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旧式の集票システムが高齢化し、野党共闘は不発に終わった

選挙前に書いた記事ですが、野党共闘は共産党の集票システム目当てだと書いたわけです。

野党共闘は「一定の成果があった」のか?

自民党が公明党と組んで堅い支持層を得たように、エダノンは共産党と組んで、この堅い支持層を得ようと考えたに相違ありません。

ところが、蓋を開けてみると、野党共闘は「一定の成果があった」という枝野代表の負け惜しみに終わり、接戦どころか大敗を喫してしまったわけです。

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接戦だと言われた選挙区でことごとく自民党にひっくり返され、惜敗の連続。でも、負けは負けです。比例で惜敗率をもとに当選している場合じゃない。

一騎打ちで五分に持ち込むんじゃなかったんでしょうか。3割も勝てなかったのでは、惨敗と言わざるを得ません。

立憲が支持されない理由

ではなぜか。その分析は、この方にお任せしたい。

 これは私の私見であるが、政権交代に本気ではなさそうなことだ。それは一夜にして政権交代はおきないが、そこをはっきり示さないと有権者はついてこないだろうと思う。政権交代に現実味がないと、無党派層は選挙にはいかないだろう。無党派層が選挙に行ったところで自民党に票が入る可能性もあるが、野党は投票率をあげない限りは勝ち目が少ない。それは投票率がひくいと、投票先が決まっている組織票の割合が大きくなるからだ。政権交代が起きる時は、投票率が高くなることが条件だ。

投票率は戦後3番目の「低さ」ではあるけど、直近2回から少しずつではあるが上昇しているわけで、選挙に行こうという呼びかけが功を奏したという見方もあります。

希望を持てるとしたらどこ?

そこに希望を見出している人もいます。

・いつも与党に反対だけ言って対案を出さず、国会運営の邪魔ばかりしている議員は概ね落ちている
・美辞麗句ではなく、実績を出している人や党が当選している

投票率はまだまだ低いとはいえ、動きが出てきた、さらに名前だけの年寄りが落ちて、地道に行動している若手が当選するという機運があり、投票する側のレベルが上がっているのかもしれないと感じる。ということでしょうか。

年配の候補者については、私も調べてみました。

いずれにしても、高齢者の前職が7人落選、新人や元職は全員落選なので、73歳以上の議員は増えなかったということになります。

女性議員の数や平均年齢が向上したとはいえませんが、少しづつ目は出てきている。世代交代は確実に起きていると思います。

たかまつななさんもその辺りを書いてます。

小沢一郎さんや石原伸晃さんなどの昔の大物が小選挙区で次々に負けている。世代交代がおきている。自民も立憲も世代交代に乗り遅れたら、維新の新人にもっていかれる。これからも、そういうことが起きるだろう。自分の後援会だけを向いていては勝てない。古臭いものを若者はしっかりみていると思う。

そうした投票者の潜在的な欲求を読みきれなかったのが、集票システム欲しさで共産党と組んだ枝野立憲民主党ではなかったでしょうか。

維新躍進は既存の集票システムの高齢化にある?

そして、結果として、維新を利することになってしまった。

大阪の地方政党としては、大阪の小選挙区で15人全員が当選し、比例区でも荒稼ぎしたわけですから、大勝利。そして、他の地域でも比例区でも当選するなど、まさに反自民反共産の票を集めたと言えるでしょう。

また、公明党の集票システムである創価学会の高齢化が得票に影響しているのではないかと池上さんが突っ込んだそうですが、

山口代表は「(高齢化による票減少は)そういう要素あるとは思いますが、得票率はそんなに減っていない。維持していると私たちは見ています」と返答。池上氏は「(高齢化を)お認めになられましたね。どうして高齢化が進んでいるんですか? 若い人が入って来なくなっているんですか?」とさらに追及する。

共産党の集票システムも高齢化しており、得票数に翳りが見えていますし、野党統一候補のために立候補者を調整して削ったことになっていますが、実際問題としてどこまで候補者がいたのかという疑問もあります。

今回の衆院選で、共産は立民との選挙協力のため、公示直前に立民と競合していた約70の小選挙区のうち、22選挙区で候補者を取り下げて選挙戦に臨んだ。衆院選を「党創設99年の歴史で初めて他党との政権協力の合意を得て臨む選挙」と位置付け、選挙区では野党第1党の立民に大きく譲る形となった。

