定額給付金
杉並区から定額給付金支給の書類が届いた。
子ども、高齢者は二万円、それ以外は一万二千円の支給だ。
そのはずなのだが……書類は選択式になっている。
一万二千円か電子ネズミ一匹、あるいは二万円か電子ネズミ一匹
「なんじゃこりゃ」
「一万円で一万一千円分の商品券が買えたりするでチュー。あれと同じで、お得な電子ネズミが来るでチュー」
とびすが言う。
「三匹も来たら、おまえはこの家から出ていくの?」
ふるふると首を振る。
「電子ネズミにするのは奥さんと息子さんだけでチュー。それ以上増やしちゃイヤでチュー」
「冗談だよ」
で、どうしよう。
怒るだろうなあと思いつつ、妻と息子には内緒で電子ネズミ欄に丸をしておいた。びすがそのほうがお得だというからだ。
妻用の電子ネズミは、妻に肩たたき券を渡した。最初は激怒した妻だが、どうもむちゃくちゃ気持ちよかったらしく、すぐに文句を言わなくなった。
息子用の電子ネズミはOSがPSP3で、人気ゲームが何本かROMに焼き付けられていた。二万円よりずっといいと、息子もご満悦だ。
ほっとした私は一万二千円で飲みに行こうとしたら、
「それは唯一の現金収入だから」
ということで、焼き肉に化けてしまった。
「家庭は不条理なものでチュー」
ネズミの分際でわかったようなことをいうな(泣)。
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