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変態します、みずとひ。

窓の外で鳥がチュンチュン言うております。
今、松本です。
滞在制作に来ているのですが、過ごしてしばらくして、移住することに決めました。一旦。

コロナで自粛生活になり、
「ほんで、あんたは、人生どないすんのん?」「ほんで、どうやって生きていくのん?」「ほんで、何を愛してんのん?」、と気づけば語尾に癖が強い
おばちゃんが、何度も脳内で問いかけてきました。彼女はたまに飴をくれました。

色々考えた挙句のシンプルなことは、
「明日死ぬかもしれへんねやったら、創りたいもん作って死のう」でした。
まだ自分には手を出すのは早い、と先延ばしにしていた作品に、向き合って創ってみよう、と。

30を過ぎて、仕事は増えましたが、最近、創作であんまり潜れなくなっているんじゃないか、という自分への疑いがありました。いや、正確には潜れはするのですが、もうちょっと行けそうな深いところにいけない、感じ(これは、書くときの話。)二十代の時みたいに、1か月ぐらい、ほかの予定は全部キャンセルして、誰にも会わずに書く、みたいなことをしなくなり(というか仕事的にできなくなり)、当時は、毎回ほんとにボロボロ泣きながら書く、効率の悪い、荒い作り方で、それは若さゆえだし、スマートじゃないから辞めたい、と思っていたのですが。クオリティが、上がってんのか下がってんのか、このまま創りつづけて大丈夫なのか、不安になることが多くなりました。上達はしていても、過去の自分の作品に強度が越えられていないんじゃないか、というのも、よく思いました。集中するには、まとまった時間がいる、そのための環境が必要なんじゃないか。泣かんでもええけど、泣くほどには身体に来る感じで書けたほうがいいんじゃないか。というかスマート?あんた、もともとスマートな人間ちゃうやん。
この1、2年、ずっと頭の片隅にあったことです。

そんな折のコロナ。書くものが色々あったので、松本に来てみました。山が
近く、静かで。毎日鳥の声で目が覚めます。家、というより、アトリエに住んでいる、という感じです。もうひとつ、潜れる気がしてきました。

東京の家を手放し、松本へ? では。
わたしは、というかmizhenはスナックをやっています。
週一回、松陰神社前で、木曜日に。コロナ以降、オンライン営業です。
お店の名前は「みずとひ」。曜日ごとにオーナーが変わり、コンセプトもごろっと変わる風変わりなスナック。“スナック活用しませんか”というTwitterを見て、近所やしええやん、と、渋谷ジァンジァンに憧れていた私は、すぐリプライを送ったのでした。

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昨年の5月、他のオーナー達と一緒にお店をスタート。

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うどんスナック、ボードゲームスナック、臨床心理士スナック、子どもと来れるスナック。いろんな業種の人たちが曜日オーナーになり、それぞれのコンセプトでやっていました。
わたしたちの木曜日は、ジァンジァンを目指して、もっとパフォーマンスや舞台を見る人が増えるきっかけの場になれば、と思っていました。
劇場に行くのはハードルがあっても、“スナック”のふりをした劇場なら。うっかりパフォーマンスを体験しちゃったら。パフォーマンスの場がもっと身近になれば、好きになる人はまだまだいるんじゃないか。
でも、ジァンジァンみたいには、ならなかった。
「みずとひ」は、「みずとひ」でした。

“mizhenは劇場ではもうやりまへん”と、一年くらい前に言い出したのですが、それにもかかわらず、私は劇場というものに想像以上に執着し、機能としての劇場に期待していたようです。半年ほど営業して「わたしは、わたしの町に欲しい劇場を作りたがっている」ことに気づき、びっくりしました。

劇場だから安全で、劇場だから非日常で、劇場だから普段触れない場所に触れて帰ることができる。セラピーじゃない。より、カオティックに。シナプスが、増える場所。

「mizhenです」というより、「みずとひです」、という方が、舌で転ががしてて、好きだった。
それは、「みずとひ」をさすのは自分だけじゃない、お客さん、自分の周囲もひっくるめたのが「みずとひ」だからだと思う。

ゲストに呼んで、初めて知ったというアーティストの舞台にお客さんが見にいってくれることがよくあった。「あれ、めっちゃ面白かった~」、とお店で感想を言ってくれたとき、泣くのを我慢するほど嬉しかった。せやろ。めっちゃおもろいやろ。この瞬間のためにやっていたんや、と思った。

みずとひを始めてしばらくして。
週一木曜の頻度は書くときの“潜る”とバッティングするのでは? とたびたび思うことがあった。でも、劇場について手を動かしながら考えていたいし、企画を思いつくと考えてしまうし、ブッキングの脳みそは勝手に動くし。みずとひを初めてから一年は、タイミング的に、短編作品の仕事か、書くのはリライトだったので、“潜る”とのバッティングをうっすら思いつつも、なんとか大丈夫、だと思っていた。

松本にきて、頭はずっと、次の制作を向いている。やはりこのまま潜り続けてみたい、と思った。木曜日が、みずとひが、楽しみにできなくなるのはいやだった。

なので、長くなりましたが、本題。
一年かけて積み上げてきた、わたしのものだけじゃない、たくさんのお客さんも含めての「みずとひ」を、変態することにしました。

7月末で、一旦リアル定期店舗に区切りをつけ、
8月以降は、

“毎週木曜日、松陰神社前” の、みずとひから、
“やりたくなったとき、どこでもできる” みずとひに変態します。


松陰神社前に、来てくださった皆様、本当に、ありがとうございました。
最高に楽しい夜ばかりだったし、すべての回の空気を、覚えています。

来てくださった方の身体が折り重なって、今の「みずとひ」が生きています。だから、このまま、生き続けさせたい、と思っています。
なんなら、もっと生き生きとした姿に。
毎週来てくださる方もいたので、少し寂しくなりますが、引き続き、一緒に
ぼちぼちと、「みずとひ」を続けていけたらな、と思っています。

変態後も、どうぞ、どうか、よろしくお願いいたします。

あと、ぼやきまじりのわたしのnoteより、蕗子のnoteの方が読みやすいと思うので(さっき読ませてもらった)、そちらもどうぞ、ぜひ。


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