メモリアルワールドー???ー

……ケテ

タスケて

ダレか、タすケテ

声がする。
いつからこんな事になったのだろうか。
至って平和な世界だった筈だ。
還るべき場所へ、在るべき場所へ、そうして保たれるべき世界の筈だ。
否、俺にはそんな事はどうでもいい。
ただ、あのひとが幸せならそれで良かった。
俺はそれを隣で見ていたかった。
ただそれだけなのに。

嗚呼そうか、そうして力を-…

俺は、君の為に動くよ。
いつか解放されるであろう事を祈って。

君の声が聞こえる奴ならきっと…

 フードを被った男が森にある木を殴る。
其処に紳士的な老人が近付いてきた。
「クソっ………」
「おや、どうしましたか?」
「……ああ、お前は」
「荒れてますねぇ、-さん」
「うるせぇ…」
「……今はまだその時ではない、ということですよ」
 紳士的な老人はメモリアルワールドの入口にいた者のようだ。
男はフードを深く被っており口しか見えず、紳士的な老人はシルクハットを被り、紳士服、片眼鏡、杖を持っている。
老人の格好はメモリアル城にいる女王の側近である鼠のスワリーを彷彿とさせるような格好だ。
 老人はメモリアルワールドへ来た者達を案内すると必ず姿は消えてしまう。普段はこの森にいるというのだろうか、不滅の森に。
 男も老人もメモリアル城には存在を認識をされていない。
それでも特定の者には認識をされる存在である。
メモリアル城にいる者達に尋ねた所で
「其の存在は何ですか?」
と聞かれるのは明白だ。
メモリアルワールドに来た魂は数え切れない程だ。
其の中で認識出来る存在は片手で数えられる程度でしかない。
だからこそ男は焦っていた。
男が願うのはー…。

「……楽しいショータイムの始まりですね」

 男は特定の者に喋りかける口調へと戻った。
老人は気付けば森から居なくなっていた。

今日も案内人という仮面を付ける。
決してあの女には分からないように。
愛しているひとを助ける為に、今日も私は足掻いていきましょう。

世界観共有型企画【メモリアルワールド】
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