私がぼからんにハマり、そして離れた理由(前編)

【20210705追記】2021年7月4日をもってぼからんまとめは掲示板も停止され、更新が完全に終了しました。長らくサイトの運営を続けてくださった管理人さんには頭が上がりません。この場を借りて感謝申し上げたいと思います。本当にお疲れ様でした。


(この記事は「東大ぱてゼミAdvent Calendar 2020」5日目の記事です。イベントの概要及び他の記事はこちらから閲覧できます。)


みなさんこんにちは。ぱてゼミ9期のフジヤマ(@fujiyama_pate)です。

今回は、私がボカロ沼に入り込むきっかけとなった動画「ぼからん」とそのまとめサイト「ぼからんまとめ」について書きたいと思います。長くなってしまったので前後編に分けてありますが、最後までお読みいただけたら幸いです。


ぼからんとは?

ぼからんとは、sippotan氏(@sippotan)によって2007年よりニコニコ動画への投稿が続けられている「週刊VOCAL CharacterとUTAUランキング」の通称です。これは、ニコニコ動画に投稿された動画の再生数やコメント数・マイリスト数などを元に動画を順位付けして紹介するランキング動画と呼ばれるジャンルのもので、その中でも特に歴史が長いものになっています。ランキング動画によって対象とする動画のジャンルは千差万別ですが、ぼからんであれば(UTAUや初音ミクNTなども含めた、歌唱用合成音声ソフトという広義の意味での)VOCALOID使用楽曲に焦点を当てたランキング動画になるわけです。

ぼからんまとめとは?

そして、ぼからんを過去の記録を網羅するデータベースとして有名なサイトが「ぼからんまとめ」です。こちらはぼからん公式のものではなく有志の方によって運営されているものですが、情報が非常に充実しておりデータの比較や検索が手軽にできるほか、後述する掲示板機能が最大の特徴としてあげられます。ぼからんファンの利用者が多いのはもちろんですが、ボカロPの中でもぼからんで1位になることを目標に掲げていたり、自らもぼからんまとめの民であることを仄かしている人もいるくらいです。

かく言う私も中高生時代にこのサイトを愛用し、またぼからんを通じて新曲を発掘するなどしてボカロを楽しんでいまして。しかし、紆余曲折の末、現在ではふと思い出したときに訪問する程度になっています。なぜ私がぼからんとぼからんまとめにはまり、そして今では見なくなってしまったのか。私自身のボカロ経験やぼからんの歴史に触れながら、話していきたいと思います。

ボカロ、そしてぼからんとの出会い

私がぼからんを知ったのは2014年の秋頃でした。当時私はボカロを聴き始めたばかりで、しかも中学1年生の典型的なイキリキッズ。「再生数の多さこそが正義」という(今思えばクリエイターに対し随分と失礼な)信念のもと、曲を聞くときはいつも再生数という数字ばかり気にしていました。

加えて、これは今でもそうなのですが、私は順位というものが大好きです。別に深い意図はなくて、ただ順位の変動を眺めたり、妄想を元に架空のランキングを自作したり(側から見たら気持ち悪いというか理解不能でしょう)、Jリーグの順位表から優勝争いの条件を自分で発見したり等々……そういう類のことをやるのが楽しいと感じるんです。まあ、変わった好みだなあとは自分でも思います。

そんな私にとって、ぼからんというのはいわば性癖を抉る存在。お気に入りの曲がどれだけポイントを稼いだとか、あの曲は今週もTOP30に残れているだろうかとか、そういうのを毎週見るのが楽しみでした。要するに、曲そのものよりも曲に付随する数値に興味があったということです。

そうしてぼからんを見ていたわけですが、新参者の私は昔のランキングの様子も気にせずにいられません。当時すでにぼからんは360回を数え、過去の動画を全て見るのはほぼ不可能。手っ取り早くデータをまとめてみられる場所はないものか。ぼからんまとめに辿り着くまで、さほど時間はかかりませんでした。

まとめサイトからファンサイトへ

ぼからんまとめはその名の通り、元々は単なるまとめサイトに過ぎませんでした。当時から掲示板機能はあったものの、書き込みは1日に1件あるかどうかのペース。あくまでぼからんのデータベースであり、利用者もさほど多くありませんでした。

しかし、2015年2月にぼからんが一時休止に入ったことで状況は一変。本家に変わりぼからんまとめが予想ランキングを始めたことで、それまでのぼからん民がぼからんまとめへ一気に流れて来ました。(ぼからん自体は同年6月に再開)

また、2015年はいわゆるボカロ衰退論が界隈を騒がせていた時期でもあります。数字を直に扱い絶対な指標とするぼからんでは特にその傾向が顕著で、週間1位やTOP30ボーダーのポイント、新曲ランクイン数の最低記録更新が相次いでいました。ぼからんまとめに集まる人々は皆コアなボカロファンであると共に数字に敏感な人達でもありましたから、掲示板で衰退論やこれからのボカロ・ぼからんのあり方について激しい議論が交わされるようになります。結果として、ぼからんまとめはぼからん民のファンサイトとしての役割をも担うようになったのです。

ぼからんまとめ最盛期

周知の通り、2016年に入るとボカロ界隈は再び大きな盛り上がりを迎えます。それに伴いぼからんまとめの掲示板も活気を増し、やがてぼからんの枠を越えたボカロファンサイトとして機能するようになっていきました。掲示板で人気曲投票を開いたり、推しボカロPを紹介したり、ボカロクイズを開催したりと、ぼからんまとめは最盛期を迎えます。

一方、数字の上でもボカロの再興は明らかでした。衰退の象徴とされた年内ミリオン曲数(投稿された年と同年に100万再生を達成した曲数)や投稿後1年以内ミリオン曲数は16年以降大幅に増加。TOP30ボーダーのポイントは回復傾向を見せます。ニコニコ動画全体のマイリスト率減少に対しマイリスト数を重視したポイント計算式を採用していたぼからんでは、2013年のドーナツホール(ハチ)を最後に「100万ptsの大台を越える曲はもう現れないだろう」と思われていました。そんな中で、2017年に砂の惑星(ハチ)が2週連続で100万pts前後の記録を叩き出した際には、ぼからん民全体に衝撃を与え、一種のお祭り騒ぎになりました。

前編のまとめ

ここまで、2014年から2017年頃までのぼからんとぼからんまとめについて振り返ってみました。2013年以前については私自身が界隈に属していなかったので詳しく語ることはできませんが、当時の記録やニコニコ大百科の記事への書き込みからある程度雰囲気は感じ取れるかもしれません。

しかし、2017年の後半からぼからんの雰囲気はさらに変化していきますが、それは必ずしもいいことばかりではありませんでした。特に、ぼからんまとめは現在ぼからんのシステムが大幅に変更されたことを理由に更新を終了し掲示板のみが存続している状況ですが、実はそのリニューアルが行われた一因がこの期間にあり、同時に私自身がぼからんを見るのをやめてしまった理由でもあります。

続き(後編)はこちらからどうぞ。

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