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お母さんが出て行った日

両親が離婚してからの生活がところどころ忘れてる。

10歳だった私は、流されるまま過ごすしかできなかった。何も考えられない。どうすることもできない子ども。

数日だったか、数ヶ月だったか忘れたけど、離婚すると言われてからもいつも通り家族で過ごしていた。お父さんは仕事が遅くなることが多かったからいつも一緒にご飯を食べることがなかったし、それもいつも通り。朝もお母さんが起こしてくれて、ご飯を食べて学校へ。帰ってきて友達と遊びに行って帰ってご飯食べて寝て・・・
だから嘘だと思った。離婚だなんて嘘だって。夢だったと・・・
思いたかった。

ある休みの日にお父さんと出かけた。珍しかった。買い物に出かけようと出かけて戻ってきたらお母さんのものが全て無くなってた。朝まで棚にはいいていたものが私のものだけ床に置かれて棚ごと無くなってた。お母さんのものが何もない。

テーブルに置かれた2通の手紙。私宛とお父さん宛。

あんな思いに二度としたくないほどの虚無感と絶望と悲壮感。

子どもだから、引っ越すところを見せたくなかったの?いないうちに全部無くして、無くなったところ見せる方が残酷だと思う。

お別れできなかった。突然いなくなったよ。


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