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【2022年12月改正】MAX 4610万円!【キャリアアップ助成金&人材開発支援助成金】の損しない最大活用術

こんにちは、藤田です。

324ページにおよぶ「キャリアアップ助成金」「人材開発支援助成金」の難解な支給要領を、たった11枚のスライドで超わかりやすく解説します。

従業員にスキルアップ研修を受けてもらって正社員にした場合、最大4,610万円受給できる助成金の複合技です。

2022年12月2日の改正を踏まえた2023年1月現在の最新版です。

忙しい経営者さんは、スライドだけみて全体像をつかみ、申請判断だけして社労士さんに投げてください。

ただダラダラと公式情報を並べるだけでなく、完結に概要&最適解をまとめますので、ご安心を。

まず前提として。このnoteで解説する助成金は「雇用保険に加入している従業員(パート可)」を雇用している事業主(個人事業主でもOK)が受給対象です。

「ひとりも雇っていない」という事業者さんは対象外ですので、ご注意ください。

「人への投資促進コース」は令和4年4月に新設、「事業展開等リスキリング支援コース」は12月に」新設したばかりで、全然知られてないんですよね。

いくつかの都道府県の助成金センター(申請窓口)に問い合わせましたが、口を揃えて「全然申請がない」とのことです。

実に勿体ない…

このnoteは、一人でも多くの事業主さんにこれらの制度と最大活用法を知っていただくことを目的とし、事業資金の最大化とスキルアップによる、生産性アップ&従業員満足度アップにつながれば幸いです。

▼本noteの動画版▼ お聴き流しにどうぞ。


このnoteで分かること

契約社員の正社員化&スキルアップ研修に使える助成金の最適解
どんな研修に助成金が使えるのか
✅申請のスケジュール(描けるようになる)
✅申請における注意点・損しない方法
2つの助成金の概要
→人材開発支援助成金、キャリアアップ助成金

どんな助成金で、いくらもらえて、誰が対象で、どう申請するのかを、明らかにします。

雇用保険適用事業主になるには

今雇用保険を導入していない事業主が、支給要件である雇用保険適用事業所になるには、事業所管轄の労働局で届け出を行うことで可能です。

その際は労災保険も一緒に導入する必要があり、労災保険険適用事業所の届けでも同時に行います。
時間は20~30分あれば終わります。

雇用保険料・労災保険を過去にさかのぼって支払うことで、以前に適用を受けた扱いにすることも可能です。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

「キャリアアップ助成金」とは、契約社員を正社員化するときに「基本給を3%以上アップすると、1人あたり57万円もらえますよ」、という助成金です。

分かりやすく「契約社員」と書きましたが。正確には「雇用保険に加入している(被保険者)」ことが条件ですので、雇用形態はパートタイマーでも構いません。

さらに以下の条件をクリアする毎に、支給金額が増えます。

  • 生産性要件を満たせば ⇒ +15万円

  • 「人材開発支援助成金」の4コースと一緒に使うと ⇒ 9.5~11万円

  • ひとり親世帯の父・母が労働者の場合 ⇒ +9.5万円

大企業はマイナス14.25万円、すでに無期雇用の方が正社員に転換する場合は、すべての金額が半額になります。

■受給条件

①キャリアアップ計画

②制度の規則化(就業管理規程など)
正社員化できる転換制度を規定
「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用される者

③正社員化
【転換前】雇用保険に加入して6ヶ月以上経った、非正規雇用者(有期・無期)
               ↓↓↓
【転換後】正規雇用&基本給3%以上UP、6ヶ月以上賃金を支払う

「転換前」は雇用保険に加入している非正規雇用(契約社員・パートタイマーなど)である必要があり、

  • 有期雇用→満額(57万円~)

  • 無期雇用→半額(28.5万円~)

と助成金額が変わります。

注意点は、「定年まで1年以上ある」ということです。
定年は会社で定めているものを指します。

また60歳以上の方を雇用する場合は、「特定求職者雇用開発助成金」の方がおトクです。

■加算(人材開発支援助成金)

      キャリアUP  加算  生産性要件
・中小企業  57万円  +9.5万円 +15万円   ⇒  81.5万円
自発的・定額制を利用) +11万円 +15万円  ⇒   83万円   
ひとり親家庭は+9.5万円
大企業は △14.25万円

詳しく見ていきましょう。


■有期→正規
 
57万円/人(72万円)←生産性要件を満たすと+15万円()内  

・訓練加算額(「人材開発支援助成金」を併用した場合)
9万5000円<11万円> 
※<>内は「人への投資促進コース」の「定額制訓練」or「自発的職業能力開発訓練」

・合計
66.5万円<68万円>

生産性要件を満たすと
→(81.5万円<83万円>

母子・父子など、対象労働者が「ひとり親家庭の父・母」の場合
9.5万円増額します。
最大で91万円<92.5万円>

大企業は、それぞれ-15万7500円です。

■無期→正規 
28.5万円/人(36万円)+7.5
訓練加算額4万7500円<5万5000円> 33万2500円<34万円>(40万7500円<41万5000円>)

