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中国がアメリカ送電網を支配すると米紙報道

2021年1月27日、ワシントンエグザミナーという保守系のWebニュースサイトで、「中国がアメリカの送電網を支配する」というニュースが流れたのでご紹介します。

バイデンの命令により、中国は米国の電力網を管理できるようになる可能性がある。

大統領就任から一週間も経たないうちに、ジョー・バイデンは中国やその他の脅威に対して、米国の安全保障をより大きなリスクにさらしている。長い間、中国に弱腰だと批評家から批判されてきたバイデンは、気候変動と闘うために立案されたとされる大統領命令を出した。

問題の規定は気候変動に合理的に関連するものには対処していない。代わりにドナルド・トランプ前大統領が2020年5月1日に実施したセキュリティ対策の主要部分を90日間停止する。バイデンがトランプの措置を停止したことは少しも意味がない。

トランプの命令は実際に証明された脅威に対する常識的な対応であった。2020年、ウォールストリートジャーナルは、当局がその電子機器は密かに悪意のある機能を付加されており、敵が遠隔でそれを監視したり無効にしたりすることを可能にしたと見られているため、米国が中国製の変圧器を押収したと報じられている。

サイバーセキュリティの専門家であるジョセフ・ヴァイスは、当局が変圧器の一部であってはならないハードウェアのバックドアを発見し、中国人がネットワークフォレンジックに知られることなく変圧器を効果的に制御できると報告した。

トランプの「送電網に関する非常事態宣言」

2020年、中国製の変圧器の一部でハードウェアにバックドアがあり、無線で外部から遠隔操作できることを発見した米国政府が送電網に関する国家非常事態宣言をした。

「中国および敵対勢力のスマートグリッド製品をアメリカの送電網に使ってはならない。排除する。」という命令だ。

ネットワークフォレンジックとは、ネットワーク上のログや通信データを記録、分析、保全し、不正侵入やサイバー攻撃などの発生源を特定するためのものだ。

変圧器のハードウェアにバックドアがあることで、ネットワークフォレンジックをかいくぐり、ログを残さずに遠隔で操作できるため非常に危険である。

しかし、バイデンは大統領に就任して早速、ドナルド・トランプ前大統領の非常事態宣言を90日間停止し、中国の変圧器をアメリカの送電網に使えるようにしたことで保守派から批判を浴びている。

中国の狙い

最近は特にテキサスで大停電(2021年2月)があったりして、電力網に関する話題は非常にセンシティブになってきている。

中国は何を狙っているのか。

「世界を送電網でつなぎ、お互いに電力を融通しあいましょう」という建前のもと、世界中を中国製のスマートグリッド製品で遠隔監視、何かあれば遠隔で電力を停止してやりたいというのが中国の狙いだと言われている。

これを習近平は国連でも推進していて、2015年の国連SDGsサミットでは「クリーンでグリーンな電力を満たすために、お互いにインターコネクションの確立をしましょう」と言っている。

インターコネクションとは、国境を越えてお互いに送電網を接続しようということで、グローバルスーパーグリッドを推進しているということだ。

2017年5月の一帯一路国際協力フォーラムでも、エネルギーの相互接続を推進しようと発案している。

ゲイドコ(GEIDCO)

この話を電力業界の人にすると「電力を福井から京都まで持ってくるだけでもすごく苦労しているのに、国境を越えるなんて何を言ってるんだ」と言われる。だが中国はこれを本気で考えていて組織まで作っている。

「直流送電の高い電圧で無理矢理送ればできるだろう」というのが中国の建前だ。

スマートグリッドは送電網だけではなく通信網がセットになっている。中国はスマートグリッドで外国の通信インフラに入り込み、諜報インフラとして使おうとしている。

それを推進しているのがゲイドコ(GEIDCO:Global Energy Interconnection Development and Cooperation Organization)、中国語では『全球能源互聯網發展合作組織』という組織だ。

これがかなり香ばしい団体で、理事長が中国国家電網という中国の送電網を作っている会社の元理事長、理事にソフトバンクの孫正義、オバマ時代のエネルギー庁長官のスティーブン・チューなど、ファーウェイの仲間たちがかなり入り込んでいる。

浙江財閥とダボス会議

孫正義は2011年にいち早く『自然エネルギー財団』を設立した。

「3.11の原発事故もあったので、日本は脱原発を行うべきだ。中国と送電網でつなぎ、お互いに電力を融通しあえば、原発を使うことなくクリーンで安全なエネルギーを使える」

そしてその年の9月、日本をロシア、韓国、中国、モンゴルなどと送電網でつなぎ、電力を融通しあうという『アジアスーパーグリッド構想』を打ち出した。

その後の2016年に習近平が推進するゲイドコが設立されているので、浙江財閥系が送電網を情報網に使いたいと考え、そのために習近平を後から動かしたのだろう。

グローバルスーパーグリッドはダボス会議も後押ししている。

「気候変動は非常に重要な問題だ。世界は脱炭素しなければいけない。世界中で太陽光パネルを使うべきだ。世界中で電力を融通しあい助け合うべきだ」というプロパガンダがダボス会議を発端に進行している。

菅政権とファーウェイ

2020年9月に菅政権が発足してから、日本のスマートグリッド製品の市場に妙な動きがあった。

トランプ前大統領がファーウェイに制裁を加えたのち、日本国内のスマートグリッド市場でもファーウェイ製のパワーコンディショナー、PCSと呼ばれる製品が急に売れなくなっていた。

日本国内からもファーウェイ製の送電網製品は消えるのかと思っていたが、菅政権になってから急に伸び始めた。

パワコンだけでなく、スマートロガーというパワコンを無線で制御するコントローラー、そしてそのクラウドサービスのフュージョンソーラーも同様に伸び始めた。

ところがそのクラウドのデータはすべて中国にある。中国側から遠隔で操作されるかもしれないのに大丈夫なのかと結構市場では言われている。

利権漁りに夢中

日本の電力市場の中でファーウェイのシェアはまだ小さい。それでも一部は中国が抑えていて遠隔でアクセスできるかもしれないという状態だ。

菅政権は送電網に関するセキュリティを全く意に介さなかった。

トランプ前大統領は国民の安全、国家安全保障上の問題だと言って送電網にも気を配っていたが、菅さんは利権漁りに忙しく、国民の安全保障のことは眼中になかったようだ。


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