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作物の値段はいくらが適正なの?

 私たちの山づくりは、中長期的な視点から観る山をつくっていくことが目標の一つで、地道な作業が求められます。お金をなるべくかけない形で山づくりをしていますが、すぐにお金にならないことも多いので、それだけやっているわけにもいきません。

 間伐した木をバイオマスに出すのも私たちの仕事の一つで、それをすることでキャッシュフローを生み出しています。今日も間伐を行っていました。


 また、私たちの山では自然を活用した形での作物の生産と研究を行っています。そして、そこで生産した作物を販売しています。売上としては大きくないですが、コツコツ販売しています。

山で生産したものを地域の物産として販売する
1、生産量を増やしていく
2、価格はいくらにすべきか?

1、生産量を増やしていく
 山という自然の中で、ハタケワサビ、キノコを栽培しています。その中でも私たちが力を入れてに生産しているのが、キクラゲ、原木シイタケ、ナメコです。これらのキノコ類は、健康食品として人気があり、また、調理しやすいといったことから、特に女性方が購入してくれます。

 コリコリとした触感が人気のキクラゲは料理の名脇役で、野菜炒めやサラダ、スープ。そして、お鍋など、様々な料理に使われています。人気商品ですし、購入してくれた方にも好評です。原木シイタケもナメコも同様に販売しやすい商品です。

 ただ、私たちの山で生産するキノコの量はまだまだ少なく。加えて、私たちの山でのキノコの生産は、温度や湿度が管理された施設内ではなく、自然環境の中で栽培しているので、雨や日照りなどの天候や温度で生産量が左右されてしまいます。

 天候を予想し、自然環境を研究しながらの生産を行っています。そういったことを積み重ね、毎年、生産量を増やしてく方式をとっています。小売りにするにしても、卸売りにするにしても、生産量を増やさないとキャッシュフローは作れないので、生産量を増やしていくというのは、一つの課題です。

2、価格はいくらにすべきか?
 それでは、価格はいくらにすべきか?これについては、私たちの見解はなるべく高く売りたいと考えています。高く売りたいというのは少し誤解を招くかもしれませんが、法外な値段で売りたいと言っているのではなく、生産者が再生産できる値段にするためには、今の相場よりも高く売らなければならないと感じています。

 私たちがキノコの生産や販売といったものに企業として参入したときに、その販売価格の低さに驚きました。一般に売られているキノコの値段がいくらなのか?といったことを基本に値段の設定をするのですが、どう考えても安い。農家さんはこの値段で再生産可能な生産ができているのだろうか?と販売していていつも疑問を感じていました。

 もちろん、安いことは消費者にとって大切なことなのですが、大型の流通店などで売られているキノコの値段を見たときに、その卸値がおそろしく低いものだろうと容易に想像できます。本当にこの仕組みでいいんだろうか?と。そして、この仕組みを変えていきたいという思いを持つようになりました。

 生産量を増やして量販していくという取り組みをしていくべきだという一般的な考えを無視しているわけではありません。先述のとおり、私たちも生産量は増やしていきたいと考えています。しかし、一方で、生産量の問題だけではなしに、値段についても生産者が再生産可能ところまでもっていかなければならないのではないかと考えています。ですから、価格がいくらが適正かという水準を探りながら、いつも試行錯誤しています。いろんなところで栽培されているキノコの値段は参考にしながらも、独自の視点から値段を設定することが大切なんだと思います。

 日本の一次産業は生産という視点に力を注いできましたが、生産した作物を販売することや再生産可能な価格を設定することをあまりにも放置しすぎているのではないかと思います。大きな量販店や商社が儲けるような仕組みではなく、生産者が再生産できるような仕組みをつくることが私たちの目標の一つです。

 それでも、実際のところ、私たちのキノコが比較的高いといっても、10円高いとか20円高いとかそういった細かなところで値段の設定を試行錯誤しているわけです。無茶な値段をつけても売れるわけがありません。なので、キノコの価格を決めるということはそんなに簡単なものではなく、消費者や仲間とコミュニケーションをとりながら、理解してもらい購入していただいています。

 また、付加価値を高めるたこと、品質を向上していくことも大切です。そういったことにも、意識を注ぎながら生産し、山づくりを行っています。

再生産可能な価格とは?
 売上は簡単に言えば、価格×販売量です。生産量と価格の両面からアプローチしなければなりません。特に価格についても真剣に考えていかなければなりません。一企業の利益という視点だけではなく、生産者が再生産可能な価格とはいったい何なのか?ということを考えていくことも企業や生産者の役割だと考えます。私たちの山で生産されたキノコは山づくりと山での生産の意義を理解してくれる仲間、特に飲食店、そして、消費者に協力していただいて購入してもらっています。これも山づくりの一環だと考えています。

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