400文字の……(18)「かわいい」と「かわいらしい」の距離

 「かわいい」と「かわいらしい」。僕は「かわいらしい」を使うことが多い。
 この場合の「らしい」は「……にふさわしい様子である、……によく似た状態である、などの意を表す 」という使い方で、意味合い的には「……にふさわしい様子」のほうで使っている。要は「かわいい」は主観的な表現だけれど、「かわいらしい」は様子を言い表している客観的な表現ということなのだ。
 僕は過去を振り返ってもたいしてアイドルなり俳優なりに思い入れたことがなく、アニメキャラにしても思春期を過ぎたら、そこに思い入れる感情はすっかり薄くなってしまった。というわけで「かわいい」という気持ちはすっかりなくなってしまい、「かわいらしい」という客観的叙述のほうがすっかり馴染む感じになってしまったのであった。例えば、雑談でなにかについて「かわいいですよね」みたいに水を向けられたら「かわいらしいですよね」と応えてやりすごすわけである。
 なので「かわいい」という表現を使う時はよほど特別な時なのである。例えばネコ相手とか。(まあ、でもうちのネコにたいしてかわいいということは実際には少ない。「チョロいなぁ」と言ってることが多い。つまり「かわいい」という言葉はほぼ使われないのである。

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