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漫才論| ¹⁶⁹サンドウィッチマンは本当に"しゃべくり漫才"ができないのか❓

「やすとものいたって真剣です」の中でサンドウィッチマンの伊達さんは,「ぼくらはできないです。しゃべくり漫才が」と言っていました。確かに,2007年にM-1王者になり,その後も漫才を続けていますが,私はテレビではサンドウィッチマンの「しゃべくり漫才」を一度もみたことがありません。テレビでは一度もやったことがないのでしょうか?ご存じの方がいらっしゃったら教えてください

「本人が『しゃべくり漫才はできない』と言っているのだから外野がどうこう言うことではないと思いながらも,私は昔から「サンドウィッチマンはしゃべくり漫才をやったほうがいいと思っている派」なので,サンドウィッチマンは本当に「しゃべくり漫才」ができないのかについて書いてみたいと思います

「漫才」と「コント」を
そこまで演じ分けていない

サンドウィッチマンの漫才は元々は,コントを漫才にしたものです。その結果,「あれは漫才じゃない。あれはコントだ」と言われることもありますが,サンドウィッチマンの場合はコントでも結構が出ていて掛け合いも漫才っぽいところがあるので,それを「『漫才コント』という形でもみせてもそこまで違和感がなかった」ということだと思います

こうした経緯と,サンドウィッチマンが自分たちのことを「漫才師」ではなく「漫コン師」と呼ぶこともあるという点を考慮に入れると,おそらくお二人は,「漫才」と「コント」をそこまで演じ分けてはいないのではないかと思います。どちらの場合もただ「ネタをやっている」という感覚で,「漫才をやっている」という感覚はあまりないので,「『しゃべくり漫才』というのは自分たちがやっているものとは別のジャンルのもので自分たちにはできない」と思っているような気がします

サンドウィッチマンはなぜ
"しゃべくり漫才"が苦手なのか

「できない」と言っても,これまで一度もしゃべくり漫才をやったことがないというわけではありません。やってみた結果,「自分たちには向いていない」という意味での「できない」なのかもしれません。実際,過去のサンドウィッチマンのしゃべくり漫才の映像をみると,少しぎこちないというか,硬いというか,伸び伸びと楽しんではできていないような印象を受けます

その原因は,「しゃべくり漫才」でも基本富澤さんがボケで伊達さんがツッコミというスタイルでやっているからではないかと思います。コントであればこの役割分担でも成立しますが,「しゃべくり漫才」はの二人の関係性が反映されていないと,ぎこちなくなってしまったり,窮屈なかんじになってしまいます。というのも,サンドウィッチマンのの二人の関係性は,必ずしも「富澤さんがボケで伊達さんがツッコミ」というかんじでもないからです

サンドウィッチマンは
"しゃべくり漫才"ができるはず

普段よくしゃべるのは伊達さんのほうで,結構"ボケたがり"だと思います。そしてそれに富澤さんがツッコむということもよくあります。コントの中にも伊達さんがほとんどアドリブでボケまくるタイプのネタもあって,その場合は富澤さんが思わず笑ってしまいながらほぼの状態でツッコみます。私はこっちのタイプのコントと富澤さんの"ツッコミ"のほうがむしろ好きなのですが,この二人の関係性を漫才に"昇華しょうか"することができれば,サンドウィッチマンは「しゃべくり漫才」ができると思います。つまり,「どちらもボケて,どちらもツッコむ」というスタイルです

実際,単独ライブなどで漫才をするときには,すぐに「漫才コント」に入るのではなく漫才風のフリートークをしていて,伊達さんがボケて富澤さんがツッコむパターンもよくあります。「あれを漫才にする」という感覚があまりないからなのか,もしくは,「自分たちに合っているのはいつもの漫才コントだ」と思っているからなのか,「漫才風のフリートーク」はあくまでもフリートークで,「それが終わったらネタに入る」というスタイルをとっています。いつかその"壁"を打ち壊し,二人の関係性が存分に発揮されたサンドウィッチマンの「しゃべくり漫才」がみてみたいです

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❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」

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