組織個人

組織に立つ旗/個人に立つ旗

こんにちは。
演劇の作家や演出家をやっています、藤原です。
最近、悩んだ末に気づいたことについて。


わたしは、今mzhenという演劇創作ユニットを主宰しています。
2011年に、ENBUゼミナール(あの、カメラを止めるな!をプロデュースした演劇&映画のスクールです。https://ringofcolour.com/archives/56835
で知り合った、佐藤幸子、佐藤蕗子を誘い、卒業してから2012年に自主公演を打ったあたりからmizhenとしてもぞもぞと始動しました。
※ちなみに幸子と蕗子は、姉妹ではありません。たまたまの佐藤かぶりです。

実は、mizhenは、次回の公演をもって、これまでと違う方向へ大きく舵を切ることに決めました。

それは、mizhenという組織の真ん中にある欲求や得意なこと、と、藤原個人の欲求や得意なこと、というのが、ほんの少し違った、ということに気づいたからです。

■チームの真ん中の旗
昨年、アーツカウンシル東京主催のアーツアカデミーを受講したとき、講師の山元圭太さんから、チームのビジョンについて考えていく講義の中で、
法人、は、“法人”という人格なんだ
という言葉に、ハッとしました。
だから、組織としての性格があり、組織として求めることがある。
自分のユニットは、現在法人格ではありませんが、チームにも同様のことが言えます。個人の欲求することと、チームが欲求することは違う。
では、チームが欲求すること、や、そもそもチームらしさ、というのはなんなのか。
というのをますます考えるようになりました。

チームのメンバーの一人の佐藤は、歌の作曲や、踊りができる。
メンバーの一人佐藤は、落語に詳しく、脚本を書く才能もあります。
わたしは、言葉を書いたり、構成を組み立てたり、全体をまとめる役割でした。

演劇作品を作るときのステップとして、作家が本を書き、演出家が演出プランを考え、それを俳優と稽古場でアイディアを出しながら作っていく、というプロセスを踏むことが多いのですが、
一度、チームのクリエーションの際、そのプロセスを壊して、たたき台のような本を俳優が書き、演出案を3人で考えては、また本について皆で考えるところへ戻る、というような、分業せずにいったりきたりしながらつくる、というやり方をしたとき、予想以上に質のいい作品ができる、ということがありました。

そのとき、これまで自分が本を書いてきたことはなんだったんだっけな……と個人的には少し落ち込みましたが、有機的なプロセスを経ることで、得た手応えは大きく、mizhenを主語にしたとき“フィットした”やり方なのだ、と気付きました。
3人というミニマムな単位で、ミニマムな場所で、即興的に作ることに向いているのだ、と。

■チームの“らしさ”と個人の“らしさ”
2月に、表参道の取り壊し予定のアパートで小さなフェスを開催したとき、
一緒にフェスに参加してくれた様々なアーティストを見ながら、チームとしての欲求と、個人としての欲求の齟齬にはたと気づきました。
mizhenを続けながらずっと感じていたモヤモヤしていたものがあったのですが、自分の主宰するチーム(作る場所)を持っているからには、自分のやりたいことはそこに全部注力しよう、としてきたけれども、わたし一人が欲求している部分が、チームを主語にしたときにうまく機能していなかったのだ、と思います。

それから、チームらしくやることと、個人でやりたいことをやる、ということを分けてみることを初めて想像したとき、2つともどんどん発展して楽しくなっていく絵が浮かび、ワクワクしました。

チームにも性格があれば、個人にも性格がある、どちらも“らしさ”が出るように、やっていけたらな、と思います。

“らしさ”をつきつめた結果、mizhenは、劇場での演劇をこだわらず、劇場の外に飛び出して、クリエーションをしていくことが自分たちらしさなのだと思いました。

というわけで、次回の新作公演で、mizhenは、劇場公演するのが最後になります。
最後の劇場公演、よかったらぜひ観に来てください!

能の卒塔婆小町から着想を得て、『小町花伝』という新作をつくりました。
mizhen『小町花伝』
(一 夢路/二 小町ちゃん/三 還暦こまち〜ず/四 花の色は)

mizhenはこの新作で、
4月6日(土)〜14日(日)まで吉祥寺シアターで開催される
オフィス上の空 6団体プロデュース “1つの部屋のいくつかの生活”
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=50616
に参加いたします。


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