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コンピュータサイエンス・人工知能

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【コンピュータサイエンス・人工知能】コンピュータと人工知能に関する専門的な内容を分かりやすく解説したエントリー集
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記事一覧

AI 研究の未来〜巨大モデルの限界を超えた先への方向性

アルトマン(OpenAI の CEO)が「巨大 AI モデルを用いる時代は終わった」と語っているように「大量のデータで巨大モデルを学習させる」という AI 研究のアプローチは、すでに限界に達しています。 では、今後 AI 研究はどうなるのでしょうか? 限界を打破してさらに人間に近づくためにはどうすればよいのでしょうか? *** 囲碁・将棋をプレイするエージェントは「現在の盤面において、ある指手を選択した場合、次の盤面がどれほど有利になるか」を、可能な指手に対して評価し、

ニューラルネットワークは空を飛べない〜ChatGPT に見る LLM の限界

ChatGPT が世界を席巻しています。この状況を見て「汎用人工知能(AGI)がすぐにでも実現される!」と興奮している人が散見されますが、「そんなわけねぇだろ!!」とというのが私の意見です。 なぜか? 大規模言語モデル(LLM)が基礎とするニューラルネットワークは、所詮「関数近似器」に過ぎないからです。 *** 「人工知能ブーム」がまだ華やかなりしころ(2016年くらい)、某団体から依頼された講演で、私は次のように述べました。 多層パーセプトロン(古典的なニューラル

AIが人間の心を読めるようになる日は来るのか?~不完全情報ゲームで分かる推定と判断の難しさ

ずっと恋い焦がれていた女の子に、勇気を振り絞って告白した男の子。永遠と思われるほど長い一瞬。 でも、彼は気づいてしまいます。女の子の答えがポジティブではないことを。彼女の眉間の緊張から、無意識に深く吸い込んだ胸の動きから、そして、目の奥に見える光の暗さから。 もちろん、男の子が得た情報は、断片的で「不完全」な情報です。それでも、なぜか人間は分かってしまう。これほどあいまいで多義的な情報から「隠された本当のこと」を理解し、適切に判断(意思決定)できるのです。 さて、これほ

10分で分かるゲーデルの不完全性定理 ~ いまさら聞けないコンピュータサイエンス【連載第1話】

「我々は知らねばならず、そして知るであろう」 ドイツが生んだ大数学者であり、「現代数学の父」と呼ばれた天才ダフィット・ヒルベルトは、このスローガンをかかげて世界の数学者を激励しました。 ドイツが第一次世界大戦とベルサイユ条約による打撃から回復し、ヨーロッパにナチスの足音が聞こえ始めた1930年(昭和5年)に、すでに晩年にあったヒルベルトによるこのスローガンから、コンピュータサイエンスの壮大なドラマが始まります。 1.数学者に禅問答を課した「ヒルベルト・プログラム」時は遡

15分で分かる人工知能と計算機科学の歴史<前編>

1.はじめに私が機械学習の研究を始めたのは2002年でした。各家庭にブロードバンドが普及し始めたインターネットの黎明期です。そのブルーオーシャンを一気に手中に収めようと、ソフトバンクが街中でADSLモデムをバラまいていました。 当然、計算機科学の花形は、インターネットやその基盤を支えるデータベースに関する研究です。当時は、機械学習など誰にも振り向いてもらえない不毛の研究分野でした。すごい勢いでモデムをバラまくソフトバンク社長の頭より不毛だったのは、よくできた皮肉だと思います

15分で分かる人工知能と計算機科学の歴史<後編>

前回は、人工知能の黎明期から、第二次人工知能ブームが収束して「冬の時代」に入ったところまで説明しました(1950~1980年代)。 前編はこちら。 今回は、機械学習が社会で頭角を現し、ディープラーニングの登場で第三次人工知能ブームが盛り上がるところ(1990~現代)まで説明します。そして、今回のブームの要因と各ブームにおける共通点などを掘り下げます。 1.空前のコンピュータ環境の出現と機械学習の発展エキスパート・システムと第5世代コンピュータの挫折から、システムの動作を