七十九番 左京大夫顕輔 秋風に たなびく雲の 切れ間より もれいずる 月のかげのさやけさ
【七十九番】 左京大夫顕輔
秋風に たなびく雲の 切れ間より
もれいずる 月のかげのさやけさ
【訳】
秋風に吹かれて流れる雲の間から見える月の光は、清らか澄んでおり美しいことよ
【競技かるた】
百人一首の中で最も多い「あ」からはじまる歌の一つです。「あ」から始まる歌は16首あります。その中でも「あき」から始まる歌は2つあります。もう一つは百人一首の中で一番の「秋の田のかりほの庵の~」です。 「あきか」をちゃんと確認して札を狙いましょう!
【※※以下、腐女子的解釈とネタバレを含みます※※】
今回は最近大ブームの刀剣擬人化ゲームのあのキャラクターです。
この月明かりの美しさを、優雅に表現した歌、刀剣乱舞の三日月宗近を彷彿させませんか?
三日月宗近 - 刀剣乱舞ONLINE(とうらぶ) Wiki*
ゲーム内でも、天下五剣の一つで、最も美しいと言われています。
ビジュアルだけでなく、性能の高さ、そしてCV鳥海さんということで、超人気のおじいちゃんこと、三日月宗近さん(CPとしての汎用性も高い)。 名前の三日月や、瞳の中に写る月、そして平安貴族のような優美さ、この歌の情景にぴったりではないですか?私はそう思います! (笑)
ちょっとした豆知識ですが、左京大夫顕輔のこの歌は、百人一首の編者として有名な藤原定家の『和歌十体』に「麗様」の例歌として紹介されています。 優美な歌としてのお手本、選ばれし存在なのです。このレア具合も三日月宗近と重なっているのではと思い紹介させていただきました。 というか、この歌をおじいちゃんが詠んでいる姿も想像できてしまうよね。
【古典豆知識】※気まぐれ、中途半端
ところで、『藤原定家』って誰なの?
皆さんご存知の通り『小倉百人一首』を作った人です!作ったという表現だと、ちょっと語弊がありそうなので、編集した人です!
藤原定家は平安時代から鎌倉時代に活躍した歌人で、『新古今和歌集』の撰者の一人でもあります。
ここら辺の知識は古典のテストでも出てくるので覚えていて損はないと思います。
そもそも『小倉百人一首』とは、百人の歌人の歌を一首ずつ集めた歌集なのです。定家の京都小倉山にの山荘の襖の色紙に歌が書きつけられていたことから生まれたといわれています。
ところで、『和歌十体(わかじってい)』『麗様(うるわしきやう)』ってなんなの。
『和歌十体』とは、簡単に言えば、10の和歌のジャンル分けを、例歌を挙げて説明した説明書のようなものです。そして、その10個のジャンルのうちの1つに『麗様』があるのです。意味は「整っていて美しい」とか「麗しい」」とか、とにかく『美しい』ということですね~ 腐女子的に言うと、キャラクターの属性分類のような感じ。
例えば、
ジャンル『ショタ』 に対して
「蛍丸(刀剣乱舞)」、「鏡音レン」、「キルア(HUNTER×HUNTER)」
など挙げられる代表的なキャラクターみたいな関係です。
「ショタって何?」って聞かれた時、「少年とか、幼児キャラのことで、例えば〜〜とか〜〜っ」て、説明しますよね?
『ショタ』がジャンル分けの『麗様』に当たり、(私の独断により)挙げられた例が「秋風に~」の顕輔の歌である『例歌』にあたります。あくまで、説明のために出した参考なので、麗様=ショタではないよ(笑) 確かにショタは尊くて麗しいけれども!
定家も「麗様って何〜?」という質問に対して『和歌十体』で、「美しくて麗しい歌のことで、例えば、顕輔の詠んだ『秋風に〜』とかかなぁ〜」って説明しているのです。
ちなみに、「ショタ」やら「ヤンデレ」「リーマン」などキャラクターをジャンル分けがいくつかあるように、『和歌十体』にも『麗様』以外に残り9つのジャンルがあるのですね。気になる人はググってね。
どうですか?ちょっとした知識でした。 ちなみに、古典でここまでテストに出てくるかは覚えていません。(笑)
では、今回の歌に出てきた、単語でなんとなく重要なものをピックアップしてみました
かげ 意味:光
これは、一見現代語の「影」と捉えがちですが、古文で「かげ」が出てきたら「光」や「姿・形」と解釈する場合が多いです! もちろん、現代語の「影」と同じに訳す場合もありますが、紛らわしいので注意!
さて、いかがでしたか?今回は、歌の意味だけでなく、立場というか、歌としての価値(?)役割(?)的なことを含めて説明してきました。
文章は長くて相変わらず、ぐだぐだですが、次回もお付き合いくださいませ!