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イリュームについて

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#企業広報誌

幻の科学情報誌『ILLUME』とはなんだったのか:前置き

幻の科学情報誌『ILLUME』とはなんだったのか:前置き

 先日亡くなったアートディレクターM氏と私が長く一緒に仕事をしたのが、企業広報誌であり科学情報誌だった『ILLUME』でした。

M氏が亡くなったことを悼み、また、彼が尽力した科学のビジュアル化に関して、ゆかりある人が集まって話すイベントを企画している方がいて、私にも何か話せとおっしゃるのですが、何から話して良いか悩むし、話せば色々あるしということで、何を話して良いかまとめるために、しばらく思い出

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幻の科学情報誌『ILLUME』とはなんだったのか:第1回イリュームという名前に込められた意味

幻の科学情報誌『ILLUME』とはなんだったのか:第1回イリュームという名前に込められた意味

連載スタートしてみます。

1号1号に思い出があるので、書くと長くなりそうだなあ。しかも、10年以上前の話で、最初は30年前になるわけですからねえ。読んで面白くするのは大変だなあ。できるかなあ。

ILLUME=イリュームに込められた想いとはまず、この名前のことから始めたいと思います。

人間もそうですが、名前には作った人の意図と想いが込められているものだからです。こうであって欲しい(意図)とか、

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『ILLUME』とはなんだったのか:第2回:副題に込められた意味

『ILLUME』とはなんだったのか:第2回:副題に込められた意味

第1回では誌名から、その意図を考えてみました。そして、誌名に込められた意図とコンセプトを集約し磨き上げた珠玉の言葉が「ILLUMEの言葉」となったことを解きました。

刊行にあたって「ILLUMEの言葉」が、編集顧問によってもたらされた、ある意味、理想とする姿であるとすると、もう少し現実的な、発行元が表した言葉があります。

それは、「ILLUMEの刊行にあたって」というものです。

 私たちの今

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『ILLUME』とはなんだったのか:第3回:2度のコンペティション

『ILLUME』とはなんだったのか:第3回:2度のコンペティション

第2回では、副題である「創造する人のための科学情報誌」という言葉が持った意味と発行部署及び担当者との出会いが生んだ「幸運」ということを解きました。

コンペティションの背景いよいよ、小出しにしてきた(もったいぶったわけではないのですが)本誌が発行することになったコンペティションについてご説明したいと思います。

このコンペに提出された企画書の写しが、我が家にあったはずなのですが、すぐに見つからなか

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『ILLUME』とはなんだったのか:第4回:編集顧問会議の設置

『ILLUME』とはなんだったのか:第4回:編集顧問会議の設置

第3回は発刊に至る2回のコンペ開催の裏側についてご説明しました。その背景には、当時のCIブームや広報誌ブームがあったことも触れました。

編集顧問会議を置いた意図2回のコンペを経て、A氏の企画で創刊することが決まった「創造する人のための科学情報誌」ですが、まず最初に行われたのは、編集顧問の委嘱でした。

前回説明したように、編集顧問会議の設置はA氏が本誌の「せいとうせい(正統性及び正当性)」の確保

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『ILLUME』とはなんだったのか:第5回:創刊号に至るまで

『ILLUME』とはなんだったのか:第5回:創刊号に至るまで

前回は、ILLUMEの特徴であった編集顧問会議に焦点を合わせてご説明しました。

ILLUMEがバブルの真っ最中1989年から、社会の急変の中で約20年続いたのは、この編集顧問会議の位置付けがあったことは間違い無いと思われます。

編集顧問会議で一蹴される創刊企画ILLUMEの企画が持ち上がったのが1988年、創刊は1989年4月だったことはすでにご説明したかと思います。

つまりバブルの真っ最中

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