見出し画像

【一般質問】 ③子どもの「体験格差」について


録画中継をご覧いただけます

3. 子どもの「体験格差」について

続いて、家庭の経済状況等から生じる、「子どもが学校外の時間に行う体験の格差」について質問します。

2022年に公益社団法人「チャンス・フォー・チルドレン」が、小学生のいる世帯を対象として実施した調査(2097人が回答)によると、世帯年収300万円未満の家庭の子どもの約3人に1人が、1年を通じて学校外の体験活動を何もしていないという結果になりました。世帯年収600万円以上の世帯と比較すると、その割合は2.6倍高いそうです。
また、年収300万円未満世帯の半数以上が、物価高騰で体験の機会が「減った」もしくは「今後減る可能性がある」と回答しました。

本調査の中で言う「体験ゼロ」とは、スポーツ系や文化系の習い事への参加、家族旅行、地域のお祭りなどへの参加も含めて「何もない」ことを意味しています。つまり、お金を払わなければ参加できないものが多いものの、無料で参加できるものすら体験していないということです。

そこで伺います。
家庭の経済状況等から生じる子どもたちの「体験格差」に対し、本区としてどのような課題認識をお持ちでしょうか?

 昨年11月に区が実施した「子ども・若者の実態・意識に関する調査」において、低所得、家計の逼迫などの要素を持つ「生活困難層」と「一般層」の回答を比較したところ、過去1年間に子どもと「博物館に行く」、「スポーツ観戦に行く」等の体験をしたことが「ある」と回答した割合が生活困難層においては、一般層の半分程度という結果でした。
 本区においても、貧困等による子どもの体験格差があることがうかがえ、その根底である子どもの貧困の解消が課題であると認識しております。
 区では、困難を抱えた子ども・若者、子育て家庭への支援として、令和3年7月から「子ども若者応援プロジェクト」を実施しております。これは、区民や企業・団体の皆様から、「支援したい人」と「支援が必要な人」を結び、地域全体で、子ども・若者や子育て家庭への支援への輪を広げていくものです。企業や団体からの「コト支援」、例えば、無料のクラシックコンサートや子ども寄席などが子どもの体験の機会の提供につながっているものと考えています。

子ども家庭部長答弁

豊島区には、区立小学校の敷地内にあるスキップで開催されている放課後子ども教室や、プレーパーク事業、区内12地区の青少年育成委員会が提供する一部の体験活動など、無料で参加できる様々な遊びや体験活動があると思います。
それぞれ所管ごとに周知を行っているのだと思いますが、「子どもの体験機会」としての情報が、例えば区のHPなど、まずこの1か所を見れば分かるという形でまとめられ、子どもや保護者へ情報が届きやすくなれば、より良いのではないでしょうか?

 「子どもの体験機会」の情報は、学校、子どもスキップ、区民ひろばなど、子どもが日常的に利用する区の施設でのチラシ配布や区のホームページからのお知らせなどにより提供しています。事業を所管するそれぞれの部署で個別に情報提供を行なっているため、情報が必要な子どもに行きわたらず、結果として「子どもの体験機会」が得られない状況も想定されます。
 現在、ホームページのリニューアル作業を進めており、キッズページの内容の充実も図っているところですので、子ども向けのイベント情報については、一目で分かるように一か所に集約して掲載するなど工夫してまいります。

子ども家庭部長答弁

なお、同公益社団法人の今井代表理事は、無料で参加できるものすら体験していない子どもがいる現状について、「困窮家庭では体力的・精神的な余裕がなかったり、特にひとり親家庭では、親の時間的余裕がないので送迎や付き添いができない。また、例えば参加費無料の地域のお祭りに行っても何か子どもに買い与えるということも負担になる。周りの子どもたちは色々な物を食べたり出店で遊んだりしている中で、できることがない。そういう思いをするくらいなら、連れて行くのをやめておこうかな、ということになる」とお話しされています。

2021年に文部科学省が公表した「体験活動が子どもの成長に及ぼす影響」に関する報告書によると、2001年に生まれた子どもとその保護者を18 年間追跡調査したデータを用いた分析で、小学生の頃に自然体験、社会体験、文化的体験等の体験活動に恵まれた子どもは、高校生の頃の自尊感情や精神的な回復力が高い傾向にあったそうです。

地方自治体だけでは家庭の経済格差の是正は難しいかもしれません。しかし、本区に既にある資源を活かせば、子どもたちの「体験格差」を縮小することは出来るのではないでしょうか?
子どもに学校外での体験をさせてあげられない理由には、複合的な要因があることを考慮し、参加費や用具代にかかる資金的な援助と併せて、相談支援や送迎などのサポート体制を整えることなども必要だと考えますが、豊島区のお考えをお聞かせください。

 「体験格差」がある経済的に困難な家庭の子どもに対する資金的な援助は、生活困難者対策として総合的に取り組んでいく必要があるものと考えています。
 一方、相談支援や送迎などのサポート体制は、子ども家庭支援センターでの相談支援やファミリー・サポート・センターを活用した送迎が考えられます。サービスは有料となっていますが、生活保護世帯等には利用料の助成制度がありますので、まずは既存のサービスの利用をご案内していきたいと考えております。

子ども家庭部長答弁


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?