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日本は「アニメがお家芸」とか言っている場合じゃなくなっているらしい

クールジャパンとか言っている場合じゃないですわ。

この見出し「逆」じゃないですからね。

日本のアニメスタジオが、中国企業の下請けになるケースが増えている。新聞記者の中藤玲さんは「中国の求人サイトによると、アニメーターの平均月収は杭州では3万4062元(約52万円)。一方、日本では月収17万5000円でも業界平均よりずっと高い。中国と日本の関係が逆転しつつある」という――。

この記事を読んで、今更ながら、日本という国が抱えてきた「ブラック企業体質」が基幹産業を衰退させ、世界から孤立させている現状は、製造業だけではなくて、アニメの世界にも及んでいることを知りました。

徒弟制度で食えないのが「当たり前」とか言っている場合ではないんですよね。

業界が自主的に改善しないうちに、優秀な人材は、市場が大きく、予算が豊かな国に引き抜かれていく。

それは、ITの世界でも、研究の世界の話でもなく、アニメもまた同じ。

調査会社帝国データバンクでアニメ業界の動向を調べる飯島大介氏は「市場が拡大する中国にとって、日本のアニメーターは喉から手が出るほどほしい。日本の年収の3倍でも軽く出せるので、今後も中国勢からの人材引き抜きは激しくなるだろう」とみる。

こういうスタークリエイターにスポットライトが当たりがちですが、彼自身が「周りを撮れ」と言っているのは、彼を支えているスタッフにこそドラマがあるとわかっているからで、NHKのクルーはなかなかそれが理解できない。そこに、今のアニメを取り巻く状況が見えているというのに。

クリエイターが苦しむのは仕方がないとして、それを支えるアニメーターが置かれている状況は、決して恵まれたものではありません。

アニメ産業は「日本のお家芸」と言われるが、その労働実態は長時間・低賃金がはびこる。
 一般社団法人日本アニメーター・演出協会(東京・千代田)の2019年の調査では、日本で正社員として働くアニメーターは14%。大規模な一部の制作会社を除き、半数以上が委託契約のフリーランスだ。
 アニメーターの平均年収は440万円で、1カ月の休日は5.4日。新人は年収が約110万円という調査もある。
 現在の収入に満足するアニメーターは3割弱で、8割が老後の心配や精神的疲労を訴えた。

それでも、アニメが好きとか、クリエイターのそばにいたいという「やりがい搾取」で成り立っているのだと思います。そして、利益は広告代理店とかテレビ局とか映画会社とかが持っていく。

 例えば、制作時に出版社や放送局など複数から資金を募る「製作委員会」方式。今や日本のアニメ産業の約半分が海外の売り上げだが、こういった海外分やグッズ販売などのライセンス利益は、広告代理店やテレビ局が出資する製作委員会のものになるケースが多い。作品がヒットしても、製作委員会に出資していない制作会社には還元されない仕組みとなっている。

スタジオジブリやカラーが頑張っていても、多くのアニメ会社はもはや、中国アニメの下請けしか道はないかもしれません。

取り分が増えず、制作会社の疲弊は進む。日本には270社以上の制作会社があるとされるが、帝国データバンクによると、赤字のアニメ制作会社の割合は2018年に3割を超えた。過去10年で最高で、倒産や解散も過去最多だった。

「貧すれば鈍する」という言葉がありますが、こうしたアニメ産業の貧しさは、クリエイターの自己研鑽やスタジオの自己革新を失わせ、世界を牽引する日本アニメの技術という言葉は、すでに過去のものになりつつあります。

 既に「日本のトップ級以外のスタジオは、単価が安いけど質が悪いので発注できない」(中国の配信大手)という声も出始めている。

コロナ禍でクリエイターが仕事を失っている中、アニメは堅調だと考えられてましたけど、この調子では、いつかきた道で、映画産業同様に衰退するのではないでしょうか。

クールジャパンの切り札なのだとすれば、内閣府も経産省も利用するばかりじゃなくて、人材確保とか生活確保とか、この辺りを真剣に考えてもらいたいものです。



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