大企業は、それぞれ-7万8750円です。

「キャリアアップ助成金」は1社最大で年間20名まで受給できます。

誰も気にしていないと思いますが、一応タイトル回収です。

キャリアアップ助成金を、人材開発支援助成金「人への投資促進コース」の「定額制訓練」or「自発的職業能力開発訓練」と同時受給した場合、労働者一人あたり83万円、20人分で1,660万円、人材開発支援助成金の上限2,500万円と足し合わせて、4,160万円となります。

中小企業の定義

中小企業(大企業でない)の定義はこちら。

人材開発支援助成金

概要

事業主が労働者に対して訓練を実施した場合、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度(計画書、請求書、カリキュラムなどを提出)


①事業展開等リスキリング支援コース←【New】

新規事業展開に伴う新たな分野でのスキル獲得を目指すコースです。

・正社員、非正規、10時間以上、OFF-JT、75%(60%)

LMS(eラーニング、同時双方向)も可能です。

②人への投資促進コース

IT分野、通信教育、自発的などの区分があります。

※情報技術のみ正規のみが対象、かつOJT併用

・正社員&非正規、10時間以上、OFF-JT、60~75%(45~60%)助成

「定額制訓練」はeラーニング、同時双方向(LMS導入講座に限る)になります。

「同時双方向」とは、講師と同時中継で行う通信教育です。ZOOMとかですね。

「自発的職業能力開発訓練」は労働者が訓練校に相談→事業主に報告する形で、労働時間外に受講するものに助成金がおります。

③特定訓練コース

生産性向上、若年人材育成、熟練技能・継承、厚労省の認定実習などがあります。

・正社員、非正規、10時間以上、OFF-JT&OJT、45%(60%)助成、OFF-JTは賃金も助成

④特別育成訓練コース

正社員経験の少ないパートさん・アルバイトさん向けです。

・非正規社員、2~6ヶ月、OFF-JT&OJT、10~50万円(7~30万円)助成

社会人経験が少ない方、正社員展開へ向けて有期実習型訓練を行います。
その際の外部研修、教材費を助成します。

座学→実地の流れで、正社員化へ向けてスキルアップを目指します。

一般職業訓練(1年以上のコースも可)なのが特徴です。
※座学の認定講座のみ

対象講座は、「都道府県知事から認定を受けた認定職業訓練」である必要があり、ハローワークで知ることができます。

ちなみに対象講座は、会社を退社した後に失業給付をもらいながら講座が受けられる「公共職業訓練」で受講できるものと同じです。

この制度は、失業給付をもらえない方(前職で雇用保険に入っていなかった方)が月10万円もらいながら講座を受けられる「求職者支援訓練」もあったりします。

これらの職業訓練は交通費も国が出してくれますが、本助成金の「特別育成訓練コース」では事業主負担です。

助成金では労働扱いとなり、講座の受講費や教材費のみならず、労働者の賃金も助成されるのが特徴です。
教育訓練の場合は、教材は実費負担です。

京都市の教育訓練の例


※残業代を支払わないと支給対象外に(ブラック企業は助成金受給NG)←あるある
※一般訓練コース、その他コースは加算対象外のため割

人への投資促進コース

①高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練

■訓練内容
高度デジタル訓練/海外も含む大学院での訓練

■対象者
正社員、非正規の労働者

■助成金額
・経費助成
助成率75%

・賃金助成
時給960円(大企業は半額)

・上限金額
高度デジタル人材訓練…2,500万円
成長分野等人材訓練…1,500万円

キャリアアップ助成金と併用時の加算
95,000円

②情報技術分野認定実習併用職業訓練(非正規対象外)

※キャリアアップ助成金(正社員化コース)との併用はできません

■訓練内容
OFF-JT+OJTの組合せの訓練(IT分野関連)

■対象者
正社員

※非正規の労働者は対象外です

■助成金額
・経費助成
助成率60%

・賃金助成
時給760円(大企業は半額)
※生産性要件を満たせば+200円

・上限金額
2,500万円

キャリアアップ助成金と併用時の加算
95,000円

③定額制訓練

■訓練内容
「定額制訓練」(サブスクリプション型の研修サービス)

■対象者
正社員、非正規の労働者

■助成金額
・経費助成
助成率60%
※生産性要件を満たせば+15%

・賃金助成
なし

・上限金額
2,500万円

キャリアアップ助成金と併用時の加算
11万円

④自発的職業能力開発訓練

■訓練内容
「定額制訓練」(サブスクリプション型の研修サービス)
労働時間外」に受けた研修に助成金が支給されます

■対象者
正社員、非正規の労働者

■助成金額
・経費助成
助成率45%
※生産性要件を満たせば+15%

・賃金助成
なし

・上限金額
2,500万円

キャリアアップ助成金と併用時の加算
11万円

⑤長期教育訓練休暇等制度

■訓練内容
長期教育訓練休暇制度/労働時間の短縮と所定外労働の免除
※働きながら勉強する時間確保

■対象者
正社員、非正規の労働者

■助成金額
・経費助成
定額:20万円(+4万円)

