表出する」と解釈できるとのこと。言われてみれば、「そうかぁ」と納得はできました。

ただ、小学校低学年の子どもが「セルフケア」として「魔法の宝石箱」を自分で真似をすることは…できるものなのでしょうか。私の感覚としては「難しいのでは?」と思うため、「そうすると、この本は大人が読むべきなのではないか?」と思えてしまいました。小学校低学年になると、祖父母の死に直面することも人によってはあると思います。しかし、知り合いの意見のとおりこの本が「カウンセリング」を描いたお話なのであれば、「死」という小学校低学年の子どもを持つ親がそれ自体に関心を持ってしまうようなエピソードではなく、「友だちに嫌なことをされた」など、一般的な不登校の原因となりそうなことというか、スクールカウンセラーが対応しそうなエピソードを前半に盛り込んでくれた方がわかりやすかったと思いました。ただ、この本では、「死」に関するエピソードが繰り返されるので、何か意図があったのかもしれませんが、私の小さな頭では理解をすることができませんでした…賢くなりたいです。。

この本は、小学校低学年の子どもが出会う可能性のある「辛い体験」をどう扱い、昇華させていくかということを描いたお話(だったよう)でした。この本の内容を子どもが自分で活かせるとは私には思えないため、大人も一緒に読むことをおすすめします。


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