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コレクタブル投資の本質とは

コレクタブルはイギリス英語?

 私が好んで使うコレクタブルという単語は、英語ではCollectableで、形容詞としては「収集価値のある」、名詞としては「収集価値のあるモノ=収集品」という意味です。実は、ほとんど同じ意味で使われるCollectible(コレクティブル)という単語もあります。私は以前から見慣れていたコレクタブルを使っていますが、英語の解説サイトによると、コレクティブルには趣味で集められている収集品を広く指しているのに対して、コレクタブルには希少性や歴史的価値がある重要なアイテムであるというニュアンスが含まれているそうです。
 また、コレクタブルがイギリスでよく使われるイギリス英語の一種であるとの説明もありました。アメリカではコレクティブルの方が一般的で、実際にコインや紙幣、トレーディングカードやコミックなどのコレクターズアイテムの鑑定を手掛けるアメリカの大手鑑定会社CCG(Certified Collectibles Group)の社名にはコレクティブルが使われています。
 コレクタブルは比較的最近になって使われ出した単語なので、統一された定義はありません。ある業界では、100年以上前に製造されたものをアンティーク、それより新しく、おおむね30年~100年前に作られたものをヴィンテージと分類していますが、コレクタブルとヴィンテージを同じような意味で使うこともあるようです。つまり、コレクタブルは時間経過に伴う歴史的価値や希少性を持っているモノを指しているという感じでしょうか。
 日本では、アニメのキャラクターをデフォルメしたミニフィギュアの商品名にコレクタブルという単語が使われているため、「コレクタブル」単体で検索をかけると、それらの商品が検索結果の上位に並びます。私は、投資目的になりそうな現物資産をテーマにしていますので、これらの商品とは区別するため、「コレクタブル資産(Collectable Asset)」を一つの単語のように使っています。直訳するなら、コレクタブル・アセットの方がカッコいいのかもしれませんが、日本人にはアセットという言い方はあまりなじみがないと感じていますので、アセットの部分は資産と表記しています。

マイナーなコレクタブル資産を発掘する醍醐味

 趣味として集められているコレクティブルに該当する収集品は数多く存在しますが、その中でどれがコレクタブル資産に分類されるのかについては、おそらく意見がわかれるところでしょう。すべてのコレクティブルがコレクタブル資産になるとは限りません。
 古くから存在する趣味として、マッチラベル収集があります。戦前のマッチラベルは石板で印刷されているものが多く、小さいながら芸術性を感じられるアイテムです。ヤフーオークションを見ても結構な出品数がありますので、それなりの収集人口が存在することは間違いありません。マッチラベルは立派なコレクティブルですが、投資対象にしたいかといえば、アイテムの価格帯や今後の伸びしろを考えると、個人的にはちょっと違うかな、という印象があります。(マッチラベルをコレクタブル資産として収集している人がいたらごめんなさい。あくまでも個人的な感想です。)
 長期保有することで収集品の資産価値が上がるかどうか、それを正確に推測するのは難しいことです。自分が好きな分野で、これから有望と思われる収集品に資金を振り分けることが「コレクタブル投資」です。コレクタブル投資で重要なのは、その収集品市場がどれだけ成熟しているのかを見極めることです。
 美術品やアンティークコインは、収集人口も多く、オークションが盛んに開催されていることで価値基準が確立しており、市場としてはかなり成熟しているといえるでしょう。これらのコレクタブル資産は、資産価値があると広く認識されているため、すでに価格帯は高くなっていますが、下値は限られていて価格が下がりにくい傾向があります。もちろん値下がりリスクはありますが、比較的手堅い投資が期待できます。
 一方で私が取り組んでいるアニメ原画は、コレクタブル資産だと認識する人はまだまだ少なく、小遣い程度で購入できるのが最大の魅力です。収集人口が増えなければ、価値はまったく上がらず、最悪の場合、売却できずに実質無価値になってしまうかもしれません。その一方で、日本アニメの作画工程を知ることができる資料として歴史的価値が認められると、将来、大化けする可能性も秘めています。
 コレクタブル資産として、美術品、クラシックカー、ワイン、ウィスキー、アンティークコイン、切手、腕時計、家具などがよく取り上げられますが、これらのアイテムはいずれも資産価値がすでに広く認識されているメジャーなコレクタブル資産です。すでに価格は高くなっていますが、収集人口が多いため、コレクターの実需に支えられて価格が下がりにくいという、現物資産ならではのメリットがあります。リスクをできるだけ抑えて資産保全したいという人は、これらのメジャーなコレクタブル資産から開始するのがいいかもしれません。
 投資として高いパフォーマンスを目指すのであれば、アニメ原画のように、まだコレクタブル資産としてマイナーなモノを狙うべきだと思います。私がアニメ原画を推しているのは、以前に趣味として集めていた経験があり、日本のアニメ作品が今後も海外で人気を維持すると予想するからです。アニメ原画は、膨大な種類が存在するコレクティブルのほんの一例にすぎず、今後有望なコレクティブルは他にも多く存在するはずです。
 リスクの比較的少ない成熟したメジャーなコレクタブル資産と、これからブレイクしそうなマイナーなコレクタブル資産を組み合わせてポートフォリオを作り、それぞれにどの割合で資金を振り分けるか、それを考えるのがコレクタブル投資の本質だと思っています。

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