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壇蜜vs西原理恵子という組み合わせで勝負あった:「壇蜜×西原理恵子 銭ゲバ問答」を読んで

もう、読みながら唸りまくりです。

文化人としても活躍するグラビアタレントの壇蜜と、自身の波乱万丈の人生をネタに笑わせつつ人間の魅力を描くマンガ家の西原理恵子に、こんな質問、相談が寄せられました。

本の背景

キンドルで300円という値段ですが、50pほどなので、あっという間に読めます。

5年前のイベント「文春トークライブ」の書き起こしになります。

読者から寄せられた相談や質問に答えていくんですが、いちいち言葉が粒立っています。

グラビアタレントと漫画家の対談ではなく、女としての修行僧の対決という感じですね。

どちらが修行レベルが高いか、つまりクソみたいな男に苦労したかとか、録でもない仕事をしたかとか、その結果得た、悟りや解脱の数々をもとに、在野の悩みを切りまくります。

壇蜜と西原理恵子は、私が好きな二大巨頭

壇蜜については、こんな記事も書いているくらい彼女の書くものが好きです。

西原理恵子については、「ちくろ幼稚園」、「まあじゃん放浪記」の昔から作品は読んでますし、高知時代の退学話について、同級生だった方から伺ったこともあります。

ただ、彼女は近年、自分の子育てやアル中だった夫を看取ったことなどから、働く女として、人生経験豊富なおばさんとしてのコメント力で食べている感じが否めません。

今回読んだ本でも、その感じがあるのですが、まあ、生きた言葉なんで反論もないですけどね。

唸った答えの数々:男がいいか女がいいか

「来世では男がいいですか、女がいいですか」という問いに壇蜜さんが答えます。

壇蜜 現世では、男と女の線引きがすごくあやふやになってきていると思うんですね。この先、私たちが歳を取れば取るほど、「男って何だ」「女って何だ」という問いに答えにくくなる。そんな世の中が来るのではないでしょうか。

ここまでは、まあ冷静な社会分析で済みます。

 だから、どちらに生まれ変わっても一緒だと思います。だけど女の人は子どもが産めるし、働くこともできる。そう考えたら、女性の方がいいかもしれないですね。ペットの猫も犬も。メスの方が値段は高いですから。

どっちでも変わらないという答えの最後は、ペットでもメスが高い。

フェミニズムの人が聞いたら怒るでしょうね。でも、価値観をどこに置くかと言ったときに市場に置くのならば、そういう推論はありうるわけです。

唸った答えの数々:ゲイはカミングアウトすべきか

この質問の後に、司会者が示したのがこの質問

「私はゲイなのですが、昨今の社会運動の高まりに困惑しております。そっとしておいて欲しいのです。お二人は今の状況を、どのようにみていらっしゃいますか」

この質問に、西原さんは「特に日本では大変でしょう」とカミングアウトの流行について触れます。親に理解してもらおうという気運があるよね、と。

「でも親だって、そんなのキツいじゃん。そんなこと急に言われたって。そうした世界を理解できる人ばかりではないのだから」と言います。

ゲイの友達に子供の面倒を見てもらった西原さんの言葉としては、意外ですが、この普通を知る感覚が、彼女の真骨頂ではないかと思います。単に外れているだけでは、社会の共感を得る落とし込みはできないわけです。自分がどう思うか、どうするかと、社会がどう考えるかは別、というシンプルな冷静さが見えます。

「親子の間で、お互いについていい嘘は、たくさんあると思うんですよ」「全部を見せて、それを理解しろ、と言われても、そんなの「霊は存在しないから、仏壇なんか要らない」と言って、親の前で仏壇を燃やしちゃうみたいなものですよ。そんなことしちゃいけません。年寄りも価値観を変えることは非常に難しいですから。」

こういう西原さんに対して、壇蜜さんはうなずいた上で、

「ありのままに見せていいのは、ディズニー映画の中の、雪の女王だけ。あの話につられてしまうと、大変なことになるとおもいますよ。生身の人間なので」

と重ねます。

壇蜜さんの、この辺りのユーモアと相手に合わせる感覚のバランスが絶妙だと思いますね。二人は話が合うのだとは思いますが、その答えに乗せ合う話の数々は、当意即妙な掛け合いのようで、ある種の競い合いでもあり、受けと返しの妙が味わえます。

唸った答えの数々:結婚について

また、5年前なので、壇蜜さんは独身、西原さんは高須院長との交際が明らかになったばかりくらいでしょうか。

司会者が、お二人に結婚のご予定は、と聞いたところ、壇蜜さんは「これは司会の人をセクハラで訴えてもいいのですか。あるわけないじゃないですか(笑)」と返しているのを読んで、あの漫画家との結婚までに何があったのかを類推する楽しみもあります。

そして、壇蜜さんの脳内シミュレーションでは、相手に連れ子がいて、その子が懐いてくれるという話になります。

それについて西原さんは「産まずに子どもができて大ラッキーじゃないですか」と言い、「犬でも猫でも、うちに来たら「うちの子」ですよね。人間ならもっとかわいいから大丈夫です」と続けます。

そして壇蜜さんも「そうですよ。なぜ人間には、自分のこと同じように可愛がることが難しいのか、常々疑問に思っているのです。」と、話は、養子問題になっていきます。

「世界では困っている子どもを助けられるのに、なぜ日本では無理だと言い切れるのか、いつも不思議でした。」という壇蜜さんが、いつか外国から養子を迎えてくれるのを待ちたい気分です。


他にも多くの質問への回答があって、面白かったので、連休の時間潰しにどうぞ。






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