[落語] 20年後の僕へ(ショートバージョン)
#オチを予想してお楽しみください (10文字)
まさお:龍さん!ついに届いたぞ
龍一:何が?
まさお:手紙だよ,手紙
龍一:手紙?誰から?
まさお:俺から
龍一:まさおから?
まさお:20年後の自分に書いたろ,手紙
龍一:あ〜あれか。小学生の時に書いたやつな
まさお:そう。小6の時に
龍一:懐かしいな。で?なんて書いてある?
まさお:「あれから20年がたちましたが,園遊会には呼ばれましたか?」
龍一:園遊会?
まさお:天皇陛下に呼んでいただけるあれだよ
龍一:お前どういう小学生だったんだよ
まさお:呼ばれたかったんだろうね,園遊会に
龍一:そんな小学生いるのか?
まさお:園遊会って遊園地のことだろ?
龍一:全然違うよ。天皇陛下が遊園地に招待してくれるわけないだろ
まさお:天皇陛下だってたまには乗るだろ。ジェットコースター
龍一:そりゃ「絶対に乗らねぇ」とは言い切れねぇけど…で?あとは?なんて書いてあんだ?
まさお:「民主党政権は短命だ」って書いてあった
龍一:なんだよそれ。お前予言者か
まさお:政治に興味を持ちはじめた時期だからな
龍一:でもよぉ,20年前っていえば「民主党」なんてまだなかっただろ。小6のお前は「近い将来民主党という新党が誕生し,その後政権を奪取し,しかもその政権は短命だ」って予言してたってことだろ?
まさお:何言ってんだよ龍さん。「民主党」って,自由民主党のことだろ?
龍一:「民主党」は民主党だよ
まさお:「民主党」は民主党?じゃあ自由民主党は?
龍一:自民党
まさお:紛らわしいな
龍一:確かに紛らわしいのは認めるけど,じゃあお前が書いた「民主党政権」ってのは「自民党政権」のことか?
まさお:たぶんね
龍一:政権が短命っていうのは?
まさお:当時の自民党政権に限界を感じてたんだろうね
龍一:小6のお前が?
まさお:小6と言えば政治に限界を感じはじめる年頃だろ
龍一:お前は頭がいいんだか悪いんだか全然分からない奴だな。小6と言えば,「どうすればウルトラマンになれんだろう」って真剣に考えるような年頃だろ
まさお:小6にもなって「大きくなったらウルトラマンになれる」って本気で思ってたのかよ。龍さんバカだねぇ~
龍一:お前には言われたくないよ。自民党政権の将来を案じながら園遊会に呼ばれることを切望している小学生よりはましだろ
まさお:で,龍さんは?
龍一:何が?
まさお:手紙だよ。届いたんだろ,龍さんのも
龍一:届いたけど…
まさお:なんて書いてあった?
龍一:いいんだよ俺のは
まさお:教えてくれよ~。俺も教えたんだからさぁ
龍一:分かったよ。……「お元気ですか?」
まさお:ちゃんと挨拶の言葉から始めるなんて龍さんらしいな
龍一:「地球の平和は守れていますか?」
まさお:え?もしかして?
龍一:「ウルトラマンのお仕事,大変じゃないですか?」
まさお:やっぱり。本気でなれると思ってたからな
龍一:「万が一あの国がミサイルを発射するようなことがあっても,あなたならそれをつかみ,2歳からずっと続けているアメフトのクォーターバックの要領で宇宙に投げ飛ばし,地球の平和も守ってくれることでしょう。なぜならあなたは,ウルトラマンなのですから!」
まさお:あの国って?
龍一:「あなたがもしあの国のあの家系に生まれていたなら,あなたもあの人と同じような人生を歩んでいたかもしれません」
まさお:ちょっと深い話になってきたな…
龍一:「『罪を憎んで人を憎まず』。タロウの言葉です」
まさお:孔子の言葉だろ。ウルトラマンタロウも同じこと言った可能性もないとは言い切れねぇけど…
龍一:「人を憎まず,地球の平和のために力を尽くしてください。20年前の僕より」
まさお:最後だけはまともだな
龍一:「最後だけ」って言うなよ
まさお:で,龍さんはもう書いた?
龍一:何を?
まさお:返事だよ
龍一:返事?
まさお:俺はもう書いたよ
龍一:誰に?
まさお:20年前の自分にだよ
龍一:なんのために?
まさお:「なんのため」とかじゃないだろ。手紙をもらったら返事を返す。それが人の道だろ
龍一:いや…まぁ普通の手紙ならそうだけど,どうやって届けるんだよ
まさお:ポストに投函する
龍一:ポストに投函したって届くわけがないだろ。20年前の自分に
まさお:なんでだよ。20年前に書いた手紙がこうやって20年後の俺に届いたんだよ。それをただ逆にすればいいだけの話だろ
龍一:その「逆」ってのが難しいんだ
まさお:なんでだよ。そんなに「難しい」ことか?
龍一:「難しい」っていうか無理だ
まさお:なんでだよ
龍一:◯◯◯◯◯◯じゃないんぞ。◯◯(◯◯)はできねぇ
ここから先は
¥ 200
あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】