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中国パニック!?巨額破綻のシリコンバレー銀行救済措置へ

2023/03/13

https://www.youtube.com/watch?v=7V8q5FyVvf8

■  シリコンバレー銀行破綻で中国がパニック

先週3月10日に破綻したシリコンバレー銀行の話題で週末はもちきりだったが、講演会で忙しくてその話題に触れることができなかったので、今日その話題に取りかかろうとしたら、あっと言う間に救済がされていた。

経緯から話をすると、このシリコンバレー銀行、全米でかなり大きな銀行なのだが、特にシリコンバレーIT企業のメッカの中では、シリコンバレー銀行に銀行口座を持ってない奴は、もう本当にダメ人間だと呼ばれるほど重要な銀行だと認識されていた。その銀行が先週の金曜3月8日、資本増強策を発表したところ、資本増強しなければいけないほどダメなのかと、投資家の不安および株価が暴落し、そして取り付け騒ぎになり破綻してしまった。そういう話題の銀行だった。

こちらのその破綻はリーマンショック以来の大破綻だったと言われていて、週末時点での総資産は約2090億ドル、28兆円規模で、資産規模では全米16位と発表されている。

そして、シリコンバレー銀行破綻によって泡を食った人たちがいる。中国のスタートアップ産業がなぜか泡を食っているという事態を引き起こしている。

もともとシリコンバレーはかなり中国と関係が深いと言われていて、なぜか中国がやって欲しいことを、ほぼシリコンバレーの新興企業が代行して来たという過去がある。

アメリカでは銀行がより多くの資本を求めて、株式を売却するつもりであると発表すると、すぐにベンチャーキャピタルは投資先の企業にシリコンバレー銀行から資金を引き出すように促した。投資家は銀行に関係する中国の新興企業にも同じことを決めている。中国の新興企業向けの主要な資金調達手段であるチャイナルネサンスや、セコイアキャピタルチャイナなどシリコンバレー銀行を利用する投資会社の名前が挙がっている。これがニュースになっている。

シリコンバレー銀行の合弁が、もうかなり早い時点、1990年代から中国にあったという驚きの事実がある。中国のスタートアップ向けのベンチャーキャピタルにさらに投資をしていた。スタートアップ企業向けのファンドが、シリコンバレー銀行に銀行口座を持っていて投資をしていた。その投資先にもシリコンバレー銀行にお金を預けるように指導していた。それを今はシリコンバレー銀行に、お金を預けてはいけないと言って回っている。

そこで名前が挙がっているセコイヤキャピタルチャイナは聞いたことある。2020年に話題になった投票システムのドミニオンにも確か投資をしていた。そのセコイヤキャピタルチャイナを創業したニール・シェンは中国共産党幹部の資金を洗浄する仕事をしていると言われている。

本家本元のアメリカの方のセコイヤキャピタルは、アップル、グーグル、ヤフー、インスタグラムなどの有名なテック企業に投資をしてきて、それなりに成功してきたが、なぜかドミニオンみたいなものもやっている。

このセコイアキャピタルチャイナや、シリコンバレー銀行を使ったキャピタルが、どういう中国の会社に投資をしてきたのかを調べたら分かるのではと聞いてみた。そうしたら中国の方が、今それどころじゃない。互いにシリコンバレー銀行に銀行口座を持っていると噂を流すことで、その会社に嫌がらせをすることができるので、自分のことは公開しないけど、ライバル企業に対しては、あいつはシリコンバレー銀行に銀行口座持っていて巨額の資金を預けていると言いふらして競争相手をつぶすことが、いま中国でまかり通っている。何が本当かわからない状態だと言っていた。

それほど中国のベンチャー市場でも、混乱を引き起こしたのだが、やはり一番大きなインパクトを与えたのは暗号通貨市場だ。暗号通貨も一時は暴落しているし、その暗号通貨関連の企業で、シリコンバレー銀行に巨額の資金を預けていたところが危ないということで、もう暗号通貨市場にリーマンショック級の事件が起こるのではと言われていた。


