善人のまま死にたい

たぶん、私は、善人のまま死にたい願望が強いのだと思う。
こう、死にたくなるときというのは何ヶ所も生活の中で用意されているが、中でも特異なのは、人に何かをしてあげたときである。人に何かをしてあげて、喜んでもらえたとき、私は大変に死にたくなる。今死ねば、善人のまま死ねる。その気持ちが強く表れるのだろう。

裏を返せば、きれいなまま死にたいと言うのは、汚れてまで生きたくないということである。これをどうか勘違いしないでいただきたい。泥水をすすって必死に生きている人を貶す意図は一切なく、私だってときにそのようにしていたことだってある。ただ、もう、この世界にそこまでの期待ができなくなってしまった。だからできるだけ美しく、惜しまれながら逝きたいのだろう。その気持ちが人より強いと言う話だと思う。

もう私にはお金もないしエネルギーもない。どうあがいても死にそうな奴が死んだ以上のことにならない。強いて言えば、まだ20代なので、若いのに、とは言ってもらえるだろうか。だからこそ、なにか感謝されたときは今がチャンス!とばかりに死にたくなるのだろう。

恋人のおかげで一命は取り留めているが、本当に、終わりは近い気がしている。


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