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敗者のゲーム

『敗者のゲーム』という投資に関する本がある。

チャールズ・エリス氏が1985年に書いた本である。
今なお読み継がれている、時の試練に耐えた本だ。
つまり、ポジショントークというより真実に近いことが書いてあると伺える。

「ゲームの敗者」ではなく「敗者のゲーム」とある。
ここで言う敗者とは、ゲームを開始する前に大体負けるだろう人=「地力がない人」のニュアンスに近いと理解した。
野球で言えば、大谷翔平と私を比べれば、同じ野球をするにしても、大谷翔平は勝者のゲームで、私は敗者のゲーム、と言うことなのだろう。
「弱者のゲーム」の方が適切かもしれないが、「敗者のゲーム」とした方が、引っ掛かりがあるのかもしれない。

この「敗者のゲーム」の概念は、科学者がテニスを統計分析し、
プロとアマのゲームの本質が違うことを指摘したことに端を発するそうだ。

「プロは得点を勝ち取るのに対し、アマはミスによって得点を失う」

プロのテニスは、勝つためのプレーで結果が決まる「勝者のゲーム」である一方、アマチュアのテニスは相手のミスによって得点が入り試合に勝つ「敗者のゲーム」なのである。

資産運用と呼ばれるマネーゲームも最近数十年で、「勝者のゲーム」から「敗者のゲーム」へと変わった。証券運用の世界で根本的な変化が起きたからだ。

1985年の時点で、既に「資産運用」の世界は、「敗者のゲーム」になっていたそうだ。なぜなら、勝とうと懸命に努力する運用機関のプロが数多いるからだ。私みたいな素人の、NISA買おうかな、みたいな個人投資家が勝てる場所ではない。スマブラで言えば、発売から7年がたち、熟練者しか残っていないオンライン対戦環境に、初心者が挑む時は、「ザクレイ(最強)の考え方」を真似してはだめ、そのフェーズじゃない、ということであろう。

じゃあ、どうするのか?発想を変えるのだ。

『勝ちに行く』から『負けないことが勝ちになる』

資産運用において重要なのは、利益を上げる方法や勝ちにいく方法を追求することではなく、負けないことです。

負けないこと。ミスをしないこと。
調子に乗って、出し抜こうとしないこと。

スマブラで言えば、スーパープレイを目指さず、調子に乗ってスマッシュをしない。復帰は手堅く。みたいな感じであろうか。
逆VIPでの戦いは、基本的に「ミス」した方が負ける感じになる。ザクレイみたいな「読み合い」とかは、完全に「勝者のゲーム」である、と言うことなのだろう。

ただ、この「敗者のゲーム」の考え方は、「ミスしないこと」=「減点法」な発想になりそうで、個人的には嫌だな。
日本企業とかも、「リスク取って勝ちに行く」より「ミスがないこと」を重視している面があると思う。
これまで、この「減点法」の考え方は嫌だな、と思っていたが、日本では理にかなっている、と言う見方もできるのかもしれない。
「日本」はそもそも国際社会の中で見たら「資源に乏しい」から、そもそも「敗者のゲーム」なのかもしれない。であれば、実力がないのに、世界に勝ちに行こうとするのではなく、敗者のゲームと割り切って、ミスをしない、負けない戦い方になるのも、一定正しいのかもしれない。(主語が日本だと大きすぎるか)

しかし、地力がついてきたのに、「勝者のゲーム」に切り替えられないと、それ以上の成長は見込めないのだろうなと思う。
基本は「敗者のゲーム」としつつも、「勝者のゲーム」に挑戦できるところではしていきたいものだよな、と感じた。

まあ、つまらなそうな「敗者のゲーム」をやめたいなら、自己研鑽を積んで「勝者のゲーム」に移行できるようにするのかな。
スマブラでVIPを目指す、とか、ゴルフのシングルプレーヤーも目指すとか、マーケティングで言えばCMOを目指すとか?

参考|UnsplashJeremy Thomasが撮影

書いた時間 30分強

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