「アレモネ」

中之島美術館のモネ展。日本人はなぜかモネが好きだ。連日、盛況な動員を横目にタイミングを計って平日のアイドルタイムに侵入。足を運んだ甲斐があった。甲本ヒロトとクロードモネの共通点。それはアレを前進させることに没頭した人生である。

よくもまあ飽きずに描き続けたもんだ。積藁も睡蓮も。何回描けば気が済むんだろう、と思わずにはいられない程の連作。モノをつくる人はわかると思うのだが、制作してると飽きが来る。モチーフや手法やなんやかんや変えたくなる。でも突き抜ける奴は変えない。ヒロトもモネも変えない。否、正確には変えているが、傍からはわからない。

なぜ変えたくなるのか。鮮度を求めるからである。新鮮さを失っているからである。いつも新鮮な奴は変える必要がない。そんな天性に出会ったのがヒロトでありモネだ。創造には爆発的なエネルギーが必要で、その導火線は「新鮮さ」だ。新鮮になれるのなら何でも良い。鮮度を誘発する「何か」は人それぞれだ。ヒロトはパンク。モネは睡蓮。動きつつ同じ場所に居続ける生き様。それは高速で回る駒のように静かで激しく深い。

新鮮になれるものを見つけよう。いつでもなんどでも楽しいと思えることをやろう。それは簡単には見つからない。でも探さなければ絶対に見つからない。幸い探す道中もまた新鮮な旅路である。焦らなくていい。毎日自分に尋ねよう。オレのアレはドレだ?

「俺はテレビも信じない。新聞も読まない。ただ前進させるぜ。アレを」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?