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落語絵本2「まんじゅうこわい」のあらすじの紹介と評価


評価

娘:☆☆☆
ママ:☆☆☆

読んだ目的/きっかけ

本絵本は、我が家の読み聞かせの定番シリーズ「川端誠落語絵本シリーズ」から、出版順に選ばせていただきました。

ママの感想

町内の若者の宴会の日、早く集まった者たちが「自分の嫌いな生き物を言い合う」ことになりました。皆がヘビやたぬきなど、「なるほど」と思える理由とともに順番に「嫌いな生き物」を言い合っていくなか、最後に残った松つぁんは、「嫌いな生き物はいない」と言い出しました。けれども、そんな松つぁんにも嫌いなものが1つだけあるそうです。それが「まんじゅう」!松つぁんは、普段から「嫌な奴だ」と思われていたため、松つぁんの嫌いなものを聞いたほかの者たちが松つぁんに対する嫌がらせを画策します。

本絵本は、とてもおもしろいお話でした。松つぁんの「話の持って行き方」には心底感心してしまいましたが、加えて、松つぁんは「うまい役者だな」とも思いました。松つぁんの自分が周りからどう思われているかもしっかり理解したうえでの大芝居!「そんなに客観的に自分を見ることができるうえに、大芝居を打つ賢さがあるなら、松つぁんは普段から『嫌な奴』と思われない生き方もできるんじゃないの?」と思ってしまいましたが…松つぁんが嫌われ者でないとこのストーリーは成立しないので、仕方がないのでしょうか。

上から目線の感想で恐縮ですが、このお話は、「人間というものの性質を本当によく理解したうえでつくられたお話だな」と感心せずにはいられませんでした。「川端誠落語絵本シリーズ」のお話は、何冊か読ませていただいていますが、これまでに読ませていただいたお話とは「つくりが違う」と感じたお話でした。おもしろかったです。

本絵本については、娘と息子もおもしろかったようで、笑いながらお話を聞いてくれました。特に、本絵本のメインの「おもしろさ」である松つぁんの「うまさ」だけではなく、思わず、子どもも大人も反応したくなる「小さなおもしろさ」がたくさん詰まっていたところも良かったようでした。たとえば、誰かが言った「クモが嫌い」という意見について、松つぁんが「糸を出させて納豆に混ぜれば粘りが出る」と返すところなどは、「うぇー」と言いつつも思わず笑ってしまいました。このような点について、娘と息子と一緒に逐一、突っ込んでみたり意見を言い合ったりしながら楽しく読ませていただきました。

そして、本絵本のメインの松つぁんの「ずるさ」というか「おもしろさ」については、娘はしっかりと理解をすることができていました。詳細の記載は控えさせていただきますが、最後、満面の笑みで「うまいお茶が恐い」と言い出した松つぁんの意図について娘に質問をしたところ、娘からはしっかりと「正解」が返ってきました。このお話で松つぁんが使った「うまさ」は、松つぁんに対する周囲の思いや環境などがうまく機能してこそ成功しているので、我が家では、今回、松つぁんが使った「うまさ」は真似できないので残念です。…残念なのかは、疑問ですが。ただ、「松つぁんの真似をしてみたいな」と思ってしまうようなおもしろさでした。

本絵本は、みんなからあまり好かれていないことをうまく使った松つぁんの「ずるさ」に、周囲がすっかり乗せられてしまうおもしろい「頓智話」(?)でした。おもしろかったです。


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