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こんな時だから椎名誠の北政府ものを読もう。

 新型コロナウィルスによって、終末感が高まっているように感じる。学校へ来るなっていうし、仕事もどんどん止まり、店舗も閑古鳥。このまま静かに終わりを迎えるのか、ニッポン。
 家の中で沈思黙考しているとそんなことばかり考えるので、ここはひとつ、爽快感のある椎名誠のSFでも読んでみたい。椎名SFの傑作に北政府ものと呼ばれるシリーズがある。代表作は「武装島田倉庫」。マンガ化もされている。
 北政府との戦争によって、ライフラインが断たれ、生態系もむちゃくちゃになってしまった近未来のお話。崩壊した世界を渡り歩き、異常な生物と出会う。油まみれのどろどろ感がすごい。未来があまりにも暗黒すぎて、笑ってしまう。語り口はむしろ明るい。
 「武装島田倉庫」は短篇の連作で、ぜんぶまとめて長篇のようにも見える。このシリーズにはこの方法が似合っているようで他にもずいぶんの数の短篇が書かれている。書籍でいえば「みるなの木」とか「砲艦銀鼠号」とか。あまりの荒唐無稽さに「ははは」と笑って読めるので、これを機会にぜひ。

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