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なぜJGAはすべての行政仕事を断るのか?:訂正と責任の関係

日本最大級の観光ガイドエージェンシー『Japan Guide Agency』を運営する、JGA株式会社 代表の藤原です。Japan Guide Agencyでは、「地域・文化観光をアクセシブルに」をミッションに掲げ、全国で訪日外国人向けガイドツアーを開催しています。

JGAは今期、すべての行政案件への協力要請をお断りしました

コロナ禍も過ぎ去り、巷に外国人旅行者があふれる昨今、国や自治体による外国人向け観光施策に対して、多くの予算が確保されています。

JGAは今期、多くの事業者さんから行政案件へのお誘いをいただきました。Tripadvisorレビューも3,000件を超え、FIT向けプライベートツアーの分野では目立つようになってきたこともあり、お声がけ大変ありがたく感じます。

ただ、案件ひとつひとつを真摯に検討し、協力できる案件があればと思ったのですが、結果として、今期すべての行政案件への協力要請をお断りさせていただくことになりました。

中途の方向転換が難しい行政案件の難しさ

お断りの理由としては、どうにもうまくできる気がしなかった、と言う1点につきます。

行政案件は原則、公募次点で大まかな仕様が決まっており、それに対して①プロポーザルといわれる提案を提出⇒②審査⇒③採択⇒④提案実行⇒⑤終了後に事業報告、という流れになります。

この④提案実行、が私たちにはネックになります。
JGAでは通常、大きな目標を決めず、おおまかな方向性を決めた上で、試行錯誤しながら各種施策を調整していくスタイルをとっています。そのため、当初想定していた目標から大きく外れた施策に着地することや、施策自体が取り消しになることもままあります。

ただ、行政案件においては、こうした中途での方向転換は難しく、施策がスタートした後に、提案内容の誤りや、より効果的な施策アイデアが判明したとしても、当初提案通りの施策実施が求められます。その施策自体が効果が薄く、意味のないものであると分かったとしても、です。

行政予算の特性上、これは仕方のないことですが、軌道修正を図れないのは構造上大きな困難を伴います。

もちろん、プロジェクト着手前の時点で、精度の高い提案ができれば良いのですが、提案が正しいかどうかは正直やってみないとわかりまへん、というのが、未熟な私たちの偽らざる本音です。

未来は予測できない

あたりまえですが、未来は予測できません。
未来を現在の位置から見通す事は難しく、現在のJGAも、様々な試行錯誤の中で、たまたま現在の位置に存在しているに過ぎません。JGAは現在、訪日外国人向けのプライベートツアーを全国で催行していますが、最初の事業はスマホ向け農場ゲームアプリでした。(華々しく撃沈しました・・)

振り返ってみて、私たちが訪日外国人向けガイドツアーを主力事業としたのは、偶然に過ぎません。国の成長戦略によるインバウンドマーケット拡大、個人旅行者増大によるプライベートツアー需要増、また円安による価格競争力強化、といったところから、現在の事業内容を選べたといえればかっこいいのですが、それは後付けに過ぎません。

事業は常に修正・訂正されるダイナミズムの中から生まれてくるものであり、当初描いた計画の頓挫や、思ってもいなかった人との出会い、たまたま目についた兆し、小さな成功とその反復、再現性の発見、すべては偶発性によって常に更新され続けた結果に過ぎません。明確な目標を持ってそれを達成したといえれば物語はかっこいいのですが、とてもそんなことはいえません。

私たちは高所からターゲットに向けてトリガーを引くスナイパーではなく、自分の背を超えるブッシュのなかを先も見えず、恐る恐る進んでいく歩兵なのです。

常に不確定な未来にむけて進まなければいけないし、その歩みは、訂正されること、修正されること、間違ってしまうこと、間違っていたら引き返すことを前提とすべきです。そうした柔軟性の中でしか前進はできません。

誤りを許容すること

東浩紀氏の著書「訂正可能性の哲学」にこんな一節があります。

ぼくたちはつねに誤る。だからそれを正す。そしてまた誤る。その連鎖が生きるということであり、つくることであり、責任を取るということだ。

責任の根っこは、誤りを認められる土壌にあります。
今回、誤りが許容されない中で責任を持ってしっかりとその事業を達成できるような自信がなく、大変残念ながらすべての行政案件へのプロポーザル参加を見合わせていただきました。

失敗できない環境は、より大きな失敗を生みだします。
行政の仕事を、間違ってはいけないものとしているのは納税者である我々です。まずは我々が、誤りを許容する土壌育む必要があります。

上述の「訂正可能性の哲学」東浩紀著において、公共の原型は家族にあると定義されています。まずは、家族の失敗を許すことから行政改革がはじまるのかもしれません。

JGAは自分たちの責任のもとで事業します

ということで、JGAとして行政公募案件への協力は控えさせていただきましたが、面白いなと思った地域には自腹で伺いますし、もちろん各地の自治体さんやパートナーさんの相談には喜んで対応させていただきます。

その中で可能性を感じる事業には、100%自己資金、自分たちの責任下で、積極的に参加させていただきます。事業を進める中で、我々は中途で形を変えたり、残念ながら撤退の判断をする可能性もありますが、その点はご容赦いただければ幸いです。

今後より一層、志を同じくする多くの皆さまとお会いできるのを楽しみにしています。


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『Japan Guide Agency』は、約750名の通訳案内士が登録する日本最大級の通訳ガイドエージェンシーです。​全国47都道府県で、訪日外国人向けガイドツアーを展開しており、月間1,500本を超えるツアーを催行しています。

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社名:JGA株式会社
静岡県知事登録旅行業 第2-706号
本社:静岡県静岡市清水区江尻東2-67-3
設立:2013年
​資本金:1,000万円
代表取締役:藤原 一成

Value:日本の豊かな地域性と文化への感動と敬意
Purpose:誰もが気軽に地域の暮らしや文化体験を楽しめる環境の実現
Mission:地域・文化観光をアクセシブルに

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