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1年経って、「トリアージ」という言葉について考えてみる

一年前には、毎日のようにコロナ関連記事を書いていました。

岡江久美子さんの死から一年

そして、23日には、岡江久美子さんが亡くなって一年が経ちます。

岡江さんには乳がん治療中とか心臓にも持病がとか、あと情報が出ていますが、それ、最初の相談の時に伝わってなかったんですかね、と思ってしまいます。熱が出て3日で緊急入院と言うのは、あまりにも急転直下です。

病院がコロナ患者で埋まる中で、新規の入院が難しくなったり、熱だけでは自宅待機だったりする中で、急変するのがコロナの怖いところ。その実例としても岡江さんの死は強く印象に残っています。

岡江久美子さんが入院したのが20日だそうですから、本当に一年ですね。多分マスコミが取材に行くでしょうから、ご家族はたまらないだろうと思います。でも今、マスコミがやるべきは大和田獏さんの悲しみの話を聞くことよりも、この時反省すべきだったことが、未だに生かされていないことを追求することではないでしょうか。

医療の現場で起こる「選別」とは

最近は、あまり発言していませんが、1年前にはコロナ専門家から、こんな記事が出ていました。

しかし、いま、最も心配なのは、症状の重い患者さんのための人工呼吸器が足りなくなってしまい、救命できなくなる状況です。これは、患者さんやご家族・大切な方はもちろん、医療従事者にとっても非常に辛いことです。

それから一年たって、同じことが起きないようにするどころか、また、大阪では、コロナ治療を優先するために、手術を控える動きも出ています。

吉村知事は「コロナ重症病床が非常に厳しい状況です」と明かし「医師の判断により、急ぎでない手術や入院を一時的に延期し、コロナ重症治療を集中的に行うお願いを要請しました」と述べた。

もともと吉村知事は、どこまで言葉の意味が分かって使っているかは不明ですが、昨年11月の段階でトリアージを匂わせている方です。

大阪府の吉村洋文知事は19日、新型コロナウイルスに感染した重症者の病床の確保に関連して「大阪全体で救急病床のトリアージ(選別)をしていく」と述べ、一般の傷病患者とコロナ患者の受け入れ先を明確化していく方針を示した。

トリアージが単なる「選別」という言葉以上の意味を持っていることを認識せずに専門用語としてだけ使っている節が見受けられます。この方はいつものことなのですが、本当に言葉が軽い。

病床トリアージは成功しているのか

トリアージとは「選別する」という意味のフランス語です。手当をする際、けがの程度や、手当を急ぐ度合に応じて優先順位をつけることを言います。
実際の現場では、トリアージを行う担当者を置き、運ばれてきた患者は全てまず、この担当者が見ます。担当者は、けが人の容態から治療の優先順位を決め、それをカードに書き込みます。他の医師たちは、その順に従って実際の手当てを行います。

確かに、「トリアージ」というのは、戦場や災害の現場で行う治療の優先順位を指していますが、コロナ禍においては、誰がどの病院に行くのか、どの順番で治療を受けるのかということを示しています。それは命の選別を意味しています。

このまま状況が悪化すれば、命を救える可能性が高い患者さんを優先して集中治療室、人工呼吸器、ECMOなどを使用し、可能性が低い患者さんの治療を後回しにしなければなりません。こうした考え方は、トリアージと呼ばれます。

専門家は、一年前に、既にトリアージ=命の選別と捉えているわけです。そこを踏まえて吉村知事には言葉を使ってほしいと思うのですが、あまりにも軽い。それを見越してか、中日新聞も意地が悪くて、あの記事に笑顔の写真をつけるわけですね。

コロナ専門病院を作っても、その運営は過酷です。

病院を運営する地方独立行政法人大阪市民病院機構や市などは11月26日、市立総合医療センターなどから、看護師や医師を十三市民病院に派遣することを決めた。計画通り90人の受け入れを可能にするためだが、この影響で、同センターのがんなどを患うAYA(思春期と若年成人)世代の専用病棟が一時閉鎖されることになった。

コロナ専用病棟を維持するために、AYA世代の専横病棟を閉鎖せざるをえない。これも病院トリアージと呼ばれるものの一つでしょう。

大阪府知事はテレビに毎日出てますが、十分な対策は打てているのでしょうか。府の職員が優秀だから大丈夫なんでしょうか。

大阪コロナ重症センター(21人/21床)

当初30床と言われたコロナ重症センターも21床しか使えていません。

ついにコロナ専用病床がない病院にも受け入れを要請しています。

 新型コロナウイルスの軽症・中等症患者用の病床が逼迫ひっぱくしているとして、大阪府は19日、改正感染症法に基づき、コロナ専用病床のない病院に受け入れを要請した。既に患者を治療している病院にも増床を求め、計約1100床の追加を目指す。

ミニ・コロナ重症センターへの参加も募集しています。

大阪府では、新型コロナウイルス感染症の拡大に備えて病床確保に努めてきたものの、第4波において新規患者数が日々過去最高を更新し、重症病床運用率が100%を超える恐れがでてくるなど、更なる重症病床の確保策が必要となっています。 そこで、広く府内の医療機関から新型コロナウイルス感染症に対応する専用病棟(大阪コロナ重症センター)の整備計画を募集し必要となる施設整備に対して補助を行います。

病院トリアージどころか、泥縄にしか見えないのですが、どうなのでしょう。

選別されるべきは、政治家ではないかと言う気もしますが、岡江さんの死から一年経っても、この国の政治家による対応に変化が見えない気がするのは、私だけでしょうか。


サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。