「ロマンスグレー」

ロマンチストでありたい。浪漫を追いかける人間。浪漫とは何か、という定義は置いておいて話を続ける。そんな野暮な事はしない。それも浪漫である。

和田秀樹と中野信子の対談『頭の良さとは何か』。その中での二人の意見がいい。

和田は言う。頭の良さとは、「認知的成熟度である。物事を白か黒かでなく、中にはグレーもある。グレーにもさらに薄い濃いがあると、程度で考えることができるようになること」、「仮説を立てる能力である。フェルマーの最終定理は350年以上たってワイルズによって証明されたが、証明した者でなく、仮説を立てた者が名を残している」。

中野は言う。「答えを出さずに複数の選択肢を抱えておける能力である。グレーがいっぱいあるようなものの見方。グラデーションの中で遊びを持たせて保っておける能力」。

仮説とはグレーの別名に他ならない。グレーとはロマンなのだ。魅力的な人に共通する特徴は、幅があること。ギャップであり、その中のグラデーションを状況に合わせて使い分けることができる能力である。その広がった幅、無限のグラデーションを抱え得る存在を「器」と呼ぶ。つくづく思う。日本語は素晴らしい。器は先天的に決まらない。器は広げることができる。ロマンスグレーを追いかけよう。

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