「ペントランドのトランペット」

ソーシャル物理学。ペントランドがソシオメーターというテクノロジーを使って人間のデータを取っていくと面白いことがわかった。組織のパフォーマンスを決定する要因を測る物差しは強いリーダーシップでも創意溢れるクリエイティブでもなく、人と人の関わりの中にある小さなシグナル、いわば「パンくず」だったのだ。高いパフォーマンスを発揮する組織には特徴的な「パンくずの一致=グルーヴ」が見られる。

先日YMOの3人がグルーヴについて語っていた。結成当時、グルーヴは正体不明のものだったが、彼らはシンセサイザーというテクノロジーを音楽に持ち込み、グルーヴの正体を解き明かした。例えば、2つの八分音符をそれぞれ12等分する。そしてシンセサイザーを使って12:12を13:11、14:10という具合にずらしていく。その実験の結果、ある比率でグルーヴが生まれることが分かった。シンセサイザーの組織版がソシオメーターだ。

テクノロジーによって人と人の間で何が起こっているのか数値化できるようになってきた。数値化は再現性を生む。科学の貢献はそこにある。素晴らしい発見を世界に広げることを可能にするのが科学だ。ペントランドが発見したトランペットの音色は世界中を巻き込んだオーケストラのグルーヴとして響き渡る。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?