「決断は非線形」

国際線の機内。映画『落下の解剖学』を観賞。劇中の一シーン、脇役の一言「決断と自信は別の話よ」ってのが刺さった。その後、数日、その言葉を自分なりに考える羽目になる。

そもそも決断は意志決定であり、自信は心情でしかない。「別の話」ってのは当たり前である。しかし、社会では「その当たり前」が忘れさられているかのようだ。自信の延長で決断する風潮が蔓延っている。

決断は拠り所が外に見えて中にあり、反対に自信は拠り所が中に見えて外にある。つまり、その決定が奏功するかどうかで判断しないのが決断であり、奏功するかどうかで判断するのが自信である。決断は創造的で、自信は従属的だ。

自信があることに越したことは無い。しかし、時に自信が無くとも決断できるかどうか、それが人間の価値を決めるのだろう。自信は奪われ得るが決断は誰からも奪われない。それを古代の哲学者セネカはこう表現した「富も名声も地位も奪われることがある。絶対に奪われないもの。それは美徳と善行である」。

美徳をもって善行を積むこと。それが穏やかな生活を送るコツである。

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