麻雀総理

 すべての衆議院議員、参議院議員が議事堂の広い一室に集まり、麻雀卓を囲んでいた。
 遊んでいるわけではなく、総理大臣の椅子を賭けての真剣勝負だ。
 総理大臣の職を賭けの対象にすることの法律的是非はさておいて、果てしなく繰り返される総理大臣のたらい回しにいい加減に国民がキレ、せめて引きの強いやつを選べということで、総裁選は積み込みナシの麻雀で決することになったのである。
 さすがに最終卓まで勝ち上がってくる雀鬼、もとへ、政治家はお馴染みの面々だ。
 安倍晋三
 山口那津男
 橋下徹
 志位和夫
 政治家としての力量がそのまま雀力としてあらわれるらしい。
 山口那津男は安倍晋三のアシストに徹し、理知的なゲーム理論に基づく志位和夫は自分の得点も稼ぎつつ、橋下徹の足を引っ張る。
 安部は悪運が尽きたのか、放銃を繰り返す。
 自民党政権もとうとう終わりかと思われたが、南場四局目のハイテイ牌で安倍晋三が役満を引き当てた。とんでもなく強引な逆転劇だ。
 第四次阿部内閣の誕生である。
「牌の引きだけ強い人もいるんだなあ」
 と国民は思ったことであった。

(了)

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