・賃金助成
※30日以上の連続休暇取得時

(1日当たり6000円(+1200円))
・上限金額
2,500万円

キャリアアップ助成金と併用時の加算
95,000円

出典:人材開発支援助成金 人への投資促進コースのご案内(詳細版)

一人あたりの助成限度額

出典:人材開発支援助成金 人への投資促進コースのご案内(詳細版)

一人あたりの受講回数

出典:人材開発支援助成金 人への投資促進コースのご案内(詳細版)


生産性要件

何度も登場している「生産性要件」について以下の通りです。

■人材開発支援助成金
訓練開始の直近の会計年度で前年度~3年後(現在から2年後)生産性が6%以上アップ

■キャリアアップ助成金
支給申請時の会計年度より3年後(現在から2年後)生産性が6%以上アップ
※計画書の提出日ではなく、「支給申請日」の直近の会計年度から起算します


生産性の求め方は下記の計算式
になります。

生産性=付加価値÷雇用保険被保険者

付加価値…営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課
※「人件費」は「従業員給与」のみを算定、役員報酬等は含めない


「人への投資促進コース」申請の流れ

出典:人材開発支援助成金 人への投資促進コースのご案内(詳細版)

「人材開発支援助成金」に関しては、他のコースも同様のフローで申請します。(自発的職業能力開発訓練は別)

定額制訓練

■対象講座

→eラーニング(通信講座)
→「同時双方向型」の通信訓練⇒ZOOMなど

■講座の選び方

・「LMS」を導入した通信訓練であること

LMS(リッチインターネットアプリケーション)は、学習管理システムのことで、いつどの講座でどれくらい勉強したかを第三者が確認できる仕組み担っています。

■要件

・研修は対象者の合計受講が10時間以上
→(例)Aさん7時間、Bさん3時間など分割受講換算でもOK

自発的職業能力開発訓練

■対象講座・労働者が選ぶ

■選び方
・労働者が訓練校に相談→事業主に報告

■受講時間
・勤務時間外

■支給限度額
・300万円


キャリア&スキルアップ助成金計画

一撃で可視化&スケジューリングできるように1枚で図解しました。

ポイントは、以下7点です。

  • 訓練修了は、必ず正社員化より前に行う

  • 両助成金とも計画修了後、2か月以内に支給申請する

  • 「人材開発支援助成金」は、計画書提出(申請)後1ヶ月以内に訓練開始する

  • 「人材開発支援助成金」は、申請前3ヶ月以上の雇用保険への加入が必要

  • 「キャリアアップ助成金」の正社員転換は、「人材開発支援助成金」の訓練終了後

  • 「キャリアアップ助成金」の正社員転換は、計画書提出の翌日以降

  • 「キャリアアップ助成金」は、正社員化の前6ヶ月以上の雇用保険への加入が必要


注意点としましては、有期雇用から転換する場合、雇用期間が通算3年以内でなければならないということです。


厚労省の公式リーフレットによると、「令和5年度に申請手続きを簡素化予定」とのことです。
例年通りですと4月頃に発表になると思われます。

ポイント①

【キャリアアップ助成金注意点】

・賃上げは原則全ての方(職種・雇用区分ごと)
→事業主:雇用保険適用事業者、労働者:雇用保険への加入が必要
(パート/契約社員/正社員)、(事務職・製造職・販売など)

・雇用保険に加入が必要
→社内社員区分・グルーピングごと→見せかけ転換はNG

■人材開発支援助成金…改定前3ヶ月間、雇用保険者
■キャリアップ助成金…正社員化前6ヶ月間、転換後6ヶ月間の雇用保険者

・訓練終了後に正社員転換が必要、受講中転換はNG
・訓練終了後、2ヶ月以内に支給申請する

これから採用する場合、せっかくなので満額支給を目指して、まずは有期雇用で雇入れをするのが、最大受給するポイントになります。

ポイント②


【人材開発支援助成金の注意点

・定額制訓練
研修は対象者の合計受講が10時間以上
→(例)Aさん7時間、Bさん3時間など分割受講換算でもOK

・計画を出して1ヶ月以内に訓練開始する
→サブスクの場合は、課金した初日から起算

・訓練終了後、2ヶ月以内に支給申請する
→受講中に書類準備を進めないと、タイトです!
日報を作ったり、そこそこ大変です(笑)

また、計画書の提出段階で、すでに3ヶ月以上の雇用保険に加入している必要がある点も忘れてはなりません。

まとめ

✅社員のスキルアップ&正社員化には助成金活用をしましょう!

✅スキルアップ&正社員化は一緒がおトク

✅サブスク(定額課金)講座でも使える!

✅勤務時間外に「社員が受けたい講座」も活用可

✅助成金で
・労働生産性アップし会社の売上アップ!
・スキルアップ&昇給で社員満足度アップ!

【申請先】
労働局もしくは、ハローワーク助成金センターです。
(都道府県によって異なる)


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