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小話:危険な好奇心・ラーメンの誘惑

彼は危険な好奇心を持っていた.

彼はインターネットで見つけた悪評の多い店に行ってみたいと思っていた。彼は美味しいものが好きだったが、それ以上に変わったものや不味そうなものに惹かれていた。

彼は自分の舌で確かめることで、他人の感想や評価に影響されないと信じていた。

ある日、彼は仕事帰りにふと思い立って、近くのラーメン屋に入った。その店はネット上で「最悪のラーメン屋」と呼ばれており、汚い店内や不潔な調理、無愛想な店員や高い値段など、悪い口コミが山ほどあった。彼はそんな店に興味を持ち、一度行ってみたかったのだ。

店に入ると、彼はすぐにその店の雰囲気に圧倒された。店内は狭くて暗くて、油や煙で汚れていた。テーブルや椅子はボロボロで、床には紙くずやタバコの吸殻が散らばっていた。客はほとんどおらず、カウンターに座っている数人の男性は無言でラーメンをすすっていた。

「いらっしゃい」という声も聞こえず、彼は自分で席を探して座った。

メニューを見ると、ラーメンの種類は豚骨、醤油、塩の三種類しかなく、値段はどれも1000円だった。彼は豚骨ラーメンを注文することにした。

しばらくして、店員がラーメンを持ってきた。店員は無表情でラーメンを置いて、「食べ終わったら金払え」と言って去っていった。

彼はラーメンを見て驚いた。スープは真っ黒で油が浮いており、臭いも強烈だった。麺は茹で過ぎてべちゃべちゃで、具はチャーシューとメンマとネギだけだった。

チャーシューは焦げて硬くて薄くて小さくて、メンマは水っぽくて味気なくて柔らかくて長くて、ネギは青々として切り方が雑だった。

彼はラーメンを食べることに躊躇したが、危険な好奇心が勝って一口食べてみた。

すると、彼はその瞬間に後悔した。

スープは塩辛くて苦くて酸っぱくて辛くてまずかった。麺は喉に引っかかって飲み込めなかった。具は噛むと不快な食感と味がした。彼はラーメンを吐き出そうとしたが、店員が睨んでいたので我慢した。

彼はラーメンを食べ終わるのに一時間もかかった。彼は1000円を払って店を出た。彼は胃が痛くて吐き気がして頭が痛くて目が回った。

彼は自分の危険な好奇心を呪った。

---作者不明