立憲民主党は、集票システムの安定感といった利点よりも、共産党と組んだことで不安を抱く支持者が増えたというようなマイナス点が痛手となったのではないでしょうか。

こうした選挙結果を踏まえれば、共産党との共闘を推し進め、議席減という失敗に終わった立憲民主の枝野代表の責任が問われるだろう。

立憲民主党支持層は高齢者が多いという調査結果があるようですが、高齢者ほど、共産党という名前にアレルギーがあるリベラルは多く、若い人はソ連崩壊前のことを知らない人も多いわけで、共産主義への拒否感が少ないという調査結果もあります。つまり、立憲民主党は自らの支持層である中道リベラルを共産党と組んだことで捨てたのかもしれないわけです。

では、若い人が立憲民主党を推すかといえば、支持者は少ない。野党共闘路線は、最初から矛盾を抱えていたのかもしれません。

結局、自民でよくね?という比例区の結果

そうしたモヤモヤが余計に現れているのが比例区の結果です。

 自民党は選挙区で公示前の210議席から189議席(追加公認2人を含む)に減らしたが、比例代表は66議席から72議席に伸ばした。
自民党は、前回4年前の選挙の66議席を上回る72議席を獲得しました。
立憲民主党は、39議席を獲得しました。
公明党は、前回より2議席多い23議席を獲得しました。
共産党は、前回から2議席少ない9議席を獲得しました。
日本維新の会は、近畿ブロックで、自民党よりも多い10議席を獲得するなど、前回の3倍を超える25議席を獲得しました。
国民民主党は、5議席を獲得しました。
れいわ新選組は、3議席を獲得しました。

自民党は、全体としては減らしましたが比例区では議席を伸ばしています。つまり選挙区では別の党の候補に入れても、全体としては自民党でいいのではないかという気分を表していることになります。

一方で、野党統一の代わりに「比例は共産」だったはずが、比例区でも議席を減らし、自民党や維新に持っていかれているわけです。

比例区で伸ばせない集票システムは、やはり旧式ですでに限界だったと思われます。修復が可能かどうかは、参議院選挙で分かるでしょう。

れいわ新撰組も一時期の勢いは感じられず、3議席にとどまり、維新の勢いばかりが目立つ結果となりました。

維新は誰が推しているのか

でも、わからないのは維新の集票システムです。吉村・松井の何を評価して、あれほど票を集めているのか。

関西の知人に聞いたところ、吉本と関西ローカル各局が維新べったりで、テレビでは東京のような批判的な声が出ていないのだそうです。さらに維新をやめたとはいえ、橋下元代表がテレビで活躍しているのも維新の勢いに見えるらしい。

つまり、集票システムは吉本と関西ローカル局だと。これは手強いかもしれません。横山ノックさんが府知事だったこともありますから、吉本と大阪府のタッグは根強い。2025年の万博に向けてますますこの動きは大きくなるでしょう。でも、維新て何をしたんでしょうかね?

都構想は負けましたし、コロナ対策ではイソジンと雨がっぱじゃなかったんでしょうか。

大阪は、吉村知事と松井市長がタッグを組んで(というよりは。松井市長が吉村知事に丸投げに見えますが)対応したことで、一時期は大阪方式というようなコロナ対策もありました。結果は芳しいとはいえませんが、それはまた別の話で、神奈川県と横浜市や、千葉県と千葉市よりはチグハグにならずに済んだはずです。同じ維新の会だからね。

他県に比べてマシだと思いたい大阪人気質が支えているところもあるのかもしれません、知らんけど。

憲法改正発議に必要な3分の2に向けて

いずれにしても、公明党よりも議席が多くなった維新が、今後のキャスティングノードを握ることでしょう。自民党との是々非々のあり方も変わってくるかもしれません。どうにも嫌な感じしかしないわけですが、なんにしろ、吉村さんも松井さんも国会にはいないわけで、維新の他の議員で誰がいるの? よう知らんわ。

憲法改正発議に必要な3分の2には、自民+公明に維新を加えれば届くわけで、この点が今後の見ものであることは確かです。

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この図をみると立憲民主党が増えたみたいに見えますが、錯覚です。それよりも維新の存在感が格段と上がり、共産党の存在感の薄さが顕著ですね。

この辺りの駆け引きも含めて、まだまだ注視していく必要がありますね。

サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。