見出し画像

石油備蓄放出は悪手に終わる予感しかない

COP26が終わって、その外で起きているのは石油価格の上昇でした。

必要なのは、「排出量の引き下げ」ではなく「排出しない仕組みの構築」であり、そのために全てを組み替える覚悟と行動なのだと言うことのようです。

「グラスゴー気候合意」に沿って、二酸化炭素排出量の引き下げを図るならば、石炭や石油が余っていくのかと思いきや、結局そんなことはないんですよね。

結局、まだまだ石油無しでは生きられないわけですから。

足元では、原油価格値上がりに対して、アメリカがやるから日本も備蓄石油を放出することになリました。

米国の放出量の5000万バレルは6億バレルの備蓄の約8%に相当する。国内需要の約3日分にあたる量だ。
これはアメリカ・バイデン大統領が23日石油備蓄を放出すると発表したことを受けたもので、日本や中国、インドなど主な消費国と協調して放出することで、高騰が続く原油価格を引き下げる狙いがあります。

でもこの記事のコメントでエコノミストの門倉さんが指摘するように、数日分の備蓄の放出が、どの程度価格抑制に効果的なのか不明なわけで、バイデン=岸田ラインのパフォーマンスだと言われても仕方がないでしょう。

そもそも備蓄放出はオイルショックなど原油の安定供給が難しくなった局面(供給ショック)で実行すべき手段であって、原油高を抑えるための手段ではない。原油価格に及ぼす影響が不透明である以上、日本は、有事に対応するための国家備蓄は放出せず、ガソリン税の暫定税率分(1リットル当たり25.1円)を一時停止にするなど、より確実・直接的な手段でガソリン価格の引き下げを行うべきではないか。

それよりも、ここで石油を使わない暮らしに向けて、大きく転換するくらいの方針を打ち出したらどうなのでしょう?

EVへの補助金を上げるとか、ゼロエネルギーハウスへの補助金を上げるとか、石油ストーブからエアコンへの転換を進めるためにエアコン設置に補助金を出すとか。

なぜならば、この備蓄の放出は悪手になるだろうと思うからです。

備蓄の放出が、日米の生活が石油に頼っていることを明確にすることになり、投機資金を呼びこみ、かえって原油価格の上昇を招き、産油国は減産することで、ますます石油の値段は上がることでしょう。

しかも、冬中持つほど備蓄しているわけでもなく、現状では数日分だとすれば、ますます、石油を握っている人に、生殺与奪を握られていることが明確になるだけです。

私は苫小牧の生まれなので子供の頃から石油備蓄の必要性を聞かされて育っています。高校のPTA会長が石油備蓄会社の社長だったような記憶もあります。

その中で、石油備蓄を使うのは最後の手段で、使う時はオイルショックなどの大変厳しい状況にある時だと思っていました。今は本当にその時なのか。

画像1

政権の人気取りに使うにはなかなか重いカードだと思いますけどね。

当基地は、苫小牧東部開発地域の一角にあり、新千歳空港や苫小牧港など陸・海・空のどのルートでも至便な位置にあります。札幌ドーム50個分にあたる274万m2もの広大な敷地には、57基の原油タンクが並び、原油保管量は国内消費量の約14日分に当たります。

サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。