■  異例の速さの救済

https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy1337

その矢先に、財務省の方から救済策が発表された。U.S.Department of the Treasury財務省の発表。財務省連邦準備制度理事会FDICによる共同声明が発表されている。次の声明はイエレン財務長官、連邦準備制度理事会のパウエル議長およびFDICのグルーエンバーグ議長によって発表された。
本日、私たちは銀行システムに対する国民の信頼を強化することにより、米国経済を保護するための断固たる行動をとっています。このステップにより米国の銀行システムは強力で持続可能な経済成長を促進する方法で預金を保護し、家計や企業に信用へのアクセスを提供する重要な役割を果たし続けることが保証されます。FDICおよび連邦準備制度理事会からの勧告を受け、大統領と協議したのち、イエレン長官はすべての預金者を完全に保護する方法で、FDICがカリフォルニア州のサンタクララのシリコンバレー銀行の決議を完了できるよう措置をとりました。預金者は3月13日月曜日からすべての資金にアクセスができるようになります。シリコンバレー銀行の決議に関する損失は、納税者が負担することはありません。株主および特定の無担保債権者は保護されません。上級管理職も解任されました。

こういうことが発表されている。異例のスピードである。金曜日に倒産するということで、そしてまだ今日アメリカはまだ日曜日の夕方ぐらい。すごいスピードで救済措置が発表されたのですけれども、これFRBが導入した新たな枠組み、銀行タームファンディングプログラムという枠組みが導入され、金融機関を対象に米国債や住宅ローン担保証券を担保として一年間の融資をする。そして、政府基金から最大250億ドルが利用できるようになると発表された。

このスピードでここまでの措置をとるのは、よほど今回のシリコンバレー銀行の破綻が、アメリカ経済にネガティブなインパクトを与えようとしていた。ネガティブどころではなく、クリティカルなインパクトを与えようとしていたと思われる。

今アメリカもインフレがきている。インフレで金利がどんどん上がげることはないにしても、下げ難い状況にある。そのような時に金融不安が起こったら、やはり利上げが良くなかったという批判の矛先がくる。そしてマーケットがクラッシュして一気に景気が悪化したら、今度はインフレ対策をするのか、景気対策をするのか選択を迫られる。そうしたら日本と同じような地獄に陥るだろう。

最終的にアメリカはどういう決断をとるのかと考えれば、資金をシリコンバレー銀行の預金者救済に当て、そのシステミックリスクを回避する形で金融政策の危機を救ったのではないのか。

いま日本の中央銀行、日銀などはとても苦しいのである。金融緩和政策の出口政策をとっていたところに、コロナが来てもう一度緩和をせざるを得なくなった。ロシアがウクライナに侵攻した。インフレになった。巨額の金融緩和の国債を抱えている。金利上げるとは言えないので緩和を続けると言い張ったら、円安が進行して輸入物価も上がる。そして苦肉の策で金利の変動幅拡げましたと言ったら金利が跳ね上がり、保有している分の国債がもう8.8兆円分とか、評価損が出るとか、いま日銀は地獄を味わっている。

しかもこれから景気悪くなるところが見えてきている。その日銀の窮状を見ている世界各国の中央銀行の一つである、親玉でもあるFRBなどはこの日本の窮状を見て、今シリコンバレー銀行を潰してしまったら、ものすごい金融リスクを抱えて一気に景気が悪化する。

それをアメリカは意外とさっと資金を突っ込んで、全額預金者保護をするから安心してくださいと騒ぎを沈下させた。褒められないが、この速度でこれだけの巨額の資金を出すことを決めて鎮火させた。そして自分たちの国家としての金融政策を守った。全体を見てこういう判断ができるというのは、やはりアメリカはなかなかすごい国である。

こうして救済策を打ったことに対して、これからドンドン批判も出てくるだろう。リバタリアンたちは自分たちが稼いだお金は全部自分たちのものだから、税金は払いたくない。税金を通じて弱者を救うなどとんでもない。そういうのは泥棒のやることだと主張している人たちが、急に政府に保護を求めたりする姿を見て、一般の人たちはリバタリアンの二枚舌を嘲笑したり、批判したりする。

そしてシリコンバレー銀行の社員が、巨額の寄付を民主党に出していたとか、173,000ドルを民主党に寄付していたとか、1万ドルは共和党の候補者に出していたとかと叩かれているが、民主党に候補に寄付していたから、この救済措置が行われたという批判が起こっても当然なのだが、いやシリコンバレー銀行が破綻していたら、もっとひどい状態になっていたはずである。

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