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【一般質問】 2024年6月25日 ①

令和6年度第2回定例会にて、議員になって3回目の一般質問を行いました。時間は約25分間です。区側の答弁も含めると文字数が多いので、Part1〜5に分けて掲載します。太字が質問、薄いグレーで囲まれた部分が区からいただいた答弁です。

録画中継をご覧いただけます

立憲・れいわ・市民の会の西崎ふうかです。
今回は「多様性を認め合う社会の実現に向けて3」と題し、

  1. パートナーシップ制度について

  2. 不登校支援について

  3. 子どもの「体験格差」について

  4. 男女共同参画について

  5. その他として(困難女性支援法と、本区の防災の取り組み)について

一般質問をさせていただきます。

  1. パートナーシップ制度について

はじめに、パートナーシップ制度の拡充について、質問いたします。

6月は、性の多様性を尊重し、LGBTQなどの性的マイノリティーの権利を啓発する行事が世界各地で行われる「プライド月間」です。
最近はsexual orientation (性的指向)と gender identity(性自認)の頭文字をとった「SOGI(読み方:そじ)」という言葉が使われるようになっております。LGBTQはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなど、性的マイノリティーの当事者のことのみを指しますが、SOGIはすべての人が対象なので、一人ひとりが性の多様性を自分ごととして捉えることができます。どのような「SOGI」であっても、一人ひとりが平等に、人権が尊重される社会を目指したいと思います。

5月28日、長崎県大村市が同月2日に市内在住の男性の同性カップルに対し、続き柄欄に「夫(未届)」と記載した住民票を交付したことが報じられました。
同性同士のカップルの場合、続き柄には一般的に「同居人」や「縁故者」などと記載される例がありますが、これまで男女間の事実婚を示す際に使用されていた「夫(未届)」や「妻(未届)」の表記を、同性カップルにも適用したそうです。
同市は2023年10月から「パートナーシップ宣誓制度」を導入しており、市民課は「取り扱いについて市でも確認し、申請者に寄り添って対応した」と説明しています。

大村市のこうした判断の背景には、今年3月の最高裁判決があるのではないでしょうか。パートナーの男性を犯罪で亡くした男性に対して犯罪被害者遺族給付金の支給対象になるか、との裁判で、最高裁は、「被害者と同性のパートナーも事実婚に該当し対象になりうる」という画期的な判決を下しました。今、世の中の認識は大きく変わり、同性同士のカップルに対しても、事実婚として認める動きは自治体や民間団体に大きく広がっているのではないでしょうか。

地方自治体としてのこのような対応は、大村市が把握する限りでは全国初とのことですが、鳥取県倉吉市でも2023年10月から同性カップルの希望があれば住民票の続き柄を未届の夫または妻とする制度を始めていたそうです。
そして、このニュースが報じられた翌日から、後に続くことを表明する自治体が出てきております。
5月29日には、栃木県鹿沼市が同様の制度を7月から始めると発表し、京都府与謝野町(よさのちょう)も同様の対応を求められれば積極的に受け入れる意向を示しました。
さらに6月3日には福岡県古賀市が前向きに検討していることを明らかにし、7日には杉並区長が「希望する当事者に寄り添っていきたい」と前向きに検討する考えを表明。11日には、世田谷区長が「制度設計について早急に具体的な検討をするよう担当課に指示した」と発言しています。
14日には香川県三豊(みとよ)市でも、市長が「従来の枠組みだけに当てはめることは、市民に寄り添った行政とは言えない」と述べ、7月から同様の制度を始める意向を明らかにしました。
この件は、自治事務として、地方自治体の個別の判断で当事者の方々により寄り添った対応ができるということが明らかになった好事例だと思います。同性カップルの当事者から多くの期待と要望が寄せられており、今後も普及していくと思います。
豊島区でも、希望する同性カップルに対して、住民票の続き柄欄への「夫(未届)」や「妻(未届)」の表記をぜひ適用していただきたく、高際区長のご英断を期待しますが、いかがでしょうか?

 住民基本台帳事務処理要領によれば、住民票には「夫(未届)」等の続柄は、法律上婚姻が可能であるにもかかわらず、婚姻届が提出されていないパートナーからの届出に基づき、記載するものとされています。
豊島区では、平成31年にパートナーシップ制度を導入し、多様性を尊重する社会づくりを進めてまいりました。本年秋には、ファミリーシップ制度の導入を目指しています。
 本区としましては、こうした観点から、今後、国の見解及び他自治体の動向を注視しつつ、希望する当事者に寄り添えるよう、制度設計などを検討してまいりたいと考えております。

区長答弁

2015年に渋谷区と世田谷区が全国で初めてパートナーシップ制度を導入して以来、同制度を導入する自治体は急速に増え、その数は5月13日時点で少なくとも458に上り、日本全体の人口に対するカバー率は約85%になっています。そして、2023年5月末時点で5,171組が登録しているというデータもあります。
豊島区では、パートナーシップ条例の成立から6年目を迎えており、5月31日までに68組の方が本区のパートナーシップ制度を利用されています。着実に利用者が増えていると感じます。

最後に、豊島区で同性パートナーと暮らしている当事者の方の声を紹介します。
“別の区に住んでいた時、急性扁桃炎になって救急車で搬送されたことがあります。その際、隊員の方から「緊急連絡先を教えてください」と言われ、意識が朦朧とする中でパートナーの連絡先を見せたら「男性の方ですか?そういうのは認められていないのですよね」と言われました。「それならもういいです」と言って救急車から降りると、「最終的には病院が判断することなので」と言われました。私たちには何気ない日常生活の中で感じる不安がいくつもあります。パートナーシップ制度がある豊島区の方が安心できると思って引っ越してきました。多様性を尊重してくれる豊島区に引っ越したいと言っている知り合いもいます。まちづくりの方向性が可視化されていることで、その地域に住んでみようかなと思う人はいます”
この声は、豊島区が示すまちづくりの方向性が、この街に暮らす人たちの安心感に直結する、とても重要なものであるということを端的に表していると思います。

今年度1年前倒しで策定している基本構想と基本計画の中で、LGBTQなどの性的指向及び性自認についても、本区が尊重する多様性に含まれるよう明確化し、記載を求めます。
こうした方向に対する区長のお考えを本議会のみならず、本区在住の当事者の方々にもしっかりと伝わるようご答弁ください。

 先月の第3回基本構想審議会でお示しした基本構想の素案では、基本構想全体を貫く、まちづくりの基本的な考え方や行動指針を示す「理念」の中で、「ジェンダーをはじめ年齢、国籍、心身の状況、社会的・経済的状況、意見や価値観の違いなどの多様性を認め、尊重し合い、誰もがいつでも主役となれるまち」を目指すとしています。
 豊島区では、「豊島区男女共同参画推進条例」において、「多様な性自認・性的指向の人々」が抱える困難を、性別に起因する人権課題と捉えています。
そうした条例等を踏まえた上での「基本構想」において、「ジェンダー」という言葉には、「LGBTQなどの性的指向及び性自認」についても、当然含まれるものと認識しております。
 こうしたことから、「基本構想」において、LGBTQなどの性的指向及び性自認も多様性に含まれる旨、改めての記載をする考えは、現在のところありません。
なお、基本構想を実現するために必要な施策を定める「基本計画」において、「多様な性自認・性的指向の人々」を含めた「多様性の尊重」について明記し、そのための施策を盛り込んでまいります。

区長答弁


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