漫才論| ⁴⁷漫才師にとっての理想的な"仲の良さ"とは❓
昔は仲が悪いコンビも多かったですが,いつからか仲がいいコンビが増えてきたように思います
「仲がいい」といってもいろんな仲の良さがあって,友達のように仲がいいコンビもいますが,私が思う漫才師にとっての理想的な"仲の良さ"というのは,「漫才があるからこそ通じ合える関係」です
普段の会話もほぼ漫才
私事ですが,私が一番最初にコンビを組んだ相方とはそんなかんじでした。その人とは,「漫才がなかったらたぶん仲良くなっていなかっただろうな」と今でも思います。自分がよく仲良くなる人とは全然違うタイプの人だったからです。趣味が合うというわけでもなく,「友達」としての普段の会話でも意気投合するような要素はなく,あまり話すことがありません
ところが,ひとたび漫才をはじめると,すべてが一変します。ネタは私が書いていましたが,私も相方もガンガンアドリブを入れたいタイプで,アドリブ合戦が止まりません
こういう関係になってからは,普段の会話もほぼ漫才です。普通の会話は全然弾まないので,それを漫才にしてしまったほうがお互い楽だったからです
おぼん・こぼん
私なんかと比べるのはあまりにもおこがましすぎますが,「おぼん・こぼん」のお二人のあの惚れ惚れするような凄まじい掛け合いをみていると,普段は仲が悪くても,話すことがなくも,話したくもなくても,「漫才をしているときは会話が成立する」「漫才をしているときだけは通じ合える」,お二人ともそんな感覚だったのではないかと思います
そして,お二人とも漫才が大好きで,漫才は続けたいし,「漫才を続けるならあの相方しかいない」と思っていたんだと思います。あそこまでの掛け合いができる相方などそう簡単に見るかるものではありませんから,そう思うのは当然です。だからこそ,仲が悪い時期でも漫才を続けられたのだと思います
ただの仲良しでも全然いいんですが,「漫才があるからこそ通じ合える関係」が,漫才師にとっての理想的な"仲の良さ"なのではないかと思います
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