400文字の……(16)会社員に向いていないことを実感する日

 もう故郷を離れていたから、成人式になんか出るつもりもなかった。そもそも成人式になにか意味があるとも思っていなかったし。自分の人生とほぼ関係ないような来賓たちが祝辞を述べたりなんだりする、というのも気持ちが悪い。ましていくら地元で稼いでいるとはいえ、アメリカ出身のネズミというミッ●ーが登場とか、正気の沙汰かと毎年思う。
 こういう「この儀式は自分に関係あるのか」という疑問は中学時代ぐらいからずっとあって、会社員になってからも、全社的な公の式典的なことは本当にめんどうくさかった。会合の後の会食を抜けて、1人で食事に行ってしまったこともある。もちろんそういうことをやる意味や意義というのもあるのだろう。それぐらいの想像力は僕にだってある。でも、自分はそういうのが好きではなかったのだ。
 だから、まあフリーランスになったのは必然ではあったのかなと思う。昔はまた会社員に戻ることもできると思っていたが、今となってはもう無理だということがはっきりしている。

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