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電気代高騰の犯人は誰だ?

2022/05/10


■ 電気代が値上がりしている

この1年間で1650円程度電気代が上がっている。どれぐらい上がっているのか東洋経済の記事からグラフを見てみる。

標準世帯の電気代料金が2021年期50%も上昇している。使用量が多い世帯の1ヶ月の電気料金は43%上昇すると言われている。比較されている対象の2021年の1月の電気料金が一番安かった時と比較しているので、すごく上がったように見えるが、そうでなくても平均的に見て上がっている。

今年の1月のニュースで、2021年12月のコア消費者物価指数が0.5%上昇で、少し緩やかなインフレと報道はされているが、生活をしていて物価が上がっていると感じる人は多いと思う。
菅政権時代に行われた携帯電話料金の引き下げが、消費者物価指数を1.5%引き下げる役目をしているので、電気代とか野菜などの生鮮食品の価格が上がっているにもかかわらず、数字上は物価は上がっていないと表れている。

水道光熱費を見てみると、2021年12月の前年同期比で11.2%上昇している。そこから今五か月たっているので、インフレ傾向がかなり強く出ていると思う。
こうやってジワジワと生活に関わる部分の値段、物の価格、サービスの価格が上がっているので、家計を圧迫している。


■ 市場連動型電気代プランは悲惨な状況 

市場連動型電気代プランを契約している家庭はかなり悲惨な目に遭っている。 
ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんの記事を取り上げてみた。
「市場連動型は高リスク・・・電気代高騰で見直す契約プランと家電の使い方」


最近電気代が上がってきたなという方は、ぜひこの丸山さんの記事を読んでみてもらいたい。市場連動型は高リスクと警鐘を鳴らしておられる。


この市場連動型プランがなぜハイリスクなのかと言えば、市場連動型の市場とはFITで作られたJEPXと呼ばれる電力の先物市場なのだ。この電力の先物市場でいろんな新電力は電気を調達する。そして皆さんのご家庭に供給をするが、ほとんどの新電力は、価格は固定でお客様に提供していて、価格高騰で損をしているのは新電力側だ。

市場連動型プランだと市場価格JEPXの価格が低い時に、安い価格で提供できると契約されたご家庭は、急に価格が高騰して、すごく高くなっていた事件がこれまでに何度かあった。
 
経産省、電力ガス取引監視委員会から、2021年9月24日に資料が出ている。
「市場連動型小売電気料金の説明・情報提供について」

・現在さまざまな電気料金メニューが提供される中、スポット市場価格に連動して電気料金単価が変動する料金メニュー(市場連動型料金メニュー)については、2020年度冬のスポット市場価格の高騰に伴い、電気料金が高額となる事象が発生。 
・このことについて、電力ガス取引監視塔委員会には、需要家から多くの相談が寄せられ、中には事前に充分な情報提供がなかった。具体的なリスクの説明がなかったなどの声もあった。
・このため委員会事務局では、小売事業者による需要家への説明・情報提供の状況について実態把握を行ない、その結果を踏まえ、制度設計専門会合において対策の必要性等の議論を行ってきた。

この事業者ヒアリングによれば、市場連動型の需要家件数、ユーザーの件数は69万人で、全契約数の0.7、8%。パーセンテージとしては少ないが、69万人ぐらいは電力価格の高騰に驚いたことになる。

■ 誰が悪いのか

それではいったい誰が悪かったのか。JEPXという市場が始まる時は、JPEXで 電力を余剰電力を調達して売れば、右から左に儲かるという説明を受けてきた新電力が悪いのか。お客様に安い価格で市場連動型だと、すごい安い価格で電力が 使える。電気代安くなる。だって俺たち経産省からそのように説明を聞いたのだ。じゃあどっちが悪いのだという話なのだが、今責任がお互い、経産省そう言ったじゃないか。いや新電力がちゃんと説明してないのが悪いということになっている。

それぞれの言い分を並べてみる。そもそも市場連動型プランを作った新電力が悪いのかと聞かれると、新電力が悪徳呼ばわりされているけれども、私たち新電力もそこまで電力価格が、市場価格が高騰すると経産省から説明を受けていなかった。経産省から説明受けてないのに、知らないことをユーザーに説明できないと新電力側は感じている。

新電力に色々ヒアリングすると、中には本当に悪徳業者もいるけど、最初は良かれと思って始めた人たちもいる。最初は、ひと桁台で電力を調達できてそれにプラスアルファの料金しかお客様にもらってない。そうすると固定価格で売っていたらその分ガッポリと儲かった人たちは、薄利多売で薄い価格しかもらってなかった。そうしている内にいきなりJEPXの市場の電力価格が高騰して、それに伴ってその請求額も大きくなった。
そういうことで結果としての悪徳業者かもしれないけれども、そもそも最初からそんな悪徳業者になるつもりはなかったという新電力もいる。もちろん中には本当の悪徳業者もいると仰っているが色々なのだ。

経産省の言い分からすると俺たちは悪くない。自分たちだってこんなに電力が足りなくなって価格が高騰するなんて知らなかった。だから大手電力が供給しないのが悪いし、新電力がJPEXという市場に頼って電力を調達しているのが悪いと言う。

大手電力にしたら、なんで俺らのせいや、ロシアのウクライナ侵攻で今ガス足りないのに、燃料が足りないのに、どうやって火力発電、余剰電力が生まれると思うのか。そう言うのだったらガスの価格なんとかしてください。ガス調達してください。その余力もないのに備蓄もないのに、そんな余剰電力を生み出せない。仕方が無いという言い分なのである。

それに対して新電力側は、大手電力が余剰電力を供給してくれなかったら、それで一発で市場価格が高騰するという仕組みでスタートを切ってしまった経産省に責任があるのではないのかとか。

結局価格が高騰した時にシワ寄せが供給できなかった新電力は、大手電力からペナルティー市場価格でペナルティー料金を払うことになり、どんどん倒産して行く。市場連動型にしていたところはエンドユーザー、一般家庭、消費者にその価格を転嫁して、請求をしているので倒産は免れている。

そもそもこんな地獄の電力プラン、市場設計をしたのは誰なのだと。2011年の民主党時代に経産省が慌てて作っていないのか。しっかり練っていないということなのだ。

市場の設計上にいろいろ問題があったのをそのまま来てしまった、何の改善もなく来てしまった。この制度設計専門会合でそれ相応の対応について話をして、251円よりも高くならないようにとか、その様な上にキャップをつけようとかいう話はどうもしているようだが、そもそも大手電力が供給してくれなかったら、市場がストップ高で上がってしまう仕組みそのものが結構ヤバかったのではと思われる。

■ 経産省の天下り利権!?

最近皆さんが払っている電気代が上がってきているのは、この賦課金の値段と燃料調整費の二つの価格が上がってきているからだが、賦課金を新電力が取っているのと思ったらどうも違う。

電力会社大手とか新電力とかが、皆さんの家庭から賦課金を徴収してこの発電している人たちにそれをお返しするという仕組みになっているのだが、集めてくるのは電力会社や新電力で、この賦課金を集めているのはFITの人たちで、これは要はFIT利権、天下り料金なのである。

そこから発電事業者にそのお金が行くのだが、新電力は一円もらってない。結局は天下り利権なのだという恨み節も新電力事業者から聞こえて来ている。

いろんな人のいろんな言い分があるので、それぞれの立場を加味して皆さんこの今回の話も聞いてみてください。

そして、最悪の電気代高騰を免れるには、市場価格連動型は皆さん気を付けてください。


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